町民の手で作り出してきた誇ることのできる風景、それが香嵐渓。

足跡の四季を彩る代表、香嵐渓。香嵐渓は季節によって様々に表情を変える。カタクリが見事な紅紫色の花を咲かせる早春。若鮎がおどる初夏。夏はもみじの緑陰に涼を求め、巴川では子どもたちの水遊びの歓声が周囲の山々にこだまする。川辺を行けばそよ風が肌に心地よい。秋は絢爛豪華な紅葉に衣がえ。鮮やかな錦色が巴川の川面を染めつくしてしまう。冬枯れの木立の中を歩くというのもまた格別な味わいだ。香嵐渓を舞台に、人々もまた多くの人間模様を織りなしてきた。
寛永年間、巴川沿いの参道から境内にかけてもみじや杉を植えたのが香積寺第11世住職・参栄本秀和尚。それらが一本一本根付くように、足跡の人々が幸せに生きてゆけるようにとの思いを込めて、参栄和尚は般若心経をとなえながら植えたのだ。その参栄和尚の遺志を生かし、大正時代には飯霊山から巴川一帯にかけて地元住民がこぞってもみじやさくらを植樹した。香積寺の「香」と、渓谷に発する嵐気の「嵐」をとって、「香嵐渓」の地名がついたのは昭和五年。「嵐気」には、澄みきった空気という意味もあるそうだ。足助人の先祖は、そこに存在し続けることで人々の心を潤し、ふるさとをいとおしむ心を育んだ。そこに、足助の未来を考える先人の先見の明があった。


訪れる人に感銘を与える香嵐渓の美



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