要   望   書
 山村地域の振興につきましては、日頃から格別の御配慮を賜り厚く御礼申し上げます。
 昭和40年に山村振興法が制定されて以降、山村地域においては、国が推進する各般の山村振興対策に基づいて産業基盤・生活環境の整備等の充実を図り、住民の福祉の向上並びに地域の活性化に努めてまいりました。
 しかしながら、引き続き人口の減少・高齢化が進展し、地域の活力の低下が危惧される等厳しい状況におかれております。
 他方、近年、地球温暖化防止の観点から二酸化炭素吸収源として森林の整備が大きな課題とされ、また、国民の新しいライフスタイルを実現する場として大きな期待が寄せられるなど、山村地域の果たすべき役割は従前にも増して多様化・高度化してきております。
 このような中で、山村振興の理念及び振興方策を盛り込んだ山村振興法の期限が平成17年3月末に到来します。
 また、政府においては、三位一体の改革を推進するとともに、新たな法律による市町村合併を推進しようとしておりますが、山村地域の実情を反映したものとなるか危惧しております。
 山村自治体としては、厳しい状況の中にある山村地域を守り育てるため、引き続き最大限の努力をしてまいる所存でありますが、政府、国会におかれては、山村振興法を延長しその内容を充実するとともに、下記事項の実現を図っていただくよう強く要望致します。


T 山村振興対策の総合的・計画的推進及び山村地域の活性化

(農林水産省・総務省・国土交通省・他)

1.

山村振興対策については、関係省庁の一層の連携強化のもと、総合的かつ計画的な実施を図ること。

2.

新たな食料・農業・農村基本計画の策定に当たっては、中山間地域等の振興を図るための施策の充実・強化を図ること。

3.

山村振興対策の基幹的事業である新山村振興等農林漁業特別対策事業の計画的な推進を図ること。

4.

山村地域の生産基盤と生活環境を一体的に整備し、個性的で風格のある美しい地域づくりを行うため、中山間地域総合整備事業、農村振興総合整備事業、森林居住環境整備事業、漁業集落環境整備事業等の計画的な推進を図ること。

5.

山村地域の活性化を図るために不可欠な辺地債及び過疎債の十分な確保を図ること。

6.

農山漁村地域活性化対策、森林・林業振興対策(以上「地方財政措置」)の継続実施を図ること。

7.

独自の発想に基づく山村振興を助長するため、山村地域の自主性を尊重する助成措置、規制緩和措置等の幅広い導入を図ること。

U 多面的・公益的機能の持続的発揮

(農林水産省・総務省・国土交通省・環境省・他)

1.

山村の果たしている多面的・公益的な役割について児童生徒を含め国民一般の理解を深めるための教育・啓蒙・普及対策の充実を図ること。

2.

中山間地域等において、適切な農業生産活動を継続することにより、耕作放棄地の発生を防止し、多面的機能を確保するため、平成16年度で期限の到来する「中山間地域等直接支払交付金制度」の継続的な実施と内容の充実・強化を図ること。

3.

山村地域の里地や棚田が果たしている役割の重要性にかんがみ、その保全整備を図るための対策の充実・強化を図ること。

4.

わが国の地球温暖化防止対策において森林が二酸化炭素吸収源として大きな役割を担うことを踏まえ、森林・林業基本計画に定められた森林の整備、森林の保全、木材利用の推進等の目標が確実に達成されるよう、政策の拡充・強化を図ること。

5.

森林所有者等による計画的な森林施業が適切に行われることを確保するための「森林整備地域活動支援交付金制度」の継続的な実施を図ること。

6.

中山間地域等における崩壊、土石流、地すべり等の危険箇所が増大していることにかんがみ、治山事業、砂防事業等の拡充・強化を図ること。

7.

地球温暖化防止を図る観点から、温暖化対策税制を創設するとともに、その制度化に当っては、二酸化炭素吸収源である森林・それを支える山村地域の整備・活性化を促進する対策に税収の一部を充当するものとすること。

8.

水源のかん養、自然環境の保持等国土保全に資する事業を対象とした「国土保全対策」(地方財政措置)の継続実施を図ること。

9.

国土・環境の保全、水源のかん養等の役割を全う出来るよう、山村市町村に対する新たな財政措置及びその財源としての新たな税制措置(環境保全税(仮称)・水源税(仮称)の創設)を講じること。

V 山村と都市との共生・対流

(農林水産省・国土交通省・総務省・文部科学省・厚生労働省・他)

1.

外国人を含めた幅広いグリーン・ツーリズムを促進するため、普及啓蒙、受入れ体制の整備等の対策の充実・強化を図ること。

2.

幅広い国民の山村におけるボランティア活動を促進するための対策の充実・強化を図ること。

3.

学校教育・社会教育において自然豊かな山村での体験活動を推進するため対策の充実・強化を図ること。

W 道路、情報通信基盤の整備

(国土交通省・総務省・他)

1.

山村地域の産業、生活基盤として不可欠な高規格幹線道路、地域高規格道路、一般国道及び都道府県道整備の促進を図ること。

2.

市町村道の改良・舗装等を促進するため所要の対策を講ずること。また、基幹的な幹線市町村道路の整備の都道府県代行に対する助成措置の拡充・強化を図ること。

3.

山村地域における情報化を促進するため、光ファイバー網、移動体通信、情報拠点施設及びCATV、民放テレビ放送難視聴解消施設等の整備・充実を図ること。

X 産業の振興、地域資源の活用

(農林水産省・国土交通省・厚生労働省・経済産業省・環境省・総務省・他)

1.

山村地域のバイオマス、風水力、雪等の諸資源の利活用を促進するための対策の充実・強化を図ること。

2.

山村地域の立地条件を生かした新規農作物の導入、農林産物の加工・販売に対する支援措置の充実・強化を図ること。

3.

林業の振興を図るため、貿易対策を含め木材の生産・加工・流通・消費に至る一貫した対策の一層の充実・強化を図ること。

4.

緑の雇用担い手育成対策や就農支援資金等山村地域における産業の担い手の育成・確保対策の充実・強化を図ること。

5.

山村における雇用の場を創出するための対策の充実・強化を図ること。

6.

山村の高齢者がその実態に応じて地域社会の活動に積極的に参加できる機会を確保するための対策の充実を図ること。

7.

山村地域の商工業の振興を図るための対策の充実・強化を図ること。

8.

山村地域の特色を活用した観光振興のための対策の拡充・強化を図ること。

9.

野生鳥獣害対策に万全を期すため、野生鳥獣の農林業被害の防止対策、防止技術等の確立及び保護管理の適正化を図ること。

10.

山村振興法における税制特例措置等について、継続適用若しくは充実等が図られるよう検討すること。

11.

特定農山村法における第3セクターに対する法人税及び農業者に対する不動産取得税の特例措置並びに地方税の不均一課税に伴う措置について、平成17年度以降も継続適用すること。

12.

日本政策投資銀行による地域産業振興・雇用開発融資制度並びに中小企業金融公庫及び国民生活金融公庫による地域雇用促進資金貸付制度を継続実施すること。

Y 生活環境の整備

(国土交通省・厚生労働省・農林水産省、環境省・総務省・他)

1.

山村地域住民の生活交通を確保するため、地方バス路線維持対策等の充実・強化を図ること。

2.

山村の簡易水道等施設の整備促進を図ること。

3.

山村地域の実情に応じて汚水処理施設の整備促進を図ること。

4.

消防力の充実を図るため、消防施設等整備に対する助成措置の拡充・強化を図ること。

5.

ダイオキシン等発生防止対策に対応した廃棄物処理施設の新設・改造及び解体費用等に関わる助成措置の充実・強化を図ること。また、小規模廃棄物処理施設における発生防止技術等の向上・確立を図ること。

Z 医療・保健・福祉対策

(厚生労働省・他)

1.

山村地域の小児科医を含めた医師の確保に万全を期すこと。へき地診療所等の運営、医療施設・保健衛生施設の整備、医師及び看護師の養成・確保に対する助成措置の拡充・強化を図ること。

2.

へき地保育所の運営、高齢者等の社会福祉施設整備、社会福祉関係職員等の養成・確保に対する助成措置の拡充・強化を図ること。

[ 教育・文化

(文部科学省・他)

1.

公立学校施設整備、スクールバス等の購入に対する助成措置の拡充・強化を図ること。

2.

寄宿舎居住費等へき地児童生徒に対する助成措置の拡充・強化を図ること。

3.

生涯学習のための助成措置の拡充・強化を図ること。

4.

山村地域の文化財の保護等に対する財政措置等の拡充・強化を図ること。

\ 山村地域の自主性の確立

(総務省・他)

1.

財源保障機能及び財源調整機能を果たす地方交付税制度を堅持し、山村自治体の自主的・自立的運営に必要な所要額を確保すること。

2.

基準財政需要額の算定に当っては、山村自治体が人口割合に比べて広い面積を有し、国土保全、地球温暖化防止等に重要な役割を果たしていることを考慮し、面積要素を重視するなど、山村地域の実情に即したものとすること。

3.

国庫補助負担金の廃止・縮減にあたっては、必要とされる事務事業である限り、単に国の負担軽減に止まり、地方への負担転嫁をもたらすことのないよう、税源移譲等による代替措置を必ず講じること。

4.

税源移譲等に当たっては、人口が少なく課税客体の乏しい山村自治体の実情に配慮すること。

5.

いかなる場合においても強制的な市町村合併は行わないこと。