都道府県の山村振興主管課長を会員とする山村振興全国連絡協議会(会長: 小畑幹埼玉県農林部農業ビジネス支援課長)は、平成29年9月5日(火)に農林水産省及び林野庁の関係部課室長等に対し施策提案活動を行った。
 山村振興施策に関する提案は、次のとおりとなっている。

平成30年度以降に係る山村振興施策に関する提案

  山村地域の振興並びに当協議会の活動に対して、日頃から格別の御支援、御指導を賜り厚くお礼申し上げます。
 さて、山村地域は我が国の国土の約5割を占めており、国土の保全、水源の涵養等、多面にわたる機能を有しており、農林水産業の発展や国民生活及び国民経済の安定に寄与するなど重要な役割を果たしています。
 山村振興については、昭和40年の山村振興法制定以降、様々な対策が実施され、交通条件、経済的・文化的諸条件の格差是正、地域の産業基盤や生活基盤の整備等が行われてきたところですが、山村地域における、人口減少、過疎化・高齢化の進行は著しい状況にあります。
 こうした中で、地場産業の停滞や農地及び森林の荒廃、鳥獣被害の拡大等により、集落そのものの存続が危ぶまれる地域が増加しております。
 つきましては、山村地域において地域住民が今後とも安心して住み続け、地域の活性化を図っていくために、以下について提案します。

○ 山村地域における人口減少に歯止めをかけ、集落機能を維持していくため、そ
  れらの地域に暮らす人々が生きがいを持ちながら働き、愛着や誇りを持って
  住み続けたいと思える魅力的な地域づくりを進めるとともに、若者が地域の
  将来の可能性に期待を抱きながら働くことができる産業の振興を図ること。

○ 山村地域の基盤産業である農林水産業の振興に向けて、農林水産物の高付加価
  値化や、多様な地域資源を活用した戦略展開、生産基盤の整備等を推進する
  こと。

○ 山村地域の維持・発展のため、効率的かつ安定的な経営体や新規就業者等、
  地域の実情に応じた担い手の確保・育成を推進すること。


[個別提案事項]

1 山村地域における農業振興と山村活性化に向けた支援策の充実
 山村地域に適した農産物の生産振興や集落営農の組織化などの農業の担い手育成への支援を強化すること。さらに、基幹集落への機能集約、集落間のネットワーク化等による山村地域の維持・活性化に向けた取組や、地元企業と連携し、地域資源を活用した新たな付加価値の創出(6次産業化)を進める支援策の充実を図ること。
  特色ある豊かな地域資源を活用する取組などを支援する「農山漁村振興交付金」について、十分な予算措置を行うとともに、振興山村における税制優遇措置の適用期限を延長すること。
  また、平成29年度に創設された「中山間地農業ルネッサンス事業」について、地域からの要望に応えられるよう十分な予算を確保すること。

2 日本型直接支払制度の拡充
 平成26年度に創設された「日本型直接支払制度」について、食料の安定供給をはじめ、国土及び環境保全、文化の維持・継承など重要な役割を担っている山村地域の地域活動や営農の持続的な発展に向けて、地域の実情に応じて柔軟に運用できる自由度の高い制度に拡充するとともに、国において地域からの要望に見合う十分な予算を確保すること。

3 野生鳥獣の被害防止対策の充実・強化
 山村地域においては、イノシシ、シカ、サル、クマ等の野生鳥獣による農林水産業への被害が深刻化している中で、野生鳥獣の生態に応じた効果的な被害防止対策や、狩猟者の減少対策等が喫緊の課題となっている。
  地域の実情に応じた被害防止活動を着実に実施するため、有害鳥獣捕獲従事者や被害対策の指導者の確保・育成、獣肉等の利活用を進める取組への支援や継続的な財政措置を講ずるなど、総合的な鳥獣被害防止対策の充実・強化を図ること。
  鳥獣被害防止対策を省力的かつ効果的に行うためのI CTやドローンの活用等、新技術の研究・開発及びそれらを組み合わせた安価で利用しやすい総合的な技術体系の構築を早急に進めること。
  また、全国的にクマの出没が増加していることから、地域住民の安全・安心を確保するために、人里であっても出没が多い地域では捕獲禁止措置を解除すること。

4 農地の集積・集約化対策の充実・強化
 山村地域は、農業生産の条件が不利なことに加えて、過疎化・高齢化が急速に進行することにより、農地の受け手となる担い手が不足している。
 山村地域において農地の集積・集約を進めるため、農地の受け手に対する効果的な支援措置を創設すること。
 また、機構集積協力金、農地耕作条件改善事業について十分な予算を確保すること。

5 都市農村交流の総合的な推進
 都市住民による農業体験や研修活動などを地域ぐるみで受け入れる事業について、その実施状況や事業推進に当たっての各地域の要望を踏まえ、充分な予算を確保するとともに、地域の実情に応じた受入団体等の多様な取組に加え、新たに事業参画する者に対する重点的な支援など事業を充実し、都市農村交流の総合的な推進を図ること。

6 山村地域における農業生産基盤及び生活環境基盤の整備保全に対する支援の充実・強化
 山村地域の基盤産業である農林水産業の振興や、山村地域に暮らす農林漁業者の生活環境の質的向上等を図るため、農業生産基盤及び施設・設備等生活環境基盤の整備・保全に対する支援について一層の充実・強化を図ること。

7 林業振興に向けた総合的な施策の推進
 山村地域の豊かな森林資源を循環利用し、林業を成長産業として振興するため、「森林整備事業」の予算を確保し、間伐やこれと一体となった路網整備などを推進するとともに、「次世代林業基盤づくり交付金」や「合板・製材生産性強化対策」などについて、十分な予算措置を行い、地域材の生産・加工・流通体制の整備や木造公共施設等の整備を進めること。
 また、地域材の安定供給を担う人材を育成確保していくため、「森林・林業人材育成対策」について、十分な予算措置を行うなど総合的な施策の充実を図ること。

8 森林整備等の森林吸収源対策の財源確保
 森林整備や木材利用などの「森林吸収源対策」は、地球温暖化対策の重要な柱であるため、平成29年度与党税制改正大綱に基づく「森林環境税(仮称)」などの税財源を確保し、継続的かつ安定的な森林整備等の財源となる制度を創設すること。
 なお、制度の創設にあたっては、これまで都道府県が森林整備等について積極的に関わってきた経緯を踏まえ、都道府県及び市町村の役割分担を明確にするとともに、税収は全額地方の税財源となるよう制度設計すること。また、森林環境税(仮称)の使途については、地方の意見を踏まえて、都道府県を中心として独自に課税している森林環境税等への影響が生じないようにしっかりと調整すること。

9 再生可能エネルギーの導入促進
 山村地域に豊富に存する農業用水やバイオマス等の未利用資源を活用した再生可能エネルギーの一層の導入促進により、地域の活性化と地球温暖化防止を図るため、基幹送電網の充実・強化を進めるなど、連系可能量を拡大するための施策を講じること。





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