全国山村振興連盟
        会長代行  黒 澤 丈 夫

 明けましておめでとうございます。
 御互い様健康に恵まれて、平成12年の新春を迎えたことをご同慶に存じます。
 平素は、全国の山村振興運動の為に、当連盟の旗の下に団結して、御活躍下され感謝の至りに存じます。
 先ずもって、会員の皆様が、我が国の主産業が「瑞穂の国」と呼ばれた農林業から工業と貿易に変換させられた事に伴って生じた山村社会の衰退に抗して、明るく希望に満ちた山村を創出しようと、多年努力を続けて居られますことに深く敬意を表する次第であります。
 この皆様のご努力が実って、山村に青壮年の定住者が多くなる事を祈るものでありますが、それは日本社会に、経済力を多く蓄え得て、物質文明の恩恵を受け易い地に幸福があるとする価値観が漲る中では、多大の困難が伴います。
 この難関に挑戦して相当の成果を挙げつつおられる所に皆様の尊い姿を感じます。
 幸に、経済力や物質文明の中に幸福を求めて来た人達の一部の心に、自然の中で生きる生活への価値観が芽生え始めた兆が感じられ始めました。
 今こそ私達が山村生活の意義や、山村住民の社会への貢献を説く好機であります。
 当連盟と致しましても、この機を活用して一層山村振興の成果が挙がるよう努める所存でありますが、従来型の補助政策や起債政策によって生活環境の整備や産業振興等に寄与するだけでなく、生産性の乏しいが故に衰微しつつある農林業に対しても、その果しつつある公益を積極的に創出せしめる立場からの公的支援を強化する運動が必要と考えております。
 この主旨から考えると、農政における中山間地域等農民等への直接支払交付金制度の創設は大きな前進でありますが、農地以上に大きな公益を創出している林地に配慮が欠けている憾みがあります。
 更に、総合的な視点から山村自治体や山村住民の立場を主張すれば、山村住民が国家の拠り所である国土の広大な部分を国家から預って管理保全に尽している貢献は忘れられてはなるまいと考えます。
 この考え方による施策は先年自治省によって始められた所でありますが、尚一層の充実が望ましいのであります。
 以上、いささか山村振興運動が今後目指すべき方向を記して参りましたが、前途は険しいと覚悟しなければなるまいと存じます。
 然し、それを克服して山村振興の道を拓くことが当連盟の使命と心得ますので懸命に努める所存でありますので、各位のご支援を切にお願い申し上げます。
 年頭に当たり、所懐の一端を申し述べるとともに全国の山村のご発展と会員皆様方の一層のご健勝を心よりお祈り申し上げ私のご挨拶と致します。


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