平成27年11月19日に開催された全国山村振興連盟通常総会において、佐々木 哲男 秋田県東成瀬村長及び尾上武義 三重県大台町長両名から事例報告が行われた。
 その報告の概要と配布資料を紹介します。

2.三重県大台町長 尾上武義
 大台町の概要ですが、三重県の南西部に位置し、東は伊勢市あるいは松阪牛で有名な松阪市です。西側は奈良県に接しておりまして、東西56qの町です。
 平成18年1月に旧大台町と旧宮川村が合併しました。当時11,300人のスタートでしたが、今は9,800人ということで1,500人ほどこの10年間で減少しています。御多分にもれず出生も50人前後で推移しておりますし、死亡が150人程度で自然減だけでも100人はあるということです。
 最も奈良県境に近い旧大津谷村ですが、ここでは昭和30年2,980人の人口でしたが今は265人、高齢化率は70%を超えているということで超高齢化社会が形成されている町です。合併して面積が362km2を超え、林野率93%となっています。奈良県境に位置する大台ケ原を源とする「宮川」が一級河川でして、伊勢市を流れて伊勢湾に注いでいます。
 町の資源といえば、このよな森林と川ということがいえるのではないかと思います。 その資源から生まれた取組について少しご紹介をさせていただきます。
 その一つは、平成3年に国土交通省が行った全国1級河川、109河川ありますが、その水質調査で「宮川」が日本一になったことです。当時の村長は、早速「水を作ろう」ということになりまして、提案が出てきましたが、その時には全国では200ほどの水を製造販売する企業があるという中でそこに入っていくのもどんなもんであろうということでかなり逡巡した経緯がありましたが、県のご協力もいただきながら1年少々かかりましたが、最終的には林野庁の特認事業ということでお認めをいただきまして、当時は40未満の若者27名が集まって出資をして「森と水を守る会」を作ってどうにかスタートすることができました。平成6年の3月から事業を開始しましたが、なにせ競争相手が沢山いるということで、当時4千数百人の村民でありましたが、知り合いとか親戚とかいろいろ応援を頂く中で何とか事業化が進められました。その年は全国的に旱魃の年で、水が売れたということで 自然環境に恵まれたということですが、明けて平成7年1月に阪神淡路大震災が起こりました。8トンの水を持って支援に赴いたわけです。私に言わせれば、小さな親切大きな下心で行ったような気もするのですが、まずまずの事業展開がなされてきたということです。最近ではそこで25名の人達が雇用できるというところまで成長してきたところであります。ペットボトル、20リットル入るガロン缶とサーバーを付けてある会社と提携しながら東京、名古屋、大阪圏で2万7、8千の顧客を持ちながら成長をしていっています。
 この「森と水を守る会」という組織は、自然環境を保全するための活動もしていただいておりまして、そういった流が当時の宮川村にはあって、啓発型の環境保全条例、あるいは、キャンプ地指定に関する条例、水道水源等保護条例、ゴミの投げ捨て禁止条例、空き地空き家の適正管理に関する条例、全部で5本の条例を作りました。その中でもキャンプ地指定に関する条例につきましては、罰則付きであったのですが、これには警察庁の協議が要るということで赴いたわけですが、全国どこの河川に行っても、自由に使えるものに罰則を付けると絶対負けますよ言われて、ああそうですかと帰ってきたのですが、議会にも認めていただいてスタートしました。トラブルがあるかと思いましたが、トラブルも無く5つの地点でうまくキャンプがなされています。
 それ以外にも合併浄化槽の市町村型の整備事業を導入し、あるいは一部ですが公共下水道の整備事業を行い、生活排水の処理をしながら、我々上流域の責任として伊勢湾にきれいな水を送って、地域の資源を循環する一員としての役割を果たしそうということで、これらの事業を今も展開しています。
 もう一つが、環境省が地球温暖化対策の一つとして取り組んでいるJ-VER制度についてです。このJ-VER制度の認証を取得しました。平成22年頃です。森林がCO2を吸収する能力をお認めいただく中でカーボンオフセットということで、町有林が吸収した二酸化炭素CO2を売却しています。COP10に1,003トンのお買いあげをいただいており、トータルして現在、お金で約2,600万円ほどの売り上げにつながっています。これは町有林の150haの森林のCO2吸収能力をお認め頂いたということです。これについては、私共ではとてもできるものではありませんで、早稲田大学の研究室の方々が宮川村に環境調査に入りましてその中のご指導がありまして、このようカーボンオフセットができるようにつながってきたということであります。
 この他にもこれからやろうとしていることが、文部科学省の方で今、ユネスコ・エコパークの登録があります。全国で、7つの地域がエコパークに登録されていますが、いわゆる生物源の保存地域ということで、この大台ヶ原・大峰山が登録されています。この期限がもうすぐ切れるということで、拡張登録しながら進めていこうということで、奈良県側と内の皆さんと一緒になりながら拡張登録に向けて努力しているところです。
この8月に国内推薦が決定しまして、来年国際会議で認めてもらえると思っていますが、
そうなりますと、世界が認める生物源保存地域になりますので、自然環境もさることながら観光、文化、自然などを含めて大台町を情報発信をしていきたいと思っています。
 小さな農地が点在するわけでありますが、大台茶の産地でもあります、また、松阪牛の産地でもありますが、こういった小さな農地を使いながら頑張っていきたいと思っていますが、野菜の生産も含めて「道の駅」を中心にしながらもっともっと売り込んでいく努力が必要ではないかと思っているところです。大台町も今9,800人ほどでありますが、45年先には4,700人になるということで、だまって放っておけばこういう状況ですが、少しでもこの人口減少を緩和するためにいろいろ努力をしていきたいと思っていますので、皆様方におかれましてもしっかりとご指導いただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 簡単ながら私の事例報告とさせていただきます。ありがとうございました。



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