全国山村振興連盟は、平成30年10月18日(木)午前10時30分から千代田区永田町の全国町村会館2階ホールにおいて平成30年度第2回理事会を開催した。
 最初に、中谷 元 会長から挨拶があり、次いで、国会議員理事の衆議院議員 佐々木隆博先生及び衆議院議員 金子恭之先生から挨拶があった。
 来賓として出席された農林水産省農村振興局 松本雅夫 地域振興課長、国土交通省国土政策局 荒川辰雄 地方振興課長、総務省自治行政局 水野敦志 地域力創造グループ地域振興室長及び林野庁 今泉裕治 森林利用課長から挨拶をいただいた。
 その後議事に移り、竹ア一成会長代行が議長を務め、11月29日に開催される通常総会に提案する「第1号議案 平成31年度山村振興関連予算・施策に関する要望(案)に関する件」及び「第2号議案 決議(案)」について審議が行われた。
 理事会の内容は、次の通りとなっている。

【中谷 元 会長(衆議院議員)挨拶要旨】

 本日は、理事会ということで全国各地から山村を抱える市町村長の皆様にご出席をいただき誠に有難うございます。また、山村に関する施策を所管していただいている農林水産省、林野庁、国土交通省及び総務省の担当幹部の皆様にもご出席いただき誠に有難うございます。また、我々与野党を超えて超党派で山村対策に当たっていますが、佐々木先生には理事としてご出席いただき誠に有難うございます。
 山村というのは、やはり日本、日本人の原点でありまして、そこに伝わる文化、歴史、芸能などは我々の心のふるさと、原点として日本の国づくりのために非常に重要なものであります。
 それと同時に、多面的機能、公益的機能を果たしておりまして、これらの機能を守っていくために、山村の住民の定住、集落の維持によって山村の活性化を図っていくことが地方創生、国土の保全につながり、ひいては国民生活の発展につながるものであります。
 そういう中で、近年、異常気象が続いておりまして、今年も日本列島を貫通する台風が3つ上陸したり、集中豪雨などにより北海道、中国、四国地方をはじめ多くの地域が被災しております。被災地の皆様に心からお見舞いを申し上げます。被災地の復旧・復興に向けて政府、国会、与野党、地方自治体で懸命に取組んでいるところです。
 最近の災害を見ますと、流木の流出により下流に大きな被害を与えています。また、
土砂が河川を覆って少しの雨でも氾濫をしており、土砂崩壊も看過できません。そういう意味では、上流地域の治山、治水、林道、森林整備こういったおおもとの対策が必要であり、そういった関係の予算の確保をしていかなくてはなりません。
 さらに、CO2の吸収、公益的機能、環境問題にもしっかり対応していかなくてはなりません。
 こういった点で、本日は三つの点を申し上げます。
 一つは、森林環境税及び森林環境譲与税の創設です。森林環境税の創設は、当連盟としても長年にたり要望してきたところでありますが、市町村長の皆様方の努力の成果であります。今後はこれをいかに使い易いものにしていくかということです。市町村の森林整備のための財源ですので、新たな森林管理制度の下で地域の実情に応じて使い易い財源として運用できるようにしたいと考えています。
 二つ目は、近年、基本理念を含む山村振興法の大幅な改正、中山間地農業ルネッサンス事業や山村活性化支援交付金の創設、鳥獣被害対策の充実等の施策が講じられてきたということです。
 山村活性化支援交付金の活用事例を見ますと、例えば北海道下川町で地元の木材を使って「お食い初め膳ギフトセット」が開発され、「ソーシャルプロダクトアワード」で大賞を受賞するなど、各地で大きな成果が上がっております。
 都市住民の農山村に対する関心の高まりによって、ふるさと納税の活発化や地域おこし協力隊による若者の活動・定着もあり、加えて農泊の推進、空き家の活用、第6次産業化による雇用の拡大といった地方創生につながる成果も出てきております。
 三つ目は、今後の課題です。
 高齢化が進み人手不足になっている山村において、外国人労働者の活用も検討する必要があると考えており、国会でも議論がされますが、人手不足対策、働き方改革にしっかり対応してまいりたいと思っています。
 また、存続の危機に晒されている集落が多いわけですが、自民党の中で、急激に人口が減少しているいわゆる限界集落にスポットを当てて、知事がこれを認定すると、地域で存続のための組合を作っていただければそこで給与、年金を支給できるような仕組みができないか、ということで検討しています。与野党で話し合っていかなくてはならないと思っています。 
 本日はこう状況を踏まえて、年末の予算決定に向けての要請内容につき、総会に付議する案を皆様で審議いただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます

【佐々木隆博 理事(衆議院議員)挨拶要旨】
 全国山村振興連盟は中谷会長のお人柄もあり、与野党を通じて活発に活動をされていますが、私も山村に住む人間として皆様方と思いを共有させていただいて、しっかり取組んでいきたいと思います。
 中谷会長からお話しがありましたのであまり重複しないようお話しをしたいと思います。長年取組んできました森林環境税並びに森林環境譲与税の創設が決まりました。
満額になるまでには少し時間がありますので、その間にやっておかなくてはならないことはいくつかあると思います。都道府県の力も借りながら、人材の育成や体制の整備などが必要です。本日の議案の要望書(案)で森林環境税の問題は「多面的機能・公益的機能の持続的発展」の項目の中に整理されていますが、まさにこれは林業振興ではなく地域振興のために使うものであるというのが主旨ですので、ただの林業予算にならないようにしていただきたいし、私共もお手伝いをさせていただきたいと思っています。
立憲民主党では現在全国8カ所くらいでタウンミーティングを開催しています。できるだけ山村地域にお邪魔をさせていただいてそれぞれの地域のご要望を聞き、政策をどう作り上げるかといったことを行っています。その中で地域づくりについて皆様大変熱心なご意見をいただき我々も大変参考になっています。今の政策は残念ながら経済政策がかなり優先されて地域政策は少し、私からすれば相当後退しているのではないかと思っていまして憂慮しています。
 地域に関する二つの事例についてお話しします。
 一つは、今問題になっているTPPに代わる実質FTAではないかと思われるTAGというものをアメリカとの間で行うことになったことです。わざわざ名前を変えたのは物品だけを先にやるという話でありますが。我々北海道は農業県でありますので、物品だけが切り離されることは大変迷惑です。物品だけ切り離されると当然ながら農産物が対象となるわけでありますので、全体の交渉をしていただくことの方がはるかに重要だと思っていて、そういった意味ではFTAとしての覚悟を示す時がきているのではないかと思っています。今度の臨時国会の大きなテーマになると思いますので、議論させていただきたいと思っています。
 もう一つは、これも今度の臨時国会のテーマになる予定ですが、日欧のEPAに関連して地理的表示の法律を整備しようということになっています。TPPではさほど問題にならなかったのですが、ヨーロッパは地理的表示について大変神経質というか進んでいます。そういった意味でも法律の整備が必要になってくるということでありますが、この地理的表示は言うまでもなく地域で育んできた文化というものをどうややって製品として担保するかという仕組みでありますので、まさに、地域の文化をその中でしっかり位置付けるということがブランド名とイコールで考えるという話です。
 二つとも地域というものが大きなテーマになるということで地域を預かる首長の皆様でありますので、いろんなご意見をいただければと思います。

【金子恭之 理事(衆議院議員)挨拶要旨】
 理事会に遅れてまいりまして誠に申し訳ありません。実は、今回の自民党役員人事で私は政務調査会長代理に就任しました。今朝は、政務調査会の役員を開いておりまして終わり次第駆け付けたところです。政務調査会の各部会長が決まりましたが、これから調査会、特別委員会についてその存続、人事を含めて議論をすることになっています。なお、私が現在委員長を務めている山村振興特別委員会については、全国の山村地域の意見を集約しながら法律改正とか予算、税制についてしっかり頑張っているので存続してもらいたいと私から政務調査会長にお願いしたところです。
 全国の山村地域の皆様方の懸案事項についてこれまでその解決に取組んでまいりましたが、このたびは、森林環境税について、皆様方には自民党本部で決起大会まで開いて後押しをしていただき、導入を決定させていただきました。
 また、皆様方のご要望に基づいてできたソフト事業の「山村活性化支援交付金」については、今年は4年目に入り、3カ年でもう成果が出ている箇所が沢山あります。初年度はどういうことか分からないので様子見をしている市町村もあったようですが、2年目からは取組んでいるところの成果、取組状況が分かっていく中で手が挙がって、手が挙がってもなかなか採択できないとか、全体の予算を削減するということもあったようです。また、3年の一つのクールが終わって新たな事業を取組みたいということで二期目に取り掛かっているところもあるようです。そのような成果を発揮するという意味では「山の恵みマッチング」に是非、理事の皆様方のみならず全国の山村地域の皆さんがこれを売り出したいというものを是非出展し、あるいは参加していただければ有難いと思います。
この交付金については、さらに充実できればいいと思っています。

【松本雅夫 農林水産省地域振興課長 挨拶要旨】
 山村振興法改正に伴って導入された山村活性化支援交付金については、中谷会長からお話しがありましたが、これまで3年間で66地区がこの交付金を活用していろんなプロジェクトを完了させています。現在取組んでいるところが100地区、今年度新たに取組みを開始したところが53地区ということで、この交付金を活用して特産品を開発しマーケティングして所得、雇用を生み出す流れが起きつつあります。後程、これをさらに発展させる取組みについて紹介させていただきます。
 改正山村振興法に位置付けされた税制優遇措置ですが、来年3月末で適用期限が切れます。現在、さらに2年間の延長を税務当局に要望していますが、厳しい指摘を受けています。この税制優遇措置は「山村振興計画」を作成し、その中に「産業振興施策促進事項」を盛り込むことにより適用されますが、「山村振興計画」を作成している市町村は734の振興山村を有する市町村のうち180市町村に止まり、そのうち「産業振興施策促進事項」を盛り込んでいるものは15市町村に止まっているということで、税務当局から厳しい指摘を受けています。私共、これまで3年間もっとPR、支援すべきであったと反省しています。現時点でさらに69の市町村で「産業振興施策促進事項」を盛り込む予定があると伺っていますので、そういったところの支援を含めて全力で取組んでまいりますので、よろしくお願いします。
 山村活性化支援交付金の効果をさらに高めるための取組みについてですが、本日配布させていただいています「山の恵みマッチングのご案内」をご覧いただきたいと思います。これは、山村活性化支援交付金の中で平成30年度新規に認められたプロジェクトです。
 見本市、商談会を実施しようというものです。通常の見本市ですと、産品を作った人がそれぞれブースを設けてバイヤーがそこを回りますが、バイヤーが来ないとどうしようもないということになります。
 今回のマッチングは、山村のプロダクトを扱うことに関心のあるバイヤーにあらかじめ来てもらって、その人たちがブースを設け、山村側のプロダクトを持った人達がブースを回ってどんどん商談をしていくという形です。
 商談日程は来年の2月19日〜20日もしくは21日〜22日で、開催場所は東京ビッグサイトで、参加費は無料です。最後のページに「HCJ」とありますが、ホテル、レストラン、フードケータリング等の業界6万5千人が集まる「HCJ」の中に一区画コーナを設けて「山の恵みマッチング」ということで実施したいと考えています。振興山村であれば、山村活性化支援交付金で開発した特産品であるか否かを問わず、地域の農産物、半加工品といった原材料を含めエントリーが可能ですので、本日は理事市町村長の皆さんですが、是非、地域の首長さんに情報を伝えて盛会となりますようよろしくお願い致します。
 なお、「ブースの出展」というのもありまして、折角6万5千人もバイヤーが来るところであれば自分達もブースを出したいという声もありますので、ミニブース一区画2m×1.5mを2日間5万円(通常は20万円超)で使用できるようになっています。自分達も出展するということで山村の魅力を伝えて行けたらと思います。

【荒川辰雄 国土交通省地方振興課長 挨拶要旨】
 国土交通省では、山村をはじめ豪雪、離島、半島といった条件不利地域の振興について、道路、河川、砂防といった基盤の整備、また、地域公共交通の確保、住宅の整備といったものを通じて地域の生活環境の整備に努めています。
 平成31年度概算要求においては、このような各事業の予算要求に加えて、社会資本整備総合交付金について1,777億円増の1兆663億円、防災・安全交付金について2,314億円増の1兆3,431億円を要求しています。
 今後の山村振興については、引き続き関係省庁と連携して積極的に取組んでまいります。
 私共は国土交通省の窓口をさせていただいていますので、国土交通省分野においてなにかお困りの点がありましたら、お気楽にご相談をいただければと思います。 

【水野敦志 総務省地域力創造グループ地域振興室長 挨拶要旨】

 総務省においては、地方への新しい人の流れをつくるため、地域おこし協力隊、現在1,000市町村に約5,000人派遣されていますが、その拡充、「ふるさとワーキングホリデー」の推進、関係人口の創出に取組んでいます。また、地域資源を活用した民間事業の企業支援にも取り組んでいます。これまで全国で357の民間事業者の企業を支援しています。その他、バイオマス等の地域エネルギーマスタープランの策定の支援、山村等条件不利地域における情報通信施設の整備にも取り組んでいます。 
 31年度の地方財政については、地方の様々な重要な課題に取組みつつ安定的に財政運営を行うことができるよう、地方税、地方交付税等といった一般財源総額の同一水準の確保を目指していいます。平成30年度は62兆1千億円余確保していますので、平成31年度も同水準を確保できるよう全力を挙げてまいりたいと思います。
 また、辺地債、過疎債についても、5,000億円を平成30年度は確保していますが、平成31年度も同水準が確保できるよう努力してまいりたいと思います。
 森林環境税、森林環境譲与税についても、円滑な施行ができるよう総務省でも準備を進めたいと思っています。

【今泉裕治 林野庁森林利用課長 挨拶要旨】
 山村地域の豊富な森林資源の循環利用を通じて山村地域の振興、地方創生を図るということで、林野庁としても林業の成長産業化の実現あるいは森林資源をフル活用していくといったことで施策を推進しています。
先の通常国会において「森林経営管理法」を成立させていただきました。来年度から経済ベースに乗る森林については意欲と能力のある林業経営者に集積・集約化していく、また、経済ベースに乗らない森林については市町村が公的管理を行う「新たな森林管理システム」が導入されます。また、森林環境税、森林環境譲与税についても総務省から来年の通常国会に関連法案の提出が見込まれており、こちらも活用しながら地域の実情に応じた森林整備が進むよう取り組んでまいりたいと思っています。
 平成31年度の林野庁の概算要求においては、「新たな森林管理システム」により、森林経営の集積・集約化、林業の成長産業化に向けて本格的な取組を進めていくため、路網整備や高性能機械の導入、ICTなどの先端技術を活用した森林整備、CLTをはじめとした木材の利用促進、木材の輸出促進といったことに取り組むとともに効率的なサプライチェーンの構築を図っていき、木材利用の促進にも取り組むことにしています。この他、森林整備事業、治山事業といった従来から行っている公共事業、林業の担い手の育成・確保、シカなどによる森林被害対策、森林山村多面的機能発揮対策についても引き続き所要額を要求しています。
併せて、平成30年度の補正予算についても、予算案が今週閣議決定されましたが、この中で今回のたび重なる災害に対して治山施設、林道施設の災害復旧に469億円を計上しています。
 山村地域において、「新たな森林管理システム」を活用して林業の成長産業化を進め、地方創生を実現していくためには、路網整備、造林といったこれまでの森林整備予算の確保が不可欠です。仮に森林環境税の創設を契機に森林整備事業予算が減ってしまうことがあると、森林環境税の創設の意味がなくなってしまうことになり、今まで税の創設に向けた皆様方のご尽力が水の泡になってしまいかねないと思っています。「新たな森林管理システム」を活用して林業の成長産業化を実現するためにも森林整備事業などの従来の予算をしっかり確保していくことが重要であり、林野庁としても全力で取り組んでまいります。全国山村振興連盟の会員市町村におかれても林野庁における予算確保に向けて格別のご支援を賜りたいと思います。これに併せて、都道府県における関連予算の確保についても働きかけ等よろしくお願いしたいと思います。

◎挨拶をいただいた方以外の政府関係の出席者(敬称略)
  農林水産省農村振興局鳥獣対策室長 尾 室 義 典
  農林水産省農村振興局地域振興課課長補佐 三 重 野 信
  農林水産省農村振興局地域振興課調整係長 永 田 浩 章
  林野庁森林利用課山村振興・緑化推進室企画係長 高 橋  誠


【議 事】
 竹ア会長代行の議長のもとに議事が進められた。

○ 第1号議案  平成31年度山村振興関連予算・施策に関する要望(案)に関
  する件
  實重 事務局長が内容の説明を行った。
  山村は、頻発する自然災害により大きな痛手を受けており、従来以上に防災・
  国土強靭化への働きかけを強めるべき、災害対策について、税を含む財源確保
  の手法を検討すべきではないか、福島県と周辺県で除染や廃棄物処理の方法が
  異ならないようにすべきである等の意見が提出され、これらの意見を踏まえた
  所要の修正を行うことが承認された。

○ 第2号議案  決議(案)
  實重 事務局長が内容の説明を行った。
  要望(案)の修正を踏まえて修正を行うことが承認された。



 全国山村振興連盟は、平成30年10月17日(水)午後4時から連盟事務局において副会長会議を開催した。翌日開催される理事会に付議する議案等について協議が行われ、決定された。


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