「パネルディスカッションでの黒澤丈夫群馬県上野村長の発言」

 上野村の村長の黒澤丈夫ですが、先年まで全国山村振興連盟の副会長をやっておりましたので、ざっと所見を述べさせていただきます。今パネリストの皆さんはおっしゃったことはそれぞれみなさんの立派な業績でありまして、大いに山村の行政を預かる者やまたは住民が参考にできるというふうに思いますが、それではこれから先の山村振興対策はどうあっていくんだということになると、これはですね、自立し、山村社会を持続してやるということは、尋常な難しさではないと私は思います。
 それぞれ立派な業績を挙げておいでになりますけれども、全国的に見ておりますと、山村は昭和の合併以後、既に500以上の集落が消滅してしまっているわけであります。
 そういうことを思うと私は、各町村ともそれぞれの町村は今過疎化、高齢化、少子化で人口がどんどん減っていって集落が、または山村社会が、なくなる方向に向かっております。
 それを私はどの町村も人口動態を毎年とって、たとえば零歳児から4歳児までの5年間の子供たちが何名いる、5歳から9歳までが何名いる、または65歳以上の高齢者の割合がどうだ、そういうことをまず明らかにしなければならない、そういうふうに思いますが、さっき岩田さんもおっしゃったんですが、私は、そういうふうに考えてみると、我々が今までの山村振興運動の中において訴え、獲得してきたところの補助事業の内容の充実、拡大等々の山村振興政策の充実という方向に対するお互いの運動は、足らないところがあったように思います。
 今、三位一体の改革で我々は、いったい来年からの財政はどうなっていくのか、4,000人以下の町村に対する段階補正は、補正率を4,000人でストップさせて、ずっと基準財政需要額が少なくなる、また、基準財政需要額の計算の中にも人口ばかりを中心に扱っておりまして、人口中心で算盤をはじくから、どうしたって広い地域を少人数で預かっている山村の場合には、財政力が乏しくて、さっきお話があったようなソフトな事業の充実とかいうことができないと思います。
 そこで、これからの山村振興運動においては、山村が預かっている農林地の面積、面積要素を入れてもらうということが絶対に必要であります。
 そしてそれに対する維持、整備の財源というものを持たしていただくならば、それによって森林に手をいれることもできますし、森林に働く人たちの所得の安定を図ることもできるわけです。そういう国家を預かっているという立場を強く訴えていただいて、その方向からの財源確保ということを切にお願い申し上げます。
 国の今までの財政の中においては、人口だけを中心に財政の配分を考えておりました。しかし、国家は国民だけで成り立っているのではない、国家は国土と国民とで成り立っているのです。その国土を守るという視点に立って考えるならば、離島や山村を預かっている人たちは、国土の守り賃というものを払ってもらう必要があるということを強く訴えるとともに、今後の山村振興運動では、そういう点を重点に思考していただくことを切にお願い申しあげまして、私の今日のシンポジウムを聞いた感想とさせていただきます。ありがとうございました。