温暖化対策を検討するため、平成16年3月、自由民主党林政調査会(二田孝治(衆)会長)に温暖化対策等に関する小委員会(北村直人(衆)小委員長)が設置されているが、5月13日(木)に開催された第6回会合において、森林・林業団体、全国山村振興連盟、NPO法人地球緑化センターからヒヤリングが行われた。
 全国山村振興連盟からは、橋彦芳副会長(長野県栄村長)、末永副会長(山口県福栄村長)が出席した。
 両副会長は、山村の実態を述べるとともに、温暖化対策税制を創設してその財源を森林整備等に充当していただきたいこと、山村自治体の財政基盤を確立するための新たな財政措置・税制措置を講じていただきたいこと、山村振興法を延長していただきたいこと等の説明を行った。

 両副会長の発言要旨は次のとおりである。(配布した資料は別添のとおり。)


【橋副会長】
 日頃全国の山村の振興につきましていろいろご指導ご支援頂いておりますことに対し感謝を申し上げます。全般的な森林・林業の問題については、すでにお話がありましたので、山村の役割と温暖化対策等につきまして、主として私の村の山の経営の実態を踏まえて申し上げます。私の村は、長野県の北、新潟、群馬、長野県の県境にあり、標高250mから2,200m:標高差は2,000mで起伏に富んだ山村です。
 その上、日本有数の豪雪地帯であり、その中で山の経営を行っているわけです。
 面積は27,000ha、このうち水田は2,200haで山が22,000ha、全国の山林2,500万haの約千分の一ぐらい所在している典型的な山村です。
 私のところは戦時中、民有林、国有林あわせて4,000haの天然林が伐採をされています。一挙に4,000haが伐採をされましたので、戦後はもっぱら植林という造林しかなく、資源はなくなりましたので栄村としては、公団造林、現在の緑資源機構の水源造林を主体とした山の経営を行ってきたところです。現在、国有林が約15,000ha、民有林が10,000haですが、このうち現時点では、国有林が8%ぐらい、民有林が25%ぐらいの造林を行ったという状況です。山に関わって生きていく以外に仕事はない村ですが、なんといっても、私達は植えるだけの造林でして、もっぱら公的資金がないと山を守っていけない、という状況にあります。現在、機構造林を中心といたしまして2,500ha余の造林面積があります。なんといってもこれを豪雪に耐えながら美林に仕立てていくという厳しい作業があるわけですが、この中で資金の問題があるわけです。緑資源機構においても、最近の実行予算は、私の実感では60%ぐらい下がったのではないかと思うんです。そういう中で、山の仕事は非常に減退をしている。国有林も仕事を少なくしておりますので、山に住んでいて仕事がない、森林組合も作業員を確保していくことは容易ではない、一時は45人いたが、現在は28人に削減せざるを得ないと、こんな様な状況になっています。
 しかし、生き生きした森林を造る以外に、温暖化防止に貢献できないわけでありますので、何としても生き生きした森林に作り変えることが私は、山村の使命だと思って日々努力をしております。ちなみに栄村の予算、3億円弱ですが、10%を森林・林業に当てているところです。
 この10%を林業に、林道は殆どやっておりませんので造林に当てている例はそんなには無いかと思いますが、しかし、山村はそのようなことをやっていかないと自活できないと思っておりますので、今後とも資金の手当てをして頂きたい。
 今、三位一体改革が行われていますが、私のところは高齢化率41%にもなっており、税は移譲されても税源が無い、小規模町村ということで交付税は削られる、補助金も削減されるということになりますと生きていく術は無く、私は、山に対する補助金は、全て公的なものでございますので絶対に無くしては困ると思っております。
 どうか三位一体改革の中でも山村が生きていけるように、そして、期限の到来する山村振興法の延長と内容充実をお願い申し上げて、私の冒頭の発言とさせて頂きます。

【末永副会長】
 福栄村は、日本海側にありまして萩市の隣の小さな村です。面積が98km2、人口は2,600人余りで、高齢化率は39%となっています。元々福栄村は、農地の保有形態、山林の保有形態は平均しておりまして、特別な大地主というものは無かったわけでありますから、農と林が一体となった経営をして生計を営んでいるというのが昔からの歴史です。従って、農閑期になりますと山に入って燃料を取ったり材を切って搬出したりといったことが一番大きな年間の仕事でしたが、最近は山へ行っても伐採した箇所は殆どありません。従って、苗木もいらない、材もでない。私の村には、広域の森林組合の木材共販所があり、森林組合の事務所もあります。人工林率は53%になっていますから、かなり林業が活性化しなければならないはずであります。
 しかし、伐採材も出てこない、苗木も売れず、苗木業者もやめております。何故かということですが、材価の低迷が一番大きな原因であると思っております。それから間伐をしなければならない、木材の生長率は年間3%あるわけですから間伐はしなければならないが、殆ど山へ行かない、山へ行っても日当が取れないことが大きな原因です。間伐材がお金にならない、そういうことで非常に荒廃しているわけであります。
 今間伐しなければならない山で3割ぐらいが間伐しているのではないかと思いますが、あとは手遅れになっており、使いものにならない山になるのではないかと思っております。昔はここに倍以上の人が住んで暮らしていたわけですが、山が人を養う力が無くなって、田圃もまた同様の状況で人を養う力が無くなって殆どが村外に出て労働報酬で賄っている、あるいは年金等で賄っているというのが現実の姿です。
 何とかここへ森林整備のための新たな公的な資金が入って、山を間伐し、木材が搬出できれば年金や他からの労働報酬に頼らずに自立出来るのではないかと思っております。森林の周辺を見ても山のふもとまでセキスイハウスとか大和ハウスとか木材以外のハウスが建つ現状でございます。
 何とかこれを食い止めて木材をしっかり使用出来るようにしなければいけません。 私は、森林組合長を10年やっていましたので、そういったことは十分考えているつもりですが、問題は地産地消がしにくいということでございます。他のものは、地元でできて地元で使えますが、木材は、一旦都市流通に乗って山村へ帰ってくる、これは製材所がないということが一番大きな問題であります。自分の木を切って地元で製材し、使っていけるような仕組みにしないと、高い製品を買うというようなことでは消費につながらないだろうと思っております。
 そのようなことをやって、地域の雇用を増やし、人が住めるように、そして次の世代に立派な山が資源が残っていくように努力したいと思っておりますが、すぐには回収しにくい、資金がいることであります。長期の資金がいることであります。この辺をしっかりご検討いただければ有り難いと思います。



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