都道府県の山村振興主管課長を会員とする山村振興全国連絡協議会(会長:吉田篤史 山形県農林水産部農政企画課長。)は、平成25年10月29日(火)に農林水産省及び林野庁の関係部課室長等と山村振興施策に関して意見交換を行った。
 意見交換に活用した山村振興施策に関する提案は、次のとおりとなっている。

平成26年度以降に係る山村振興施策に関する提案


 山村地域の振興及び当協議会の活動に対して、日頃から格別のご支援、ご指導を賜り厚くお礼申し上げます。
 さて、山村地域は国土の約7割を占める山林を背景に、日本の水源として、また地球温暖化を防ぐCO2の吸収源等として、国土の保全や国民生活全般に重要な役割を果たしています。
 山村振興については、昭和40年の山村振興法制定以降、様々な対策が実施され、交通条件、経済的・文化的諸条件の格差是正・地域の産業基盤や生活基盤の整備等が行われてきたところですが、山村地域における、人口減少、過疎化・高齢化の進行は著しい状況にあります。
 こうした中で、地場産業の停滞、耕作放棄地の増大、森林の荒廃、鳥獣被害の拡大等がみられるなど、集落そのものの存続が危ぶまれる地域が増加しております。
 っきましては、山村地域において地域住民が今後とも安心して住み続け、地域の活性化を図っていくために、以下について提案します。
 ○ 山村地域における人口減少に歯止めをかけ、集落機能を維持していくため、それら
  の地域に暮らす人々が生きがいを持ちながら働き、愛着や誇りを持って住み続けたい
  と思える魅力的な地域づくりや、若者が地域の将来の可能性に期待を抱きながら働く
  ことができる産業振興を図ること。
 ○ 山村地域の基盤産業である農林水産業の振興に向けて、生産基盤や施設・設備等
  の整備に対する支援の充実・強化を図るとともに、地域の自然条件や生活・文化に
  適応した作物等の生産振興を推進すること。
 ○ 地域で生産された農林水産物や、恵まれた自然環境から得られる地域ならではの
  資源を活用し、地域住民や地域に根差した農協・森林組合等が中心となった農林水産
  業の6次産業化など、地域住民の安定した所得確保に向けた取組みを強力に支援す
  ること。
 [個別提案事項]
 1 山村振興法の延長及び充実
   山村振興法が平成27年3月に期限を迎えるが、山村地域が抱える課題の解決に向
  け、山村地域の活性化に必要な諸施策を充実させるため、山村振興法の延長及びそ
  の内容の充実を図ること。
 2 中山間地域等直接支払制度の実態に即した制度設計と法制化
   「中山間地域等直接支払制度」は、山村地域等の条件不利地域における耕作放棄
  地の発生防止や多面的機能の維持の面で欠かせない制度である。
   多面的機能の維持に着目した日本型直接支払制度の検討に当たっては、現行の中
  山間地域等直接支払制度の内容や支援水準を維持するとともに、事前に市町村や都
  道府県等との十分な情報交換を行い、実態に即した制度設計とすること。
   また、農業者が安心して取り組めるよう当該制度の法制化を図ること。
 3 野生鳥獣の被害防止対策の充実・強化
   山村地域においては、イノシシ、ニホンジカ、ニホンザル等の野生鳥獣による農林水
  産業への被害が深刻化している中で、野生鳥獣の生態に応じた効果的な被害防止対
  策や、狩猟者の減少対策等が喫緊の課題となっている。
   有害鳥獣捕獲従事者や被害対策の指導者の確保・育成支援を含めた、被害防止に
  向けた総合的な鳥獣被害防止対策の充実・強化を図ること。
 4 耕作放棄地対策の充実・強化
   山村地域は、農業生産の条件が不利なことに加えて、過疎化・高齢化が急速に進展
  することにより、耕作放棄地の拡大が進んでいる。
   耕作放棄地の解消に向けて、地域農業を支える多様な農業者が農業を継続できる
  環境の整備や、効率的な農業経営が可能となる基盤整備と一体的に行う農地の再生
  など、耕作放棄地対策の充実・強化を図ること。
 5 都市農村交流の総合的な推進
   都市住民の農業体験や研修活動を地域ぐるみで受け入れる「都市農村共生・対流
  総合対策交付金」については、支援内容を充実させるとともに、今年度の事業の実施
  状況や各地域が事業を進めていく上での要望も踏まえ、事業制度の充実を図り、都市
  農村交流の総合的な推進を図ること。
 6 山村地域における基盤及び施設整備に対する支援の充実・強化
   山村地域の基盤産業である農林水産業の振興や、山村地域に暮らす農林漁業者の
  生活環境の向上等を図るため、生産基盤及び施殺・設備等の整備に対する支援につ
  いて一層の充実・強化を図ること。
 7 森林吸収源対策の推進
   森林吸収源対策は地球温暖化対策の重要な柱となっていることから、健全な森林の
  育成や木材利用による炭素貯蔵機能の発揮に向けて、森林の整備及び保全管理を
  着実に推進するとともに、住宅や公共建築物等への国産材の積極的な使用、木質バ
  イオマスエネルギーの利用拡大による木材の有効利用に向けた支援拡充など、森林
  吸収源対策の一層の推進を図ること。
 8 水源林の適正な保全・管理の推進
   森林の持つ水源涵養機能を持続的に発揮するため、水源林の森林整備、公有林化
  及び公有林化後の維持管理に対する支援を拡充するとともに、都道府県や市町村レ
  ベルでは抜本的な対策が困難であるため、水源林の土地取引や利用を規制する関連
  法令を整備し、水源林の適正な保全・管理を図ること。


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