平成25年度全国山村振興連盟関東ブロック会議が、8月22日(木)〜23日(金)の2日間にわたり全国山村振興連盟静岡県支部(支部長 藤井武彦 西伊豆町長)及び静岡県の主催により静岡県富士宮市において管内の会員、支部事務局等87名が参加して開催された。
 会議は、静岡県支部 岡本 武 事務局長の司会のもとで進められ、その概要は次のとおりとなっている。

1.あいさつ
 主催者あいさつが藤井武彦 静岡県支部長及び大谷徳生 静岡県経済産業部理事から、開催地あいさつが芦澤英治 富士宮市副市長からあった。
 来賓として、次の者が紹介された。(敬称省略)

  総務省地域力創造グループ地域振興室課長補佐            原  武
  農林水産省中山間地域振興課課長補佐                 益田健太
  林野庁森林整備部森林利用課山村振興・緑化推進室課長補佐   松本康裕
  国土交通省国土政策局地方振興課企画専門官             西野 仁

  全国山村振興連盟の役員として、次の者が紹介された。(敬称省略)

  全国山村振興連盟副会長 長野県泰阜村長              松島貞治
  全国山村振興連盟常務理事兼事務局長                 岸 廣昭

2.議事
(1)情勢報告 全国山村振興連盟 岸 廣昭 事務局長
   山村振興のための予算・施策実現のための活動等連盟の活動状況について報告が
   行われた。

(2)国の施策説明
  総務省、農林水産省、林野庁及び国土交通省から説明があった(主な項目)。
 @「地域力創造グループ施策について」
        総務省地域力創造グループ地域振興室 原 武 課長補佐

  ○ 地域経済イノベーションサイクル
    産学金官の連携のもと、民間の資金を活用して、地域のイノベーションサイクルを
    構築し、雇用の拡大を図るとともに、エネルギー・インフラや公共クラウドなどの地
    域の基盤整備を進める。
  ○ 「定住自立圏構想」の推進
    中心市と周辺市町村が相互に役割分担し、連携・協力することにより、圏域全体と
    して必要な生活機能を確保する「定住自立圏構想」を推進し、地方圏における定住
    の受け皿を形成する。
  ○ 過疎法による過疎対策について
    昭和45年以来、四次にわたり議員立法として過疎法が制定。平成22年に6年間
    延長し、平成24年に平成33年3月まで再延長。
  ○ 若手企業人地域交流プログラム
    大都市圏の企業に勤務する若手企業人が、一定期間(1〜3年間)地方の自治体に
    派遣され、地域独自の魅力や価値の向上につながる業務に携わることにより、地
    方の元気づくりを推進するとともに、地方と大都市圏の交流の架け橋となる人材と
    して将来的な活躍を期待。
  ○ 外部人材を活用する四つのツール
   地域おこし協力隊、集落支援員、復興支援員、外部専門家
  ○ 「域学連携」地域づくり
    大学生と大学教員が地域の現場に入り、地域の住民やNPO等とともに、地域の課
    題解決や地域づくりに継続的に取り組み、地域の活性化や人材育成に資する。
  ○ 子ども農山漁村交流プロジェクト
  ○ 「シニア地域づくり人」
    平成25年度はモデル事業(国費)として実施

 A「山村振興対策について」 
        農林水産省中山間地域振興課 益田健太 課長補佐 

    山村振興法は昭和40年に議員立法で制定され、10年ごとに延長されてきている。
   現在の法律は平成27年3月末に期限が到来するが、引き続き法律に基づき山村振
   興を積極的に推進していく必要があると認識している。全国山村振興連盟ではその
   延長と内容の充実に向け検討会でを行っている承知しているが、関係方面とも連携
   して適切に対応していきたい。

  ○ 山村振興法の概要、振興山村の現状と課題
  ○ 山村振興施策
    農山漁村活性化プロジェクト支援交付金、中山間地域等直接支払交付金、都市農
    村共生・対流総合対策交付金、鳥獣被害防止総合対策交付金
  ○ 振興山村における工業用機械等に係る特別償却≪所得税・法人税≫
  ○ 振興山村・過疎地域経営改善資金、中山間地域活性化資金
  ○ 山村振興法の経緯

    
 B「森林・林業行政を取り巻く情勢について」

       林野庁森林整備部山村振興・緑化推進室 松本康裕 課長補佐

  ○ 木材利用ポイント事業
    関係者による地域材の需要拡大の取組を促進し、地域材需要を大きく喚起する対
    策として、地域材の利用に対してポイントを付与し、農山漁村地域経済全体への波
    及効果を及ぼす取組への支援。
  ○ 公共建築物等における木材利用の促進
    市町村方針策定済みの市町村:1,195(平成25年6月末) 全市町村の約7割
  ○ 間伐特措法の改正
    現行法では平成24年度までとなっている市町村が定める計画に位置付られた間
    伐等の実施に係る財政支援を引き続き平成32年まで措置。
    成長に優れた種苗の母樹の増殖を支援する措置を新設。
  ○ 過疎対策事業債
    平成22年の「過疎地域自立促進特別措置法」の改正により、新たにソフト事業に
    ついても対象として認められた。これにより、間伐等の森林整備を過疎地域自立促
    進計画に位置づければ、過疎対策事業債の対象とすることが可能。
  ○ 森林・山村多面的機能発揮対策
    民間協働組織が実施する森林の保全管理や森林資源の利活用等、森林の多面的
    機能の増進および山村の活性化に資する取組に対し、平成25年度〜27年度の
    3年間、一定の費用を国が支援。

 C「国土交通省の山村振興対策について」

          国土交通省地方振興課 西野  仁 企画専門官 

  ○ 市町村道の新設及び改築事業の県代行制度
  ○ 集落地域における「小さな拠点」づくり
    小学校区など複数の集落が集まる地域において、暮らしの安心と希望をつなぐ「小
    さな拠点」づくりを通じ、持続可能な地域づくりを推進する。  
  ○ 集落活性化推進事業
    地方の条件不利地域における公益サービスの維持確保、産業の活性化及び地域
    間交流の促進を図るため、市町村等が行う既存公共施設を活用した施設整備等を
    支援する。
  ○ 多様な主体の協働による地域づくり
    地元企業、地縁組織、NPO法人等の多様な主体の協働による地域経営や地域課
    題解決システム構築に向けた活動環境の整備を推進する。

3.事例発表

 「柚野地区の活性化にあたっての取り組み」

 ○ ふじのくに美しく品格のある邑「柚野の里」副代表 山本 進 氏から、次のような発
  表があった。(要旨)

 静岡県が推進している「ふじのくに美しく品格のある邑づくり」には、県内35市町で45の「邑」が登録されているが、富士宮市の代表として「柚野地区」もその一つとし登録されている。
 「柚野地区」は、世界文化遺産に指定された富士山の麓にあり、縄文草創期今から約1万3千年程前から人が暮らしていた日本最古の集落跡が大鹿窪遺跡として国から指定されている。
 この地域は、石積みで作られた棚田が点在し、芝川を源流にした用水路の清き水が田畑を潤し、富士山を背景に自然の中で暮らす人々の営みが今も色濃く残っており、これを将来にわたってつなげようと様々な取り組みが行われている。

 ○ ついで、 富士山縄文の里大鹿「すずめの楽校長」 井上達男 氏から、次のような発
   表があった。(要旨)

 「柚野地区」は合併により柚野村から芝川町(昭和32年)へ、そして富士宮市(平成22年)と変遷してきた。この地区では、昭和48年に山村振興事業、昭和60年に農業基盤整備、平成2年にふるさと創生事業、平成12年に県営中山間地域総合整備事業等が逐次実施され、梅の植栽、生活改善センターの整備、基盤整備、温泉(新稲子川温泉)、活性化拠点施設の整備等が行われた。
 活性化拠点施設である「富士山縄文の里大鹿館」を活用する組織として「すずめの楽校」が立ち上げられた。名前は、おばちゃん達が集まったときの賑わいに由来している。17のグループからの申込に対応して活動している。
 縄文の里「よりあい処」は、毎月第2水曜日に旬の食材を使ったおばちゃんオリジナルの料理を地域のお年寄り(30数人)にもてなししている。地域の子供達にも料理を提供し、その中から人気メニューを発掘することも。
 「棚田を楽しむ会」は、地域外交流として、田植え、草刈り、稲刈り、脱穀等を行っており、子供達の収穫したもち米は力もちにして地区の神社の子供相撲に奉納している。
 秋祭りには「どぶろく研究会」が新米どぶろくを奉納し、大鹿館の軒下、神社の境内には地域の農産物の販売等も行われる。地区では、春ー富士山縄文の里さくら祭り、夏ー七夕っつあん、秋ー福石神社秋の祭典、冬ーどんどん焼き、が行われている。
 地域の活性化は、まずはそこに住む人達が元気に楽しく生活すること。元気で楽しんでいる地域域には外部の人が必ず集まる、そんな思いで柚里地区の人は過ごしている。

4.講演

 「都市に必要とされる山村づくり」〜自立型地域づくりの実践から〜
○ 静岡大学人文学部名誉教授 小櫻義明 氏 から次のような講演があった。(要旨)

 私は40年以上地域問題に関わっている。静岡県内はくまなく歩いた。静岡県の地域づくり団体の代表幹事を務めている。平成6年から静岡県内の山村に居住し、平成20年にはそこに家を建てた。標高780mで現在の定住世帯は5世帯。そこで村づくにも取組んでいる。村づくりを実践している中から感じてきたことをお話する。
 外から見る山村と内から見る山村にはギャップがある。山村がやたら美化されることがあるが、現実はそんな甘いものではない。山村の人はあれがない、これがないと不満を言うが、すばらしいものを持っていることに気がつかない、当たり前と思っている。都会の人が田舎に入ってくれば、田舎は変わる。また、問題意識を持って一旦田舎を出た人が戻ってくれば変わる。
 山村活性化の類型には3つある。企業経営型山村、自給自足型山村、都市連携型山村であるが、それぞれ、リーダー、担い手、価値観、立地条件等様々な要件が備わっていることが求められる。
 都市との連携ということでは、5年前から「農家による縁側お茶カフェ」を実施している。これは、農家の縁側で地域特産のお茶とお茶受けを提供し、一定の料金をいただくものであるが、縁側は都会の人には魅力的であり、地域の産物を賞味できる喜びもある。産直では顔写真を掲示しているものがあるが、農家に足を運んでもらうことで、消費者を仲間にすることができる。集落全体で取組めば、農家ごとに違ったものが提供されるので、何度でも来てもらえることになる。この試みは、テレビでも取り上げられ、他県でも実施されているところがあるようである。
 私の住んでいる集落から中心集落まではものすごく離れており、交通手段の確保が難しい。このため、私の車に6人乗せて買い物ツアーを実施している。一定の料金はいただくが、交通行政の面からは一定の制約はあるようだ。一緒に行く買物には、おしゃべり、バックミュージックから流れる昔の流行歌の合唱など楽しみがいくらでもある。さらに、自分で栽培、採取した産物を社会福祉協議会が斡旋してくれた場所で即売し、そのお金で買い物をすることもできる。
 息子が都会に出て残された高齢者のことを、残った隣家の人がなぜ心配しなければいけないのか、言われる。集落を支える人材をどのように確保するかが問題である。その解決には、山村と都市との距離等によって対応が異なる。移住・交流によって地域に欠けている層を補うことができればいい。
 山村は奥深い。それぞれ地域の伝統、歴史を持っている。暮らし方、風習も異なる。現場を踏まえて、地域づくりを行っていくことが大事だ。
 生活に困っているから助けてくれとの泣き言ではだめだ。知的労働の人がこれからさらに増えるであろうが、その人達にとって、自然に触れて癒されることは不可欠だ。このような人達が訪れる場を提供していくのも山村の大きな役割の一つではないか。
自信と誇りを持って取組んでいくことが大事だ。

5.次期開催県あいさつ

 次期開催県である、福島弘文 埼玉県支部長(小鹿野町長)から挨拶があった。

翌日は、次の個所を視察した。
1.富士山縄文の里大鹿館
  柚野の里活性化施設として設置されたもので、農産物加工施設、交流多目的ホール、
  和室兼小会議室が整備されている。地域の各種団体の活動拠点として幅広く活用され
  、地域の活性化に役立っている。
2.富士山世界文化遺産構成資産白糸の滝
  富士山の湧水が幅約120メートルにわたって噴出している。
3.あさぎりフードパーク
  富士山の西麓、朝霧高原の広葉、落葉樹に囲まれた豊かな自然景観の中で、環境に
  マッチした「食と自然が融合した・林の中の食品工房」をコンセプトとし、飲食料品製造
  を含む6社がコラボレーションして造り上げた食文化の拠点としての工房団地。
4.静岡県水産技術研究所 富士養鱒場
  ニジマス養殖を産業化するため、昭和8年に県営養鱒場として開設された。平成9年か
  ら種苗生産業務は民間に移管。平成21年にニジマスが富士宮市の「市の魚」に制定さ
  れている。ニジマスの生産量は都道府県単位では静岡県、市町単位では富士宮市が
  全国1位。
5.富士山世界文化遺産構成資産 富士山本宮浅間大社
  全国1千3百余に及ぶ浅間神社の総本宮。本宮の境内の広さは約17000坪。   


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