和歌山県紀美野町長 寺本光嘉

(概要)
紀美野町は和歌山県の北部に位置し、世界遺産「霊峰高野山」のふもとにあって、面積128.34平方キロメートルで山林面積が75%の山村でして、町の端から端まで約28qの長い中山間地域の町です。
当町は平成18年1月1日の平成の合併により旧野上町と旧美里町が合併し、当時人口
1万2千人弱の町でありましたが、御多分にもれず高齢化率は43.4%になり、過疎化が進んで現在では人口は9,424人になっています。
実は、先ごろ、増田元総務大臣が和歌山県で2番目になくなる町、紀美野町と発表されましたが、これを覆すためにも、「空、山、川のふれあいのある美しいふるさと」をスローガンにして、7つの目標をもってまちづくりを進めています。

(みんなでつくるまちづくり)
 行政の押し付けではなく、やはり、まちづくりは町民みんなの力で行う、その環境を整備をしていくのが行政であるという風に考えています。そうした中で、「まちづくり推進協議会」を平成19年に発足し、会員60名の町民の皆さん方で現在も活動をしていただいています。専門部会として、ブランド部会(特産品の部会)、美しい郷づくり部会、紀美野史発見部会といった各部会を作って、それぞれ皆さんに活動していただいています。それの環境整備をしていくのが町の行政の役目であるということで進めています。
 また、一方で町民の皆さんに活気と団結を持ってもらうために、まちおこし事業、過疎対策事業ですが、各地区においてまちおこし活動が町内5か所において現在取組みが行われています。これについては、過疎集落等の自立再生対策事業という国の補助金、また、県においては再生活性化支援事業という100%補助ですが、それらの補助金を受けて、現在実施しているところです。しかしながらこのまちおこし、立ち上がるのは立ち上がるそれをいかに継続していくかが大きな課題で、町単独事業として年50万円以内の補助制度を設けています。
 次に人口減少を少しでも食い止めるために、定住促進ということで平成18年から県下に先駆けて積極的に取り組んできました。約10年間、平成28年9月現在で、58世帯、116人が定住しています。早くも2世が誕生しています。
 そこで、思わぬような副産物が出てきまして、技術を持った方々が定住してこられ、そこで店を開店される。それによりおいしいパン屋が3軒、ジェラード店、イタリアン料理、フランス料理、カフェもある、こうした状況になっています。京阪神から若い人達がこれを求めて沢山来ていただいています。

(住みやすいまちづくり)
 地上デジタル放送難視聴対策として、ブロードバンドを光ケーブルでなく、ギャプフィラー方式ということで電波を飛ばす、そのため町内に60局を開設し、全町内に送信しています。これは災害に強い。中山間地域では、災害・土砂災害が起これば道路が寸断される、また、光ケーブルも寸断される。そうするとそこから先には情報が伝わらない、そうしたことに対してこのギャプフィラー方式は電波を飛ばしますので、携帯電話、ワンセグが活用でき、災害状況が把握できるということになります。
 光ケーブルは各社において採算性を重視されまして、山間地域では採算が採れないということで光ケーブルネットは引いてくれませんでした。そこで、光インターネット全町開通整備補助金ということで、過疎債を2億円借り入れて、これをNTTに補助して町内に光ケーブルを設置しました。これが、定住促進にも大きく影響しています。

(安全・安心なまちづくり)
 中山間地域においては、本当に防災対策が大事です。近い将来東南海地震の発生が言われています。どういう救助体制を整えるかということで自主防災組織を立ち上げました。町内18の自主防災組織に対して、防災訓練、資機材購入費などを出しています。自主防災組織、地域の消防団、町の消防この三者一体になって救助活動に取組むという体制づくりを行っています。防災用の無線ですが、非常に町の奥行が長いということで、136局作り、防災行政無線を流しています。これを活用して、12時と17時の時報、その他の連絡事項を流しています。町民の皆さんは町の情報を聞くことで安心感を得ることができます。
中山間地域では土砂災害が起こると集落が孤立します。そこで活躍できるのはヘリポートです。このため、正式ヘリポートを3か所設けています。これによりなんとかいち早く土砂災害に際し救助できるようにしています。

(福祉の充実したまちづくり)
 人口減少に対する対策として、子どもは宝ということで、スローガンを作りまして、子どもの医療費を平成18年から小学校6年生までの医療費を無料化、その後中学校3年生までの医療費を無料化、そして、平成28年から18歳未満の人も無料化しました。
そうしたことで子どもを生み・育てる環境づくりもしています。
 また、高齢者は一人でいる方が多い、そんな中で、「ふれあいサロン」を作って、高齢者とは限りませんが、憩いの場として町内に45か所開設し、一か月に一度か二度、皆で集まって食事をしよう、また、レクレーションを楽しもうという場を設けています。これに対して補助金を出しています。それにより、高齢者の安否確認もできます。

(活気のあるまちづくり)
 グリーンツーリズム、体験型の農家民泊の取り組みを行っています。町内20か所、20軒の民泊が登録をしています。昨年は12校の子ども達を受け入れています。都市との交流を図るとともに、田園回帰を同時に図っています。
 また、高齢者対策の一つとして、シルバー人材センターを平成17年6月に設立し、5年間で法人化をしようということで進めてきました。法人化により国からの補助金も受けられるということで、現在では、国からの補助金5百万円、町の補助金5百万円で活動を行っています。ちょっとしたお手伝い、庭木の剪定など皆さんに喜ばれています。

(締めくくり)
 行財政改革進める中で、中山間地域という厳しい条件の中ですが、豊かな自然を活かした夢と活気のあるまちづくりのために、人口減少対策並びに防災・減災対策、町の強靭化に向けて積極的な取り組みを行っています。

(資料) 寺本 紀美野 町長