わが国における高齢化は急激に進行しており、特に、山村地域においては、28.1% (平成12年時点。全国17.3%)に達している。政府が先に公表した「平成17年度版高齢社会白書」(平成17年6月3日閣議決定)には高齢化の現状と推移、高齢者の状況、高齢社会対策の実施状況等が取りまとめられている。その概要は次のとおりである。


1 高齢化の状況
(1) 高齢化の状況
@ 高齢化の現状と推移
 我が国の総人口は、平成16年(2004)年10月1日現在、1億2,769万人となり、この1年間で7万人(0.1%)増加したが、増加数、増加率とも戦後最低となった。
 65歳以上の高齢者人口は、過去最高の2,488万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)も19.5%に上昇している。高齢者人口のうち、前期高齢者(65〜74歳)人口は1,381万人、後期高齢者(75歳以上)人口は1,107万人となっている。
 全国の100歳以上の高齢者数は、平成16(2004)年9月末現在で2万3千人を超え過去最高を更新したほか、90歳以上の高齢者数も初めて100万人を超えた。
 高齢者人口は平成32(2020)年まで急速に増加し、その後はおおむね安定的に推移する一方、総人口が減少に転ずることから高齢化率は上昇を続け、27(2015)年には26.0%、62(2050)年には35.7%に達すると見込まれている。
A 地域別にみた高齢化
 都道府県別の高齢化率は、三大都市圏で低く、それ以外の地域で高い。平成16(2004)年現在、最も高い島根県で26.7%最も低い埼玉県で15.5%となっている。
 今後、高齢化率は、すべての都道府県で上昇し、37(2025)年には、最も高い秋田県で35.4%、最も低い沖縄県でも24.0%に達すると見込まれている。
 高齢化率による市区町村の分布は、昭和55(1980)年、60(1985)年には、高齢化率10〜15%未満を中心に集中していたが、平成12(2000)年には、高齢化率20〜25%未満が最も多く、分布の広がりも大きくなっている。
B 高齢化の要因
 我が国の平均寿命は戦後大幅に伸び、平成15(2003)年には、男性が78.36年、女性は85.33年となっている。
 また、65歳時の平均余命は、男性18.02年、女性23.04年となっており、男女とも高齢期が長くなっている。
 出生の状況をみると、合計特殊出生率は、第1次ベビーブーム以降急速に低下して昭和31(1956)年に2.22となり、50(1975)年に1.91と2.00を下回った。
 平成15(2003)年は1.29であり、過去最低水準となっている。
C 高齢化の影響
 平成16(2004)年の65歳以上の労働力人口は490万人であり、労働力人口総数の7.4%を占めている。今後、労働力人口総数が減少に転ずる中、労働力人口の高齢化は一層進展していくものと見込まれる。
 年金・医療・福祉その他を合わせた社会保障給付をみると、平成14(2002)年度は83兆5,666億円であり、国民所得に占める割合は昭和45(1970)年度の5.8%から23.0%に上昇している。高齢者関係給付費の内訳をみると、年金保険給付費が42兆5,025億円と全体の4分の3弱を占めている。
(2) 高齢者の状況
@ 高齢者と家族
 65歳以上の者のいる世帯数は、平成15(2003)年現在1,727万世帯であり、全世帯(4,580万世帯)の37.7%を占めている。内訳は、「単独世帯」が341万世帯(19.7%)、「夫婦のみの世帯」が485万世帯(28.1%)、「親と未婚の子のみの世帯」が273万世帯(15.8%)、「三世代世帯」が417万世帯(24.1%)となっている。
 65歳以上の高齢者人口に占める一人暮らし高齢者の割合は、昭和55(1980)年には、男性4.3%、女性11.2%であったが、平成12(2000)年には男性8.0%、女性17.9%と顕著に増加している。今後も一人暮らし高齢者は増加を続け、特に男性の一人暮らし高齢者の割合が大きく伸びることが見込まれている。
A 高齢者の経済状況
 高齢者の生活意識をみると、全世帯における割合と比べ、高齢者世帯(65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯)では、現在の暮らしについて「普通」とする世帯の割合が高く、「苦しい」(「大変苦しい」と「やや苦しい」を合わせたもの)とする世帯の割合は低くなっている。
 高齢者世帯の年間所得(平成14年の平均所得)は304.6万円となっており、全世帯平均(589.3万円)の半分程度であるが、世帯人員一人当たりでみると、高齢者世帯の平均世帯人員が少ないことから、196.1万円となり、全世帯平均(204.7万円)との間に大きな差はみられなくなる。
 高齢者の個人所得の平均は、65歳以上男性は303.6万円、女性は112.4万円と、女性は男性の3分の1強に過ぎず所得のない者の割合も65歳以上の男性4.4%に対し女性16.5%と、女性が大きく上回っている。
 世帯主の年齢が65歳以上の世帯の貯蓄の状況についてみると、平成15(2003)年において、平均貯蓄現在高は、2,423万円と全世帯(1,690万円)の約1.4倍となっており、4,000万円以上の貯蓄を有する世帯が全体の約2割(17.0%)を占めている。
B 高齢者の就業
 高齢者の就業状況は、男性の場合、就業者の割合が55〜59歳で89.9%、60〜64歳で66.5%、65〜69歳で51.6%となっている。また、60〜64歳の不就業者(33.5%)のうち5割以上の者が、65〜69歳の不就業者(48.4%)のうち4割近くの者が、就業を希望している。
 女性の就業者の割合は、60〜64歳で41.5%、65〜69歳で28.7%となっている。不就業者でも、60〜64歳の不就業者(58.5%)の3割以上の者が、65〜69歳の不就業者(71.3%)の2割以上の者が就業を希望している。
C 高齢者と健康・福祉
 高齢者の健康状態についてみると、平成13(2001)年における65歳以上の高齢者(入院者を除く。)の有訴者率(人口1,000人当たりの病気やけが等で自覚症状のある者の数)は502.7である。日常生活に影響のある65歳以上の高齢者(健康上の問題で、日常生活の動作・外出・仕事・家事・学業・運動・スポーツ等に影響のある者。入院者を除く。)の割合は、高齢者人口1,000人当たりで235.0となっている。
 介護保険制度における要介護者又は要支援者と認定された者のうち、65歳以上の者の数についてみると、平成15年度末で370.4万人となっている。また、介護保険制度のサービスを受給した65歳以上の被保険者は302.5万人(平成16年4月審査分)となっている。
D 高齢者の社会参加活動
 高齢者のグループ活動への参加状況についてみると、54.8%が何らかのグループ活動に参加している。具体的な活動では、「健康・スポーツ」25.3%、「趣味」24.8%、「地域行事」19.6%、「生活環境改善」9.1%の順となっている。
E 高齢者の住生活
 高齢者の住宅の所有関係についてみると、65歳以上の高齢者のいる主世帯では、持ち家が84.0%、公営・公団・公社の借家が6.2%、民営借家が9.5%となっており、主世帯総数に比べ、持ち家率が高く、借家率が低い。また、高齢単身主世帯では、高齢夫婦主世帯に比べ、持ち家率が低く、借家率が高くなっている。
F 高齢者の生活環境
 高齢者の外出状況についてみると自分から積極的に外出する方である」が60.2%を占め「家族や他人から誘われたり仲間がいれば外出する方である」が21.8%となっている。
 年齢階級別にみると、75歳以上の後期高齢者は、65〜74歳の前期高齢者と比べ「自分から積極的に外出する方である」の割合が50.8%と低く、「外出することはほとんどない」は13.2%で高くなっている。
G 高齢者と安全
 平成16(2004)年において、65歳以上の高齢者の交通事故死者数は、3,046人、交通事故死者全体の41.4%を占めている。交通事故死者数は、平成4年までは16〜24歳の若者が多かったが、5年に高齢者が若者の死者数を上回り、その後も高齢者の割合の増加と若者の割合の低下が続いている。
 高齢者と犯罪、災害に関し、65歳以上の高齢者の犯罪による被害の状況について、刑法犯被害認知件数でみると、平成15(2003)年は22万3,720件で、全被害認知件数の9.3%を占めている。また、「振り込め詐欺」事件のうちいわゆる「オレオレ詐欺」事件の平成16年中の認知件数は14,459件で、65歳以上の被害者が26.5%となっている。


2 高齢社会対策の実施の状況
(1) 高齢社会対策の動き
@ 高齢社会対策の総合的な推進のための政策研究
 平成16年度には「高齢者の社会参加の促進に関するアンケート調査」を実施した。その結果をみると、「誰もが、意欲と能力に応じて、年齢に関わりなく働けるシステム」を構築していく上で、社会全体の取組が必要ないし適切と考えられる条件については、「労働者の能力、意欲等に応じた賃金・処遇システムの拡大」が71.4%と7割を超え、次いで、「厚生年金の支給開始年齢や、在職老齢年金制度の見直し」37.0%、「短時間勤務や隔日勤務など、弾力的な形態での就労の場の拡大」36.7%、「定年制度の廃止や見直し」34.8%等の順となっている。
 また、ボランティア活動への参加理由としては「自分自身の生きがいのため」が67.7%で最も多く、次いで「色々な人と交流できるため」が58.3%、「自分の知識や経験をいかす機会がほしかったため」が42.6%である一方で、「報酬を得たいから」が12.9%となっている。
(2)分野別の施策の実施の状況
@ 生活環境
 高齢者等誰もが社会の活動に参加・参画し、社会の担い手として役割と責任を果たしつつ、自信と誇りと喜びを持って生活できる社会の実現に向けて、平成16年6月に決定された「バリアフリー化推進要綱」(バリアフリーに関する関係閣僚会議決定)を指針として、政府一体となって社会のバリアフリー化の推進に取り組んでいる。
 「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(平成12年法律第68号)に基づき、バリアフリー化の目標や交通事業者等が講ずべき措置、基本構想の指針等を示した、移動円滑化の促進に関する基本方針(平成12年国家公安委員会、運輸省、建設省、自治省告示第1号)が策定されている。このうち、平成16年10月に、市町村が作成する基本構想の指針となるべき事項について、重点整備地区内の建築物も含めた一体的なバリアフリー対応について配慮されるよう基本方針を改正し、その旨を明確化した。
 高齢者の移動の円滑化を図るため、駅・空港等の公共交通ターミナルのエレベーターの設置等の高齢者の利用に配慮した施設の整備、ノンステップバス等の車両の導入などを推進している。
 「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」(平成6年法律第44号)に基づき、高齢者等が円滑に利用できる建築物の建築を促進するため不特定多数の者又は主に高齢者等が利用する特定の建築物の一定の新築・増改築の際に建築主に基準への適合義務を課すことにより、建築物のバリアフリー化を推進している。
 「振り込め詐欺」(いわゆる「オレオレ詐欺」等)については、平成16年12月に改正された「金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律」(平成14年法律第32号)を活用するなどして、取締りを強化するとともに、被害実態に応じたきめ細やかな広報や金融機関等との連携に努めている。
 農村高齢者の農業関係活動や地域活動への取組を推進するため、高齢者活動に対する啓発、高齢者の自立活動及び都市高齢者等と行う地域づくり活動等を促進した。また、高齢者の持つ経験や能力をいかし、森林の利用に関する社会参画を促進するため、森林環境教育活動の企画運営者研修や指導者情報の提供などを行った。

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