本宮町の歴史は深く、熊野本宮大社や熊野古道をはじめ、我が国最古の温泉と言われる湯の峰温泉でも知られています。中世には熊野別当が置かれ、近世には紀州藩支藩新宮藩水野家の治めるところとなり、その後の廃藩置県により、和歌山県・新宮県を経て和歌山県下となりました。明治22年市町制の実施に伴い、美里村、本宮村、四村、請川村及び敷屋村と称されましたが、昭和31年9月30日に町村合併促進法により、美里村、本宮村、四村、請川村及び敷屋村のうち大字高山、小津荷の区域を合併し、行政区域、行政機構を整え現在の本宮町が誕生しました。
 林業の町といわれる本町では、森林地帯が全体の93%を占めます。北に果無山脈、南に大塔山系と、平均標高400mの山岳で囲まれた山間地であるため、寒暖の差が激しい気象状況となり、夏季には最高気温摂氏40度を記録。冬季には最低気温が摂氏0度を下回ることも少なくありません。また、三越川、音無川、大塔川などの河川が流れ込む熊野川(全長145,000m)は、町の北東部から南東部にかけて貫流しています。水の恵みが受けられるその流域には大小50の集落が散在しています。


 豊かな森は、多くの貴重な自然を生みだしています。その代表が『ふけ田』と呼ばれる独特の湿地。ふけ田は町の南西部に広がり、かつての四村川の流れが六〜八万年も前に分離され、森からのわき水によって水辺の生き物たちがすみ着くようになりました。ゆっくり流れる川のような湿地帯で、きれいで豊富な水が、森からたえず供給されているのです。ここでは多くの貴重な生き物の生態が、まるでタイムカプセルのように確認されています。タガメ、ゲンゴロウ、メダカ、ハッチョウトンボといえば、子どものころに小川や田のあぜ道で見かけた虫や魚たちですが、ふけ田にはこうしたなつかしい生き物をはじめ、希少価値のある動植物が今でも生息。特にトンボは四十種類が数えられ、専門家も注目しています。


▲ハッチョウトンボ(トンボ類)
トンボは幼虫の時はヤゴと呼ばれ、水中で過ごしています。中でも珍しい種類は、体長が2cm程しかない、日本で一番小さいといわれるハッチョウトンボ。雄は全身が鮮やかな赤色をしていて、湧水のある草丈の低い湿地などで見ることができます。

▼コゲラ(鳥類)
木の幹に穴を掘って巣を作るキツツキの中でも、コゲラは全長15cmというスズメくらいの大きさしかなく、日本一小さなキツツキです。体は黒褐色をしていて、白い黄斑が何本もあります。主に全国の低山地に留鳥として生息していますが、ここでは年中見ることができます。

▲ヤマネ(哺乳類)
全長が約13cm、体重が約25g、柔らかい毛に被われたネズミの仲間です。背中にある1本の黒いすじと、かわいらしい大きな目が特徴。普段は木の上を素早く動き回り、木の実や昆虫を食べ、冬は樹洞や土中で冬眠します。日本特産のこの動物は、国の天然記念物に指定されています。

▲タガメ(半翅類)
体長が6cmもあり、持ち前の力強い前肢で水中の魚やカエルを捕らえ、体液を吸います。絶滅寸前と言われているタガメの他にも、タイコウチやミズカマキリ、県下でもここでしか見つかっていないオオコオイムシなど、水中生活をする昆虫が多く見られます。

▼ヤマトミクリ(植物・ミクリ科)
水路や水たまりなど浅い水の中に生える多年草。7〜8月にかけ、葉の間から茎が伸び、上の方に栗のイガに似た花をつけます。葉は幅が1cm程の平たい綿形で、株からは地下茎が横に伸びています。和歌山県では数箇所しか見ることができませんが九州などには多く分布しています。

▲メダカ(魚類)
浅い池や沼、小川や水路に生息する日本一小さな魚です。水面近くの浮遊動物を食べ、水温や塩分の変化にも強い魚として以前はどこでも見ることができましたが、水の汚れに弱いので、最近では生息地も限られてきました。ふけ田のメダカは個体数も多く、丸まると太っています。

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