政府は、昨年1月、我が国の観光立国としての基本的なあり方を検討するため観光立国懇談会の設置を決定し、以降懇談会等検討が重ねられ、昨年4月には、観光立国懇談会報告書が取りまとめられました。
 この報告書を受け、内閣府、国土交通省、農林水産省等の連携のもとに観光立国実現のための「観光立国行動計画」がされた。
 この計画の一環として、国土交通省において平成14年12月発足した『観光カリスマ百選』選定委員会は平成15年1月29日に第1回の『観光カリスマ百選』を選定し、以降平成16年2月2日まで第5回の選定が行われ、63人の百選が選定された。第5回で選定された12人はつぎのとおりである。

1.

観光カリスマ百選の選定経緯
 経済活性化等に大きく貢献する観光の振興に向けた取り組みが政府において進められて いるところでありますが、従来型の個性のない観光地が低迷するなか、各観光地の魅力を 高めるためには、観光振興を成功に導いた人々の類まれな努力に学ぶことが極めて効果が 高く、各地で観光振興にがんばる人を育てていくため、『観光カリスマ百選』選定委員会では、その先達となる人々を観光カリスマとして選定した。

  

2.

観光カリスマとして選定された方々

1)

綾野 輝也    株式会社黒船 代表取締役社長(岩手県江刺市)
 江刺のまちに数多く眠っていた『蔵』に着目し、長浜の黒壁によるまちづくりの先進事例をうまく取り入れながら、『蔵』を守り活かすことによって、寂れていた江刺の中心市街地を活性化させることに貢献した。

2)

加森 公人    加森観光株式会社 代表取締役社長(北海道札幌市)
 経営が悪化したリゾート再生において、雇用を継続しながらも、地域の実情を最大限に活かし、かつ初期コストを抑えたリゾートの経営ノウハウを独自に考え出して、多くの破綻したリゾート地域を救うことに繋がった。

3)

坂本 勲生    本宮町語り部の会 会長(和歌山県本宮町)
 熊野古道の語り部の第一人者として、時に古文書の解説を挟みながらその卓越した知識で古道案内を行い、また本宮町語り部の会会長として現地研修会などを開催し、自ら資料収集、冊子の編集から講師まで幅広く行いながら語り部の養成と会員のレベル向上に努めている。

4)

首藤 勝次    株式会社大丸旅館 代表取締役社長(大分県直入町)
 戦後の経済成長のかげで過疎地域として低迷を続けていた直入町を舞台に、「日本一の炭酸泉」が湧出されることを活かして、その先進地であるドイツに学び、またドイツとの国際交流を軸にしながら様々なイベントを開催するとともに、個性あふれる公衆浴場など施設整備を展開するなどにより、観光地としての長湯温泉の急成長を導いた。

5)

竹盛 洋一    竹盛旅館 代表者(沖縄県竹富町)
 西表島という自然豊かな沖縄の中でも特に原生的な自然資源に恵まれた島において、貴重で豊かな自然と共生しつつ地域振興を図るという新しい観光のあり方を模索し、実践する活動の中核として活躍した。具体的には、多様な関係者を束ね、日本で初めて「エコツーリズム協会」を設立し、エコツーリズム運動を促進するとともに、自らも旅館経営者としてエコツーリズムを実践し、その普及に尽力した。

6)

田中 まこ    神戸フィルムオフィス 代表(兵庫県神戸市)
欧米、アジアなどのフィルムコミッショナーやエンターテイメント産業への自身の幅広いネットワークを活かしながら国内外のロケを積極的に誘致し、併せて映像制作の経験の豊かさを活かしたフィルムコミッション活動を推進し、神戸の街の「映像による」観光振興に尽力している。

7)

中川 満    野外博物館合掌造り民家園 事務局長(岐阜県白川村)
 世界遺産白川郷(荻町集落)と隣接する「野外博物館民家園」において、村外の新しい視点から、それまでオフシーズンであった「冬季の白川郷」の観光化、古き伝承文化と農村風景の再現、自然観察や農業体験などのイベントを実践することで、平成14年度に昭和47年開業以来最高の入り込み客数を実現するとともに、村内各施設の運営や住民の観光に対する考え方を変えるなど大きな影響を与え、白川村の魅力を再発見し観光振興等に貢献している。

8)

中田 金太    株式会社飛騨庭石 代表取締役社長(岐阜県高山市)
 地域の基幹産業である観光産業にあって、古来より保存されている祭屋台の製造技術の保存・伝承に努めるとともに、新たな観光資源の開発に尽力し、地域経済の発展、ひいては観光都市高山の発展に努めている。

9)

野田 文子    株式会社内子フレッシュパーク「からり」取締役(愛媛県内子町)
 生産者自身が楽しみながら、消費者に農村の楽しみを提供する都市と農村との交流拠点「からり」の取締役として、農村女性による農産物直売による都市住民との交流の草分け的存在である。生産者の顔が見える安全・安心・新鮮な農産物を追求し、リース教室ツアーなど年間をとおした「食」と「農」の農業体験活動を実践するとともに、農業ベンチャーを対象とした研修等の講師としても積極的に活動し、農村女性起業家のモデルとして多方面で活躍している。

10)

平田 克明    有限会社平田観光農園 代表取締役(広島県三次市)
 県職員退職後、農園10haを継承し顧客主体の観光農園を設立、10種類以上の果樹を栽培し四季を通じた周年型の「観光農園」で果物をテーマとした都市農村交流を実践し、園内で採れた新鮮な果実、地元の野菜を用いた特色ある西洋料理店、田舎料理店等を展開するとともに、(株)三次ワイナリーや川西地区果実協同組合の取締役を兼務し、地域と協力した農産物加工品を積極的に販売するなど地域に密着した事業を展開している。

11)

蓑谷 穆    社団法人飛騨高山観光協会 会長(岐阜県高山市)
 地域経済における観光産業の重要性に着目し、住民の参画意識を持った観光事業の推進に努め、飛騨高山観光協会の会長に就任し官主導の組織から民主導となる地域密着型の観光協会の運営に改め、社団法人化による民間主導の観光協会を実現させた上で、観光魅力を継続・維持・発展させる取り組みに努めている。

12)

ロス・フィンドレー 有限会社ニセコアドベンチャーセンター 代表取締役(北海道倶知安町)
 冬のスキーによる観光しかなかった北海道ニセコ地域に、ラフティングなど夏の体験観光の魅力を付加し、広く国内外から観光客が集まる通年観光の地に変貌させた。また、「日本リバーガイド協会」の設立に当初から参加し、ラフティングツアーの安全性やサービスの向上を通じて、ラフティング人口の増加に寄与した。

  

3.

今後について

 観光振興を図るには、地域のオリジナリティが不可欠であり、そのためには観光カリスマの活動を形だけ模倣するのではなく、「考え方」を理解することが重要です。したがって、今後、観光に取り組もうという地域が、観光カリスマから直接話を聞くことなどにより、観光カリスマのノウハウを上手く活用して、人真似ではない、個性的な観光地づくりが進 められていくことが大事であると考えています。

 本選定委員会は今後も2〜3か月に1回を目途に開催し、観光カリスマを順次選定していく予定です。

  
『観光カリスマ百選』選定委員会
委員長
島田 晴雄 内閣府 特命顧問
委 員
古賀  学 社団法人日本観光協会 調査企画部長
佐藤喜子光 立教大学観光学部 教授
田川 博己 株式会社ジェイティービー 常務取締役東日本営業本部長
細尾 勝博 兵庫県八千代町 産業課長(観光カリスマ)
廻  洋子 淑徳大学国際コミュニケーション学部経営環境学科講師
藻谷 浩介 日本政策投資銀行地域企画部 調査役

事務局

平工 奉文 内閣府 参事官(産業・雇用担当)
山根 隆行 内閣府 参事官(社会基盤担当)
前田 隆平 国土交通省 総合政策局 観光部 企画課長
永杉 伸彦 農林水産省 農村振興局 地域振興課長
(詳細は、当連盟のホームページの山村振興施策の「共生・対流」カリスマ百選をご覧下さい。)
(http://www.maff.go.jp/www/press/cont/20040202press_1.htm)
  

  

  

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