山村振興全国連絡協議会(都道府県の山村振興担当課長で組織)の平成29年度のブロック会議が次のとおり開催された。

東海・北陸ブロック会議

 東海・北陸ブロック会議が、10月12日(木)〜13日(金)、福井県池田町 冠荘他で開催された。
 会議には、東海・北陸ブロックの県、農林水産省、東海農政局、北陸農政局及び全国山村振興連盟から担当者が参加した。
 福井県農林水産部地域農業課 高嶋章敬 企画主査の開会宣言の後、最初に開催県である福井県農林水産部 八原政和 地域農業課長から「当県は中山間地域が多くその対策が重要な課題となっているが、なんらかの対策を打つにしても地域の人的資源がネックとなっている。そういった中にあって、池田町の取り組みは、地域の活性化にとって模範となる事例であり、今日説明しもらうとともに明日の現地視察も予定している。どうぞ参考にしてもらいたい。」旨の挨拶があった。
 ついで、農林水産省地域振興課 永田浩章 調整係長及び全国山村振興連盟 岸廣昭 事務局長から来賓挨拶があった。
 会議の内容は、次のとおりとなっている。

1.中央情勢報告
 域振興課 永田浩章 調整係長から 平成30年度農林水産省予算概算要求のうち、山村活性化支援交付金、中山間地農業ルネッサンス事業、中山間地域等直接支払交付金、農山漁村振興交付金事業等の拡充、「農泊」の推進、鳥獣被害防止総合対策とジビエ利活用の推進、荒廃農地等利活用促進交付金、新規要求の林業成長産業化総合対策、森林・山村多面的機能発揮対策等について説明がなされた。
 また、地域振興課 馬場俊輔 調査係長から、山村振興法の税制特例の利用促進の依頼と振興山村等に係る制度融資の紹介があった。

2.全国山村振興連盟 事業内容報告
 全国山村振興連盟 岸廣昭 事務局長から連盟の活動状況の説明があった。

3.各県の事例報告
【岐阜県】
 グリーンツーリズムの実践者、旅行業者の組織する「ぎふの田舎へいこう」推進協議会の情報発信、体験ツアーの企画、受け入れ態勢の整備強化の取り組みについて説明があった。

【愛知県】
 交流居住のマッチング等の事業を行なっている「愛知県交流居住センター」、都市部の企業との協働による集落の活性化、都市住民との集落応援等を事業内容とする「三河の山里サポートデスク事業」、テレビやウエブを活用した情報発信を行う「山里の魅力創造発信事業」、山間地域での企業を始めたいという人を応援する「三河の山里起業実践者事業」、移住プロモーション事業等について説明があった。

【新潟県】
 ふ過疎地等においてNPO法人等が自立した地域づくりを支援する「特定地域の元気応援事業」、観光客の減少が見られる清津峡において、小学校の廃校を活用してアート作品群を展示する芸術祭を開催する「清都倉庫美術館プロジェクト」事業、除雪ボランティア「スコップ」等について説明があった。

【富山県】
 「都市との交流による農山漁村地域の活性化に関する条例」の制定、都市部の学生を招く「とやま農山漁村インターシップ事業」、都市住民の移住を促進する「とやま帰農塾推進事業」、地域の活性化の試みを支援する「とやまの田舎交流支援事業」、企業等の協力を得て商品開発等を行う「中山間地域チャレンジ支援事業」について説明があった。

【石川県】
 農村でのボランティアを希望する「農村役立ち隊」とボランティアを受け入れる「受け入れ隊」を登録し、双方の協働による地域の活性化を目指す「いしかわ農村ボランティア窓口」の事業についての説明があった。

【福井県】
 NPO法人等を活用して、都市と農村の交流を推進するため、情報発信、農家民宿開業等の受け入れ支援等を行う「都市農村交流推進事業」、嶺北において教育旅行を広めるための取り組み等について説明があった。

4. 福井県池田町の取り組みの説明
 池田町 溝口淳 副町長から説明があった。その内容は次の通り。
池田町は九頭竜川水系足羽川の最上流の盆地で、岐阜県との県境に位置した中山間地帯。池田町は、これまで地域資源循環型農村への取り組みを行い、ゆうき・げんき正直農業をモットーとして安心・安全の農産物作りを行ってきた。その実戦部隊として、町の農業公社が堆肥製造、複合経営の研究、6次化の推進を行ってきた。
 近年は人口減少をくい止めるための様々な対策を講じるとともに、農村の資源を生かした観光産業戦略に力を入れている。グリーンツーリズムの推進に努めるほか、第三セクターの「まちupいけだ」を設立し、トップに福井ケーブルテレビの社長を招聘して観光を推進することとしている。目玉としては、杉林で高い空中をロープ等を伝って渡りながら冒険アスレチックを楽しむ施設、足羽川の上空500メートルをロープで滑空するジップラインの施設の設置があり、そのほか、音楽合宿、スポーツ合宿に来てもらうため、廃校を活用した合宿施設を建設するなどしている。
 翌日は、現地視察を行った。

5.次回幹事県の選出
 次回の幹事県は新潟県が選出された。

6.現地視察
 翌日は、池田町の施設を視察した。

(1)ツリーピクニックアドベンチャー池田
 大規模アスレチックのほか、ジップライン、大規模バーベキュー施設、コテージなどを備えている。修学旅行生の訪れる場所としての人気も高く、多くの若者の雇用力もある。
(2)農村de合宿キャンプセンター
 廃校を活用して合宿施設を建設したもので、体育館や音楽室があり、様々な合宿に対応ができる。体育館はボルダリング施設を建設する計画があり、新しく綺麗な宿舎と相まって、人気が出そうと思われる。
(3)あぐりパワーアップセンター
 畜産の糞尿と家庭の生ゴミで堆肥を作る施設であり、生ごみの収集には欠かせない住民の協力は完全である。
(4)おもちゃハウスこどもの木
 将来は木や森に関心を持ってもらうため、数多くの木のおもちゃを置き、はじめて木に触れて遊ぶ子供の遊び場を作っている。
(5)ウッドラボ
 木工の体験施設で、木工に必要な道具が備わっており、基本コース、塗装コース、レザー加工コースなどがあり、専門家が教え、素人でも木工ができる施設である。
(6)村の市場こってコテいけだ
 スーパーが撤退したため建設された村のコンビニ的な店であり、隣にレストランが併設されている。この施設も第三セクターが経営することが予定されている。

九州ブロック会議

 九州ブロック会議が、10月30日(月)〜31日(火)、 鹿児島県庁11階会議室において、九州ブロックの各県、農林水産省、九州農政局及び全国山村振興連盟から担当者が参加して開催された。
 鹿児島県農政部農村振興課 迫田隆仁 中山間・鳥獣害対策係長の開会宣言の後、開催県である鹿児島県農政部 引地正行 農村振興課長から「当県は中山間地域、離島等の条件不利地域が多く、その対策が重要な課題となっているが、かってと異なり、そのような地域における住民の意見はまとまったものにならず、なかなか具体策が見つからない状況で、外部の力も活用した共生協働の農村づくりの運動を行うということで対応しているのが現状である。そのような取り組みの優れた事例として農林水産大臣賞を受賞した日置市高山地区を明日視察してもらうこととしており、どうぞ参考にしてもらいたい。」旨の挨拶があった。
 会議の内容は、次のとおりとなっている。

1.平成30年度山村振興関連農林水産省予算概要について
 農林水産省地域振興課 馬場俊輔 調査係長から、山村活性化支援交付金の増額、中山間地農業ルネッサンス事業、中山間地域間地域等直接支払い事業、農山漁村振興交付金事業等の拡充、「農泊」の推進、鳥獣害対策とジビエ利活用の推進、荒廃農地等利 活用促進交付金、新規要求の林業成長産業化総合対策、森林・山村多面的機能発揮対 策等の平成30年度山村振興関係予算概算要求の説明、山村振興法の税制特例の利用促進の依頼と振興山村等に係る制度融資の紹介があった。

2.全国山村振興連盟活動状況等について
 全国山村振興連盟 岸 博昭 事務局長から連盟の活動状況の説明があった。

3.平成30年度山村振興全国連絡協議会九州ブロック幹事県について
 平成30年度の幹事県は宮崎県が選出された。

4.現地視察
 翌日は、日置市高山地区公民館において、公民館を中心とするむらづくりの取り組みについて説明を受けた。
 同公民館は、小学校の廃校跡地を活用し、体育館の建設、プール、調理室、宿泊施設、ピザ窯などの施設の改修整備を行い、公民館機能の外、地域内外の交流を図る施設「高山地区交流センター」として開設された。
 同地区においては、棚田などの農地保全、高齢者の送迎等の喫緊の課題に直面し、集落全員の参加する「NPO法人がんばろう高山」を設立し、地域住民の合意のもとに取り組みを進めて来た。
 地域ぐるみの高齢者の見守り等の高齢者対策、地域資源を生かした体験型プログラムによる都市住民との交流を実施してきた。
高齢者対策としては、移動販売車の復活、高齢者の運送、買い物温泉ツアーの実施、婦人部手作りの弁当配布、農産物の販売所までの輸送など、交流事業としては、明治時代に開墾された棚田での農業体験、マス釣り大会、コンニャク手作り体験、かずら作り体験等が行われている。
 このような地域全体の参加する取り組みが評価され、平成26年農林水産大臣賞を受けている。

関東ブロック会議

 関東ブロック会議が、10月26日(木)〜27日(金)、長野県佐久穂町篠屋旅館会議室において開催された。
 会議には、関東ブロックの都県、長野県佐久穂町、農林水産省、関東農政局及び全国山村振興連盟から担当者が参加した。
 長野県企画振興部地域振興課 平林正枝課長補佐の司会で進められ、最初に、開催県である長野県企画振興部 藤森茂晴 地域振興課長及び開催地である長野県佐久穂町佐々木 勝 町長(松澤明彦 総合政策課長代読)から挨拶があった。
 続いて、来賓挨拶が、農村振興局地域振興課 永田浩章 調整係長、関東農政局農村計画課 尾倉 功 課長補佐及び全国山村振興連盟 米田博正 参与からあり、その後、出席者の自己紹介があった。
 会議の内容は、次のとおりとなっている。

1.情報提供「近年の山村を取り巻く情勢について」
 出席者者からそれぞれ説明がなされた。

(1)農林水産省農村振興局農村政策部地域振興課
 平成30年度農林水産省予算概算要求のうち、山村活性化支援交付金、中山間地農業ルネッサンス事業、中山間地域直接支払交付金、農山漁村振興交付金、鳥獣被害防止総合対策とジビエ利活用の推進、林業成長産業化総合対策等について説明がなされた。また、山村税制特例について、制度の概要、計画策定の状況等について説明がなされ、活用促進の依頼がなされた。
(2)関東農政局農村振興部農村計画課
 山村振興計画市町村作成状況および山村活性化支援交付金実施地区等について、説明がなされた。
(3)全国山村振興連盟
 山村振興施策に関する提言及び予算対策、啓発・普及活動、山村振興実務研修会、会員への情報提供等活動状況について説明がなされた。

2.事例報告及び意見交換
 テーマ「地域コミュニティの活性化に向けた取組について」
(小さな拠点や地域運営組織の形成、都市農村交流、6次産業化等による地域コミュニティの活性化など)
 出席者からそれぞれ説明がなされた。

【長野県佐久穂町】
 佐久穂町コミュニティ創生戦略(平成27年度〜平成31年度)には、「地域コミュニティ」、「子育て・教育コミュニティ」及び「地域経済創造コミュニティ」の3つの重点支援対象コミュニティがある。このうち、「地域コミュニティ」については、「住み続けたい」という意思を尊重し、すべての既存集落における居住機能を担保することを目標としている。この関連事業として、未来の集落を描き出すための取り組み「集落点検から始まる地域づくりーまず、「自分ごと」から考えてみようー」を行っている。
(1)まず、集落基本調査ということで、58行政区を対象に、世帯数の現状、ここ10年間の人口増減率、高齢化率の動向を調査し、さらに平成29年3月〜4月に1集落3名・約180名を対象に@人々のつながり、A集落活動の担い手や行事運営、B環境等8項目、プラス、@人材、前向きグループ、A誇り、愛着など4項目について5段階評価で回答を得るアンケートを行った.
 それらの調査結果を分析し、評価の高い上位10項目(人々のつながり、担い手や行事運営、環境+危機感、改善意欲など)、評価の低い下位10項目(文化、交通、活気+人材、前向きなど)を取りまとめた。また、調査項目について全区平均を平均を大きく上回る集落の状況、規模の小さな農村集落の全区平均との比較などを取りまとめた。
 さらに、集落における作業・活動内容の10年前との比較についても調査を行い、10年前と変化ないもの、今は存在しないが以前はあったもの、今後新たに取り組みたいというもの等を取りまとめた。
さらに、集落における作業・活動内容の10年前との比較についても調査を行い、10年前と変化ないもの、今は存在しないが以前はあったもの、今後新たに取り組みたいというもの等を取りまとめた。
 さらに、サロン活動、広報活動、支え合いマップ、農地の保全・維持活動等積極的に活動を行っている集落の状況を取りまとめた。

(2)集落の課題を自分事として話し合う「寄り合いワークショップ」である集落点検事業を行った。暮らしの現状把握。集落の誇りや愛着、集落のあるべき将来像の実現に向けた課題の解決について「自分ごと」として考え、話し合う寄合で、参加対象者は希望者は誰でも、1集落につき30〜40名(8名×4テーブル)、最大50人を適正規模として実施した。性別や世代等、区民の多様な課題を発掘。その課題を話したり、共有することで、新しい気付きが生まれる。結果として参加者の納得も得られる。

【茨城県】
 〇 中山間地域アグリビジネスモデル創出調査研究事業
 この事業は、中山間地域の農業・農村の活性化を図るため、地域と大学等が連携して地域の抱える課題を農村資源等の活用により解決していく取り組みを行いながら、持続可能なアグリビジネスモデルを創出していく事業で、県が東京農業大学に委託して実施している。この事業を通じて、常陸大宮市のエゴマ関連商品、常陸太田市の大根の柿漬け、大子町の奥久慈茶効き茶セットといった15品目の商品が新たに開発された。
 〇元気な農山村創生チャレンジ事業
 この事業は、中山間地域である9市町が対象で、地域が連携して組織する団体、JA、土地改良区、NPO等の事業主体に対して、農山村地域の維持・活性化のために地域資源を活用して行う新たな取り組み(地域特産品を活用した農業振興に資する取り組みなど)に対し定額50万円以内を助成する事業。平成27年度からの3年間で28件の団体が採択された。この事業により、生産量や販売取引先の増加、売り上げの増加等が実現している。

【栃木県】
 〇 「小さな拠点づくり」支援事業
 中山間地域における小さな拠点の形成支援に要する経費を市町に助成する。
上限:1地域30,000千円、補助期間:3年で、ソフト事業(現況調査、日常生活に必要なサービスを維持していくための取組等)、ハード事業(拠点施設の整備・改修等)が対象となる。
この事業を活用した「【益子町】道の駅を核とした小さな拠点整備事業(H28)」では、農業生産の振興(販売時点情報システムを活用した集荷配送システムにより、地域の高齢者が継続して生産販売するための環境を整備),加工販売の振興(地元農産物の加工場の整備し、6次産業化商品の開発販売を実施)、移住定住の促進(地域コンシェルジュが様々なニーズにワンストップで対応する移住定住サポートセンターを整備)、交流促進事業(レンタサイクルを活用した観光案内や交流体験事業を実施)を行い、成果を挙げている。

【群馬県】
 〇 山村と都市の連携支援・交流促進の取組
 連携支援事業については、川場村と世田谷区の交流による地域活性化の事例を他の市町村でも実現するため、公益財団法人特別区協議会の協力の下、県内市町村と東京23区との友好交流協定等の締結を目指して取り組んでいる。(神流町2件、上野村1件)
 交流促進事業については、公益財団法人特別区協議会の協力の下、東京都区政会館においてPRイベント等を開催している。(ぐんまの山村フエアin東京の開催、山村自治体間交流セミナーの開催)また、全国山村振興連盟群馬県支部事業として「ぐんまの山村ガイド」を作成している。
 〇 群馬県におけるやま・さと応縁隊の取組
 中山間地域の活力を生み出すため、若い大学生の視点を取り入れようと、平成24年度から始まった事業。県内の大学の教員と複数の生徒から組織する「やま・さと応縁隊」は、その地域に深く入り込み、地域の方との「縁」を育みながら本物の地域の魅力を見つけ、その活用を検討・提案・発信する。平成29年度は3大学が活動中(関東大学:神流町、高崎経済大学:片品村、共愛学園前橋国際大学:みなかみ町)。

【埼玉県】
 〇 中山間地域ふるさと事業
 ・コンサルタントによる支援
  地域住民の話し合いや地域による都市農村交流イベントの実施により、農林
  業・農山村の多面的機能の良好な発揮を促進する。(横瀬町では、28年度か
  ら観光農園の充実及び各種イベントを通した誘客数の増加をテーマに活動を行
  っている。地域資源を活用した商品開発。横瀬グルメマップの作製。)
 ・ふるさと支援隊による支援
  大学生等の持つ新しい視点や行動力、専門技術・知識など「外からの力」を活
  用することによって、集落の活性化を図る。22年度から延べ32支援隊が活
  動している。
 ・ふるさとリーダー育成研修
  中山間地域の活性化推進及び助言を行う人材を育成する。
  (27年度:体験活動時における安全対策、28年度:外部人材の活用)
 ・中山間地域における取組みの広報
  中山間地域の持つ多面的機能の理解増進についての普及・啓発活動を実施す
  る。
  (各種イベントでのPR活動。)

【東京都】
 〇 じゃがいも焼酎を檜原村で!〜地域活性化の取組〜
 檜原村の特産といえば「じゃがいも」。
「じゃがいも]の特産品が沢山ある(じゃがいもアイス、ひのじゃがクッキー等)。村のキャラクターは「ひのじゃがくん」。
 観光にきてもらえる目玉が生み出せないか、村民の就業場所を確保できないかということで、じゃがいも焼酎に取り組んだ。じゃがいも焼酎の製造は酒税法により1年間で10?の最低製造量でなければ製造免許を得られないが、檜原村のじゃがいも生産量では約2〜3?しか製造できず、委託製造を行うことで開始した(平成18年に最初の販売を行う)。
 しかし、少量でも村内で製造したいとということで、平成27年から国家戦略特区制度により可能となるよう東京都ともに要望活動を行い、平成29年度税制改正大綱において「焼酎特区」の創設が可能となった。これを受けて、村内でじゃがいも焼酎の製造事業化に向けた取組が開始されている。29年度は実際に事業化が可能かや事業費や運営費の見込みを、総合的に分析・調査する事業を実施している。

静岡県】
 〇 NPO法人夢未来くんまにおける取組(浜松市天竜熊地区)
 ・団体概要
  昭和51年、農業女性による生活改善グループが誕生し、昭和61年に「熊地
  区活性化推進協議会」が設立。平成12年NPO法人資格取得。熊地区の全戸
  が加入(会員数484名。平成26年時点)。
   平成元年、第28回農林水産祭「豊かなむらづくり」部門天皇賞受賞。
   平成28年、オーライ!ニッポン大賞受賞
 ・活動の内容
  収益事業である食堂や農産加工品販売の収入をもとに、各種事業(都市と山村
  の交流、福祉サービス、青少年育成等)を実施。
   水車部:食堂「かあさんの店」、物産館「ぶらっと」、「水車の里」(加工
   他)
   しあわせ部:いきがいハウス「どっこいしょ」、給食サービス
   いきがい部:社会教育、まちづくり、交流推進、地場産業振興。
   ふるさと部:「ほたるの学校」、「熊平川遊び」、「棚田ウオーク」
 ・最近の取組
  地元大学生が支援するサークルを作り、道の駅とのコラボ商品を開発他。
 ・取組実績
  利用者数56,106人(平成28年)

(3)役員の選任について
 山村振興全国連絡協議会関東ブロック幹事として群馬県が選任された。

 翌日、現地研修が行われた。
(1)まちの駅佐久穂町農産物直売所
 国道299号線沿いで、ラーチショッピングセンター裏に位置している。運営主体は佐久穂町農産物直売の会で、地元産の果物、花、野菜、農産物加工品を中心に販売しており、年間売り上げは1億2千万円程度で、購入者は町内4割、近隣3割、観光客1割となっている。

(2)奥村土牛記念美術館
 奥村画伯は、昭和22年から26年までの4年間、佐久穂町に東京から家族とともに疎開していた。その縁もあって、奥村画伯から多数の素描が寄贈され、それを展示する美術館として、昭和2年に建設された黒澤合名会社の木造2階建ての建物(和洋折衷。事務所、式場・集会所として使用)を改修(大部分は創建当時の姿をとどめている。)して平成2年開館した。(その離れ(別館)に奥村画伯は疎開していた。)
美術館の建物と離れは佐久穂町の指定文化財となっている。

(3)八千穂高原自然園
 28ヘクタールの広大な園。園内は3つのコースに分かれている。小さな滝、渓流、池、高原のさまざまな草花、白樺林があり、30分程度散策した。

(4)一般社団法人 アンテナさくほ(代表理事:力武文雄)
 佐久穂町では、民間からの思考と活力を取り込むため、全国から人材を募集し、平成22年、東京の大手宣伝会社勤務の経験豊かな者を選任して、任意団体『アンテナさくほ』の責任者になってもらい、そこに町から交付金を交付して、町づくりの事業に協力してもらうことにした。平成27年に「一般社団法人 アンテナさくほ」に改組された。
現在、町から、佐久穂町コミュニティ創生戦略に沿う施策・事業の企画・実施委託されている。
 @さくほ町キッチン(カタログギフト)、A信州南佐久さくほ(姉妹都市等での産物の販売、、Bさくほの家づくり職人ネット(住宅の地産地消、受注力強化)、Cマチ女子奪還(MAJIDA)作戦!(町の女性をターゲットとした住宅モデル)、Dさくほ通信(町出身若者向け情報誌)、E集落点検、集落活動支援を受託している。
独自の事業として、@信州南佐久観光局(信州南佐久ブランディング)、Aさくほジーバ共和国(町内外の人々と交流目的に果実収穫等)を実施している。


中国・四国ブロック会議

 中国・四国ブロック会議が、11月10日(金)、鳥取県八頭郡八頭町の大江ノ郷自然牧場において、同施設の視察を兼ねて開催された。会議には、中国・四国ブロックの県、農林水産省、全国山振興連盟の担当者が出席した。
 鳥取県とっとり暮らし支援課 澤米 渉 課長補佐が開会宣言し、続いて「山村においては、人口の減少や高齢化の進展により集落の存続の危機が迫っているが、先年成立した新しい山村振興法の下で、山村の活性化に努めていきたい。本日は(有)ひよこカンパニー「大江ノ郷自然牧場」の取り組みを説明してもらうが、山村における地域活性化の取り組みとしてモデルとなるものと考えており、参考にしてもらいたい。」旨の開会挨拶がなされた。
 会議の内容は次のとおりとなっている。

1.中央情勢報告
 農林水産省地域振興課 永田浩章 調整係長から、山村活性化支援交付金の増額、中山間地農業ルネッサンス事業、中山間地域等直接支払い事業、農山漁村振興交付金事業等の拡充、「農泊」の推進、鳥獣害対策とジビエ利活用の推進、荒廃農地等利活用促進交付金、新規要求の林業成長産業化総合対策、森林・山村多面的機能発揮対策等の平成30年度山村振興関係予算概算要求の説明、山村振興法の税制特例の利用促進の依頼と振興山村等に係る制度融資の紹介があった。
 その後、全国山村振興連盟 岸 廣昭 事務局長から連盟の活動状況の説明があった。

2.次回幹事県の選出
 次回の幹事県は高知県が選出された。

3.意見交換
 出席各県から、山村活性化支援交付金の活用実績、山村振興計画の作成状況について説明があった。
 意見交換では、山村活性化支援交付金については、国の直採事業であって県として指導しづらいという意見等があった。

4.大江ノ郷自然牧場の取り組みについての説明
 (有)ひよこカンパニー代表取締役小原利一郎氏より次のような説明があった。
 当初父の経営するウインドレスの大規模養鶏場で養鶏場の責任者となって働いていたが、このような養鶏は、鶏の生理に反するほか、価格決定権が生産者側になく、疑問を持ち始め、父の養鶏場をやめ、平成6年平飼いの養鶏で「天美卵」のブランドで品質の高い卵の販売を始めた。平成11年に通信販売、平成12年に農業生産法人「(有)ひよこカンパニー」を設立、平成17年プリン作り、平成20年に菓子の製造と販売施設を兼ねた直売所「ココガーデン」オープン、平成28年農と食のナチュラルリゾートをコンセプトとした新施設「大江ノ郷ヴィレッジ」オープンといわゆる6次化に邁進し、ベーキングパウダーを使わなくてもふわふわのパンケーキや、美味しいバームクーヘン、独創的なパンづくりが口コミで消費者に伝わり、レストランを含めて、来場者は他県を含めて年間30万人、ハイシーズンには行列ができて整理券を配るほどの状況にまで成長した。
 従業員はパートの約20人を含めて約170人。山奥の行き止まりの地にまるで銀座の高級食品街が出現するといった雰囲気である。この法人は、山村税制特例を上手に利用してることも特徴である。
 県の行政による支援としては、従業員のシェアハウスの建設等支援がある。


北海道・東北ブロック会議

 北海道・東北ブロック会議が、11月16日(木)〜17日(金)、山形県山形市山形テルサ会議室において、北海道・東北ブロックの道県、農林水産省、東北農政局及び全国山村振興連盟から担当者が参加して開催された。
 山形県農林水産部農政企画課の山川 淳 課長補佐から開会挨拶の後、最初に主催者である伊藤 里香子 農政企画課課長から挨拶があり、出席者の自己紹介が行われた。
 議事は、山川課長補佐の司会により進められ、内容は次のとおりとなっている。

(1)山村振興に係る中央情勢等について
 農林水産省農村振興局地域振興課 馬場俊輔 調査係長から平成30年度山村振興関連予算要求について、主として、山村活性化支援交付金、中山間地農業ルネッサンス事業、中山間地域等直接支払制度、農山漁村振興交付金、「農泊」の推進、鳥獣被害防止対策とジビエ利活用の推進、荒廃農地等利活用促進交付金、林業・木材産業成長産業化促進対策、森林・山村多面的機能発揮対策、山村税制特例、山村振興にかかる制度資金、山村税制特例等について説明がなされた。特に山村税制特例については、その活用について積極的対応していただくよう要請がなされた。

(2)全国山村振興連盟の活動状況等について
 全国山村振興連盟 米田博正 参与から、山村振興関連施策・予算に関する要望活動、山村振興連盟が行っている業務について説明がなされた。

(3)東北管内の山村振興対策の取組状況等について
 東北農政局農村振興部農村計画課 高梨清美 山村振興係長から、平成29年度山村活性化支援交付金の実施地区(15地区)の概要及び青森県西目屋村における「間伐材」を活用した木質バイオマス燃料の取組状況について説明がなされた。

(4)各道県の山村振興対策の取り組み状況等について
【北海道】
 農山漁村振興交付金(農山漁村地域活性化整備対策)[旧農山漁村活性化プロジェクト交付金事業]を活用した取組みを行っている。
 平成29年度は、継続5市町、新規6市町村で実施している。

【青森県】
(1)県独自の取組み
 @ 農山漁村「地域経営」の仕組みづくり(担い手の育成)
  集落などの地域を一つの会社や家族といった共同体と見立てて、共助・共存に
 よって経営していく農山漁村の「地域経営」の仕組みづくりを行うため、平成
 24年度から農山漁村「地域経営」担い手育成のシステムづくりに取り組んでい
 る。
  平成29年度からは、地域経営体が発展段階の向上をめざして経営発展や地域
 貢献に取り組むときに必要となるソフト・ハードの両面からの直接的な支援によ
 り、平成32年度までに300の地域経営体(個別経営や集落営農組織など地域
 農林水産業の中核を担う経営体)を育成する。
 A 青森ならでのグリーツーリズムの確立に向けて(農村活性化)
  平成28年度は、欧米やアジアの国々のニーズを的確に把握することを目的
 に、民間コンサルティング会社に委託して、対象国の客層や志向などについてマ
 ーケティング調査を実施した。
  平成29年度は、県内のグリーツーリズム受入団体などとの連携しながら冬期
 間も体験が可能な郷土料理や郷土芸能体験など、青森ならでの体験メニューの開
 発を進めている。

(2)その他の課題等
 @ 大規模な農業経営体が増加する一方で、全体の農業経営体は大幅に減少して
  おり、農業経営体数の確保が課題
 A 農林漁家民宿は一定の新規開業がある一方で高齢化による廃業が多くあり、
  確保が課題

【秋田県】
 @「第3期ふるさと秋田農林水産ビジョン(H30〜33)」での取組方針(案)で
  は、中山間地域の資源を生かした取組の支援、農泊等による交流人口の拡大、
  地域コミュニティの持続的な発展を支える仕組み作り等を盛り込んでいる
 A「元気な中山間農業応援事業」により、経営規模が小さくも一定の所得確保が
  できるよう、地域が主体となった計画づくりとその実現に必要な取組を支援。
 B「中山間ふるさと秋田づくり総合支援事業」により、地域にある資源を活用し
  ながら、秋田をふるさととして応援する支援者を拡大するとともに、新たなビ
  ジネスモデルの創出を図り、地域づくりを総合的に支援。
 C「秋田の里地里山を守り継ぐプロジェクト(企業版ふるさと納税活用事業)」
  により、「守りたい秋田の里地里山50」認定地区について、県内外の企業や
  大学等と協働で行う里地里山の保全活動等に総合的に支援。
 D Cool Akita農泊推進事業により、」グリーン・ツーリズムの拠点地域育成や地
  域の魅力発信力の強化等を推進。
 E「ウエルカム秋田!移住就業応援事業(地方創生推進交付金活用)」により、
  移住後の生活スタイルとして、農家民宿等をイメージし、体験研修等を実施。

【福島県】
 @ 平成25年3月に改定した過疎・中山間地域振興戦略『里・山いきいき戦
  略』に基づき、「地域力の育成」、「働く場と収入の確保」、「生活基盤を作
  り」、「復興・再生」に向けた施策に取り組んでいる。
 A 元気な農村創生企業連携モデル事業(平成27年度〜30年度)により、農
  村と企業が抱える様々な問題を農山村を舞台に双方が持つ資源を活用して解決
  できるWinWinの関係の構築を支援している。
 B 中山間ふるさと水と土保全基金事業により、ふるさと水と土指導員活動支援
  事業、田んぼの学校、土地改良施設等14事業に取り組んでいる。

山形県】
 @「第3次農林水産業元気再生戦略」
  平成29年度から32年度までの4年間の取組みの方向性を示すもので、本年
 3月に策定。
 A 元気な地域づくり支援プロジェクト
  地域の農産物や資源をフル活用し、新しい価値を持つビジネスを興し、豊かな
 農山村地域の実現を目指すという基本的な考え方のもとに、意欲ある市町村や地
 域が主体となった取組みを対象に事例研究(ケーススタディ)を実施。他地域の
 地域づくりに波及させていく。
 B「やまがた森林(モリ)ノミクス」
  先人から受け継いだ山形県の豊かな森林資源を「森のエネルギー」、「森の恵
 み」として余すところなく活用する「緑の循環システム」を構築し、林業の振興
 を図り、関連産業や雇用創出への経済効果を生み出して、地域全体の活性化につ
 なげてく取組み。

(5)質疑、意見交換
 出席者から農林水産省及び各道県からの説明に対して、質疑応答があった。

(6)その他
 来年度の幹事県を福島県と決定した。
 翌日は現地研修を行った。

〇 大江町山里交流館「やまさぁーべ」
 佐々木隆馬 館長(横浜市出身。自然保護団体の職員をしていたが、3年前に大江町に移住し、平成27年1月から大江町地域おこし協力隊に着任。平成27年4月から当館の指定管理者。)から説明を受けた。
 「やまさぁーべ」は、平成13年に閉校となった七軒西小学校の校舎を改修してつくられた宿泊型の自然・文化体験施設で、平成27年4月にオープンした。「自然の中で遊んで、食べて、泊まれる学校」をキーワードとしている。
 提供サービス
 @ 宿泊
  校長室や家庭科室を活用。食事は自炊または仕出し。浴室2部屋(4名づつ入
  浴可能。薪ボイラーで沸かす。)。宿泊者数:平成28年度692名。
 A 体験プログラム
   山菜摘み体験、田植えと稲刈り体験、リバートレッキング(川の中を歩いて
  上流を目指しながら生き物をさがす)、かんじきトレッキング(2m近い積雪
  の上かんじきで)、薪ストーブでのピザ作り等。
   ブロック会議参加者は、シャーレに入った周辺の土壌の中からピンセットで
  を採取する体験を行った。
   虫参加者数:平成28年度740名
 B レンタルスペース
  教室、体育館、調理室、大小いろいろな部屋を借りることができる。
  ウェディングパーティー、スポーツ合宿、文科系サークルの合宿、会議等。
  利用状況:平成28年度教室3回、体育館9回、全館15回、その他11回
 C 七軒物語ー森の食堂ー
   11月の1・3・4週目の金曜・土曜・日曜の11:00〜16:00の間に限定し
  て七軒の食材で、七軒に住んでいるお母さん達が調理をする食堂(七軒物語)
  が開設されていた。ブロック会議参加者も昼食を賞味した。

〇 大江町美しい森林づくり協議会の取り組みについて
 平成21年度から協議会(地元の林業関係者や山菜生産者、農協などの流通業者
で構成。)を立ち上げ、川上側の生産部会と川下側の流通・活用部会を組織し、栃
木や宮城、秋田、福島などの先進地に研修に行くなど、木材の高度加工やストック
ヤード、地元杉材を使用した木造住宅などに関する知識を深めていった。
平成24年度からは、流通・活用部会に大江町住宅販売会を組織し、地元大江町産
の西山杉をふんだんに使用した住宅の販売促進を行っている。
 また、平成27年度に大江町で開催された「全国山菜サミット」を契機として、
山菜等利活用推進コンソーシアムを設立し、地域を挙げて引き続き山菜をはじめとした特用林産物の生産性向上、ブランド化、商品開発を行っている。
 山村活性化支援交付金を用いて、平成28年度から山菜等の試験栽培、山菜試食会、新商品開発、西山杉素材生産、天然乾燥材生産、薪の生産を行っている。





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