平成26年度山村振興関連予算・施策に関する要望

 山村地域の振興につきましては、日頃から格別の御配慮を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、近年、山村を取り巻く環境は、過疎化・高齢化の進展、耕作放棄地の増大、鳥獣被害の多発に直面する中で、厳しさを増しております。我が国の山村は、日本人としての精神の原点として我が国を支えて来た力の源であり、一方では水資源、エネルギー資源を守り、国土保全に貢献してまいりましたが、集落機能の衰退が進み、崩壊の危機に瀕していると言っても過言ではありません。
 また、山村地域は、道路、情報通信、生活環境等の整備水準は依然として低位な状況にあり、その改善なしには、山村を取り巻く危機的な悪循環は断ち切れません。さらに、鳥獣被害対策や山村の資源を活用する様々な取り組みを効果的に展開するとともに、集落機能の活性化等の取り組みを行っていく必要があり、このような対策を総合的かつ強力に打ち出していく必要があります。
 このため、政府・国会におかれては、山村地域の振興こそが、国全体の発展につながるということを十分御認識いただき、山村振興を国の重点課題に据えて、下記事項の実現を図っていただくよう強く要望致します。
     

T 東日本大震災等の復旧・復興等
  1. 東日本大震災については、関係省庁連携のもと、被害が生じた山村地域における 復旧・復興対策を早急かつ強力に推進すること。特に原発事故放射性物質の除染等を早急に行うとともに、放射性物質の影響を大きく受けている特用林産物栽培農家対策に万全を期すこと。
  2. 近年、気候変動等により、多発、大規模化している災害に対処するため、国土強靭化対策を推進し、災害に強い山村づくりに取り組むこと。また、災害発生時の的確な情報提供システムの整備を図ること。
U 山村振興対策の総合的・計画的推進
  1. 山村振興計画に基づき、関係省庁の一層の連携強化のもと、山村振興対策を総合的かつ計画的に推進すること。
  2. 山村地域における農林水産業等地域の基幹産業の振興、生活環境の向上等を図るための施設の整備等の取り組みに対する助成措置の充実・強化を図るとともに、自立的な地域活性化を支える人材育成への支援に取り組むこと。
  3.  山村地域の活性化を図るために不可欠な辺地対策事業債及び過疎対策事業債の十分な確保を図ること。
  4. 農山漁村地域活性化対策、森林・林業振興対策(以上「地方財政措置」)の充実・強化を図ること。
V 多面的・公益的機能の持続的発揮
  1. 山村の果たしている重要な役割や木の文化について、児童生徒を含め国民一般の理解を深めるための教育・啓発・普及対策の充実・強化を図ること。
  2. 森林が二酸化炭素吸収源として大きな役割を担うことを踏まえ、計画的な間伐等の森林施業とこれと一体的となった森林作業道の開設を直接支援する「森林管理・環境保全直接支払制度」の充実・強化を図ること。また、森林所有者等による計画的な森林施業が適切に行われることを確保するため、「森林整備地域活動支援交付金事業」の充実・強化を図ること。
  3. 国土保全や生活環境整備を図るため、治山、治水及び砂防対策の充実・強化を図ること。また、水源の涵養、自然環境の保持等国土保全に資する事業を対象とした「国土保全対策」(地方財政措置)の継続実施を図ること。
  4. 山村地域に期待される森林吸収源対策、再生可能エネルギー対策を強力に推進す るため、地球温暖化対策のための税の活用、森林環境税の創設等に係る所要の税制措置を講ずるとともに、地方税財源を確保・充実する制度を創設すること。
W 山村地域の活性化
  1. 山村地域における農林水産業の維持・活性化を図るため、「中山間地域等直接支 払交付金」、「農地・水保全管理支払交付金」及び「耕作放棄地再生利用緊急対策交付金」の充実強化を図るとともに、森林の維持管理を支える山村の地域活動や林家の取り組みに対する支援策を充実強化するための直接支払い制度を創設すること。
  2. 農山漁村の地域活性化と地域コミュニティーの再生を図るための「都市農村共生・対流総合対策交付金」及び「森林・山村の多面的機能発揮対策交付金」の充実強化を図ること。
  3. 山村地域における農林水産業の振興、生活環境の向上を図るため、「農山漁村活性化プロジェクト支援交付金」及び「強い農業づくり交付金」の充実強化を図ること。
X 産業の振興、地域資源の活用
  1. 山村地域の発展には、地域資源を活用した産業振興が不可欠であり、農林水産業の振興とその6次産業化の推進を図るとともに、森林資源、農地等の土地資源、優れた環境等を活用した新たな企業立地の対策を充実・強化すること。
  2. 森林資源を活用した地域振興を図るため、川上から川下に至る一貫した林業、木材産業の振興対策の拡充強化を図るとともに、地域の自主性を尊重しつつ持続的森林経営、木材利用促進を行うための「森林・林業再生基盤づくり交付金」の充実強化を図ること。
  3. 森林経営計画を見直し、現場の実情に即した施業、間伐を推進するほか、林業施業の低コスト化、再造林対策の強化を図ること。
  4. 林業・木材産業、農業等山村地域における産業の担い手の育成確保対策の拡充強化を図ること。
  5. 木材価格の安定対策の強化を図るとともに、公共建築物、公共土木分野等における国産材活用の推進、鉄骨構造の木骨構造への転換の推進、木材・木製品の輸出促 進を図るほか、地域材を利用して住宅を建築する者等へのポイント付与等により木材の利用促進を支援する制度を充実・強化すること。
  6. 木質バイオマス産業化を促進するための施設整備、システム開発を図ること。また、農山漁村における再生可能エネルギー導入の促進を図る取り組みを支援するための対策の充実・強化を図ること。
Y TPP交渉
   TPP交渉に当たっては、山村地域の最大の懸案である米をはじめとする農産物関税の聖域が守られるよう、また、山村地域に悪影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行うこと。
Z 鳥獣被害防止
  1. 鳥獣被害防止特別措置法等に基づき、野生鳥獣の生息調査、被害軽減の技術普及を行うとともに、柔軟な猟期設定を行う等地域ぐるみの総合対策を推進すること。
  2. 鳥獣被害対策実施隊の設置促進、猟友会等の民間団体の参加促進、林業分野との連携を促進すること。
  3. 捕獲鳥獣の加工処理施設、焼却施設の設置促進を図ること。
[ 山村と都市との共生・対流
  1. グリーン・ツーリズムの一層の普及を行うとともに、地域ぐるみで行う受入体制や交流空間の整備及びNPO法人等の多様な取組主体の育成等グリーン・ツーリズムの総合的な推進を図ること。
  2.  山村における国民の幅広いボランティア活動を促進するための対策の充実・強化を図ること。
  3. 大学生を含め学校教育・社会教育において自然豊かな山村での体験活動を推進すること。
  4. 山村地域へのUJIターン者の定住促進、高齢者の地域社会の活動に参加できる機会の確保、都市との連携強化による山村の活性化の取り組みの充実・強化を図ること。
\ 道路、情報通信基盤の整備
  1. 山村地域の産業、生活基盤として不可欠な高規格幹線道路、地域高規格道路、一般国道及び都道府県道の整備、特に、市町村道の改良・舗装等、立ち遅れている山村地域の道路整備を促進すること。また、基幹的な幹線市町村道路の整備の都道府県代行に対する助成措置を講ずること。
  2. 道路整備のための財源を十分に確保し、特に、地方における道路財源の充実を図ること。
  3. 携帯電話不通地域の解消、インターネットのブロードバンド接続可能地域の拡大等デジタルディバイドの解消を図るための高度情報ネットワークその他通信体系の充実・強化を図ること。
  4. ラジオ難視聴地区の解消を図ること。
] 生活環境の整備
  1. 山村地域住民の生活交通を確保するため、地方バス路線維持、デマンドバスシステムの導入等対策の充実・強化を図ること。
  2. 山村の簡易水道等施設の整備促進を図ること。
  3. 山村地域の実情に応じて汚水処理施設の整備促進を図ること。
  4. 廃棄物処理施設の整備を推進するため、助成措置を講ずること。また、廃棄物処理施設の解体に対しては、適切な措置を講ずること。
  5. 消防力の充実を図るため、消防施設等整備に対する助成措置を講ずること。
]T 医療・保健・福祉
  1. 山村地域の小児科医を含めた医師の確保に万全を期すこと。へき地診療所等の運 営、医療施設・保健衛生施設の整備、医師及び看護師の養成・確保に対する助成措置の充実・強化を図ること。
  2. へき地保育所の運営、高齢者等の社会福祉施設整備、社会福祉関係職員等の養成・確保に対する助成措置の充実・強化を図ること。
]U 教育・文化
  1. 公立学校施設整備、スクールバス等の購入に対する助成措置を講ずること。
  2. 寄宿舎居住費等へき地児童生徒に対する助成措置を講ずること。
  3. 山村地域の文化財の保護等に対する財政措置を講ずること。
]V 山村地域の自主性の確立
  1. 財源保障機能及び財源調整機能を果たす地方交付税制度の充実・強化を図り、所要額を確保すること。
  2. 基準財政需要額の算定に当たっては、山村自治体が人口割合に比べて広い面積を有し、国土保全、地球温暖化防止等に重要な役割を果たしていることを考慮し、面積要素を重視するなど、山村地域の実情に即したものとすること。
  3. 独自の発想に基づく山村振興を助長するため、山村地域の自主性を尊重する助成措置、規制緩和措置等の幅広い導入を図ること。
  4. 道州制は絶対に導入しないこと。
]W 山村振興法の改正
   山村振興法が平成27年3月に期限を迎えることに臨み、都市との生活水準の格差 拡大、過疎・高齢化、鳥獣被害の増大等山村地域の抱える問題点を踏まえ、山村の維持活性化に必要な諸施策を充実させる観点から、山村振興法の延長及びその内容の充実を図ること。