「山林面積を単位費用とした交付税制度
の改正に関する特別要望書」を提出

 
全国山村振興連盟宮城県支部 
   
 

 全国山村振興連盟宮城県支部及び宮城県市町村林野振興対策協議会は、2月26日の通常総会において、標記特別要望を議決し、当連盟保利会長及び全国市町村林野振興対策協議会山本文男会長あてに要望書を提出した。
 当連盟(米田事務局長他対応)には、3月28日、全国山村振興連盟宮城県浅野支部長(東和町長・当連盟副会長)、宮城県市町村林野振興対策協議会 跡部会長(大衡村長)、会員の高橋七ケ宿町長が来訪され、山村・林業の厳しい状況を説明するとともに、森林の公益的機能を果たすためには森林の適正な管理が必要であり、これを実施するために必要な財源を確保するため、「基準財政需要額に森林1ヘクタール当たり1万円以上を算入する山林面積を主体とした交付税制度の改正を関係方面に強く働きかけるよう」要望がなされた。
 特別要望書の内容は次のとおりである

「山林面積を単位費用とした交付税制度の改正に関する特別要望書」

 今日、化石燃料の大量消費にともない、大気中の二酸化炭素が驚異的に上昇いたしております。このため大気中の二酸化炭素濃度を低下させ、それを封じ込める場所として、森林の光合成による二酸化炭素固定能力に大きな期待が寄せられております。
 こうした事態の中で我が国は、昨年6月に地球温暖化防止に向けた温室効果ガスの削減目標が示された「京都議定書」に署名したところであります。
 その結果、日本は1990年比で6%の削減義務が課せられて、その内3.9%分を森林に求められることになり、森林の果たす役割は益々増大したといえるのであります。
 しかし、森林を守り、育ててきた多くの山村では、人口が減少し、高齢化が進行しているのに加え、木材価格の低迷によって管理が行き届かないのが現実で、森林は荒廃の一途を辿っています。
 このようなことから、今、公益的機能を有する森林を育成し、管理することが極めて重要であり、山を守るには山村を守ることが緊急かつ最大の課題であります。
 我が国の総面積は378,000平方kmで、その内67%は山林でありますので、山林は250,000平方kmです。基準財政需要額に1ヘクタール当たり1万円を算入した場合、国全体で2,500億円でありますので、決して不可能な数字ではありません。我が国の森林のもたらす公益的機能を市場価値で試算すると70兆円といわれており2,500億円はわずか0.36%に過ぎません。
 以上のことから、基準財政需要額に森林1ヘクタール当たり1万円以上を算入する山林面積を単位費用とした交付税制度の改正を全国山村振興連盟として関係方面に強く働きかけるよう要望いたします。

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 【山村町長の施策提言(寄稿)】

温暖化防止対策『実効ある森林整備促進を』

 
宮城県七ヶ宿町長 高橋國雄

  

 
 今日、化石燃料の大量消費に伴って、大気中の二酸化炭素が驚異的に上昇していると言われている。
 このため、大気中の二酸化炭素濃度を低下させ、それを封じ込める場所として、森林の光合成による二酸化炭素固定能力に大きな期待が寄せられている。
 こうした事態の中で、わが国は、昨年6月、地球温暖化防止に向けた温室効果ガスの削減目標が示された「京都議定書」を受諾したところである。
 その結果、日本は1990年比で6パーセントの削減義務が課せられて、そのうちの3.9パーセント分を森林に求められることになり、森林の果たす役割は益々増大している。
 しかるに、森林を守り、育ててきた多くの山村では、人口が減少し、高齢化が進行しているのに加え、木材価格の低迷などによって管理が行き届かないのが実情で3.9パーセント削減は達成できず、大幅に下回る恐れがあると指摘されている。
 このような状況を打開するため次のことを提案したい。
 まず第一に、山村を守る施策として、現下の交付税制度における基準財政需要領に、少なくも森林面積1ヘクタール当たり1万円を算入する処置を講ずるべきである。
 森林は、古来よりその地に住む人々によって育まれ守られてきたように、山を守るには、その山を守る人、つまり山村を守ることが必要である。
 多くの山村では、いま過疎化・高齢化で悩んでいる。今こそ税源の乏しい山村に対して有効な財政調整機能を発揮させ、山村を守ることが必要なのである。
 わが国の国土総面積は約37万8千平方キロメートルで、そのうちの67パーセントが山林である。従って約25万平方キロメートルが山林なので、国全体で2千6百億円を要することになる。
 なお、わが国の森林のもたらす公益的機能を市場価値で試算すると、70兆円と言われており、1ヘクタールで見るとおよそ280万円の価値を有することになる。
 第二に、森林整備を強力に推進するため、国庫で十割の補助をすることとし、間伐材の搬出費も事業費に組み入れることである。
 木材価格の低迷が続いていることから、山に対する林家の熱意が失われ、せっかく植えた森林の適切な管理に目が向かないのが現実の姿である。
 今も森林整備に対する助成制度は確立しているが、少しでも負担しなければならないとなると、整備に消極的な林家が多く、このままではせっかくの制度が活かされないことになる。
 また、切り倒されたままの間伐材は、その搬出費を事業費に組み入れることによってその利用が促進され、バイオマスエネルギーに活用すれば、その分、化石燃料の消費を抑制する効果も生まれる。
 森林整備という個人資産形成に全額国費投入という問題点も残ると思うが、温暖化から掛け替えのない地球を守るということであれば、国民的理解を得ることができると信じる。
 ただ、全国の森林所有者の形態は大小様々なので、どう調整するかは国民の理解を得るうえでの重要な要素と言えよう。
 これら二つの施策はどちらが欠けてもその実効性は薄れ、同時に講じてこそ、その効果を発揮することになる。
 即ち、山を守るには、山を守っている山村を守ることが不可欠であり、山村が衰退してはどんな良策を講じても森林整備は進まない。逆に山村が守られても、林家が森林整備の意欲を掻き立てる有効な施策がなければ資本は山村に流入せず、森林整備など覚束ないのである。
 地球温暖化の影響は、すでに世界のいたるところで、氷河の融解による海水の上昇や、脆弱な生態系の変化などに見られると言われている。
 病み始めている地球を救うことは、人類に課せられた最大の課題であり、今こそ思い切った施策を講ずるべきと考える。

 

 

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