平成19年度全国山村振興連盟関東ブロック会議が、7月10日(火)〜12日(水)の二日間にわたり全国山村振興連盟埼玉県支部(支部長 栗原 稔 秩父市長)と埼玉県(上田清司知事)との共催により埼玉県秩父市において各県の会員、支部事務局等93名が参加して開催された。
 会議は、地元埼玉県支部事務局 石野雅士事務局長の司会により進められ、まず栗原稔埼玉県支部長の主催者挨拶があり、ついで、来賓として出席した農林水産省農村振興局地域整備課 荒木俊安課長補佐、総務省自治行政局地域振興課 窪田真由美総務事務官から挨拶があり、続いて主催県の埼玉県農林部 小山政雄副部長から歓迎の挨拶があった。続いて農村振興局農村政策課 林 友和、関東農政局地域整備課 松村廣一課長補佐及び野口光三係長、埼玉県支部副会長のときがわ町長 関口定男氏、同副会長の神川町長田村 啓氏が紹介された。全国山村振興連盟からは、東 諄常務理事及び川島洋子参事が出席した。
 次に、議事に入り、先ず、連盟東常務理事から連盟役員の新体制、要請活動状況、森林の間伐整備のための補正予算、鳥獣議員連盟で検討されている鳥獣害対策、若い人の定着にも寄与している地球緑化センターの緑のふるさと協力隊事業について報告が行われた。 続いて、各県からの提出された要望事項について協議が行われ、提出支部から説明がなされた後、農村政策課の林係長、地域整備課の荒木課長補佐、地域振興課窪田係長からそれぞれの所管に関わるものについて見解が述べられた。
 次に、事例発表に移り、「メープルシロップ・太白サツマイモを使用したお菓子の取り組みについて」と題して、秩父お菓子な郷(くに)推進協議会 町田啓介会長から発表があった。
 次に、講演に移り、「見直そう地域の食と食文化」と題して、東京農業大学 小泉武夫教授から講演があった。
 最後に、次回開催県については長野県と決定され、橋栄村長から挨拶が行われた。
 翌11日は、ちちぶバイオマス元気村発電所、石間交流学習館、釜の上農園村、龍勢会館・井上伝蔵邸を現地視察した。

◎「メープルシロップ・太白サツマイモを使用したお菓子の取り組みについて」と題した事例発表の要旨は、次のとおりとなっている。

 秩父は年間200万から900万人の観光客のある地域である。300万人として考えても25億円くらいのお菓子のマーケットがあるのに半分にも満たない。そこでマーケットサイズを広げようということで趣意書を持ってお菓子組合を口説き、平成15年にお菓子な郷推進協議会をたちあげた。
 チャンスロスをなくせということで目立つ幟をつくり、芝桜の時期には隣のグランドで、西部ドーム、観光イベント会場等々あっちこっちに出向き、お土産品の販売をしたり、餅つきをやったりといろんなところでいろんなことをやった。芦ヶ久保の道の駅では、お菓子な郷推進協議会のコーナーもできた。
 そうこうしているうちに、フットワークの良さを買われ、平成16年には、市から、地域産業活性化再生計画策定補助事業(経済産業省の補助金を使って地域を元気にさせる計画を作る)にエントリーしてみないかと声をかけられ、軽いノリで引き受けた。“秩父のお菓子のマーケットを工夫と努力で拡大する”ということで交付決定がされた。
 ここで実質、協議会が行政と一挙に取り組みだしたきっかけがある。市、県、商工会議所、観光協会、一般消費者と取り組みが始まった。
 秩父には25種類のカエデがある。“カエデの樹液を用いた秩父を代表するお菓子を創出する”ということで採択された。
 メープルシロップを使ったお菓子の開発は、まず、カナダのケベック州にカエデから樹液を採ることを学びに行くことから始まった。自費で視察に行くが、樹液を採る季節でなかったため、ケベックから樹液とり名人を秩父に呼んで、指導してもらった。
 お菓子作りが一番大変な作業であったわけだが、2回の審査会をし、最終審査の委員には秩父市の女性25名になってもらい、26品のうちから4品が商品として決まった。
 そして、昨年、幻の太白いもというのがものすごい反響でマスコミに報道された。我々も幻のいもを使い商品開発をしたいということで太白いものお菓子の開発にこぎつけた。
 そうして開発したお菓子は、メープルシロップのお菓子が、今年の4月から一ヵ月半で180万円を売上げ、太白いもは300万円を売り上げた。来年はどちらも3倍はいけるだろうと踏んでいる。
 一方、カエデを増やす事業をしようということで平成17年、「カエデの森づくり推進協議会」を設立、国土緑化推進機構の緑の募金にエントリーし、採択された。同年10月、市民アンケートでカエデが秩父市の木に決まる。行政でもいろんな形でカエデの植樹をし、ロータリークラブ、ライオンズクラブ、ボーイスカート等々民間レベルでも植樹が始まり、また、“カエデを秩父の本当の資源にしよう”ということで「秩父カエデプロジェックト」をたちあげ、官民一体となって励んでいる。

◎「見直そう地域の食と食文化」と題した講演の要旨は、次のとおりとなっている。

 地域の食と食文化の話だが、それに一番関連するのは農村の振興だと思う。農作物の流通とか国民の食生活を含んだ話をしたい。
 農業を振興するためには、流通の整備が一番重要で効果的である。いくつかの成功例について話をする。
 スーパーマーケットというのは、流通に激変を起こしたが、スーパーマーケットを利用して農家が儲けているところがある。農家を活性化させるには、スーパーマーケットに負けてしまうのではなく、逆に利用すべきである。
 大分県のスーパートキハの例では、農家が1番近いスーパーに開店前に農作物を持っていき、値段は自分でつける、売上のなんパーセントかスーパーに払うけれども、毎日現金収入が入る。同様のことを鹿児島県のスーパーでも考えているところであるという。
 また、大山町(日田市)では、農協の職員の給料は、前年度の売上に応じて決まるという。農家と農協はまさに運命共同体である。農家という言葉をやめ「プロフェショナル農業集団」と称し、プロなんだから本物をつくるということで、麦をつくるにも土からつくる。肥沃な土から作った麦は売らずに畑の隅にパン工場を造りパンを焼く、ハーブの時代が来ると思えば、遠くジブラルタル、スペインへ学んで来る。嫁たちはハーブクッキーをつくって全国に売る、農協の組合員がお金を出し合ってつくった農民食堂は、地元ばかりでなく福岡県の博多の天神のど真ん中にあり、行列ができている。1300円で朝採りした80種類の農産物、卵が食べ放題だという。
 私は、全国地産地消推進協議会の会長もやっているが、今年会長賞で表彰したところは、高校生の営むレストランであった。農業クラブや大人たちが作った農産物を家庭クラブが料理する。マゴーズレストランの昨年の売上が2億円であるという。
 今、食糧自給率は40%を切っており、外国に食料をゆだねてしまっているが、安全安心ばかりでなく日本の食文化が消えてしまう。
 今、地球規模の異常気象であり、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど、日本に輸出しているところが大きな影響を受けている。こんな状態だと、いつまで食料を供給してもらえるか分からない。
 世界で一番おいしい安全安心な日本のものを食べないで、外国産の安いもの食べている。
 例えば、安い幕の内弁当の中身は、アメリカ産のコメ、中国産のカリカリ梅、チリ産の鮭、オセアニアのウインナ、中国産のたくわんと中国産のはしというように日本のものがなにもない。食文化の崩壊だ。
 日本の食文化というものは非常に大切なのである。それがなかったら地域もないし、民族もないのである。民族文化はなにかというとそこに住む人たち、又はそこで住んでいる土地であり、それをなくしたらみんな共通である。国として民族文化がなかったら意味がない。食べ物、言葉は民族文化なのである。

◎各県から提出された要望事項(要旨)は、次のとおりとなっている。

要望事項1(群馬県支部)

今年から始まった「団塊の世代」の大量退職に備え、その受け皿となる山村地域への支援充実について

(具体的説明)
 都市生活者の「田舎暮らし」志向や本年から始まった「団塊の世代」の大量退職により、第2のふるさと探しが活発化してきています。このような人々の受け入れは地域の活性化など、地域のメリット面ばかりが強調されていますが、これは山村地域の公益的機能の維持、地域文化や伝統の保存など全国的な問題に対応する手段のひとつでもあります。
 このような、全国的問題に対しその受け皿となる山村地域への支援(ハード・ソフト問わず)を充実することは全国的な受け入れ体制の整備を促します。
 移住者増等の事業成果による交付金の上乗せでは、全国一様な取り組みにはならず。より地域格差が拡大してしまう恐れがあります。

要望事項2(静岡県支部)

山村地域のインターネット等の高度情報通信基盤の整備とデジタル放送への対応について

(具体的説明)
 インターネットに代表される高度情報通信基盤の整備は、急速に進展しているといえるが、山村地域では住宅密度の低さや地理的条件からその整備が大都市部に比べ著しく遅れている状況にあります。
 このような状況は、山村地域で生活する住民が「情報の過疎」に陥るだけでなく、災害時等の緊急時における対応としても大きな不安要素であります。
 さらには、2011年7月から移行されるテレビ放映の地上波デジタル放送への移行に関しても、同様の状況になるのではといった不安も感じられます。
 このような状況からも、山村地域における情報インフラ整備に関して、国レベルでの戦略的な支援措置を要望するものであります。

要望事項3 (静岡県支部)

木質バイオマス利活用の総合システム構築の必要性について
(エネルギーの分野における木材利用と原材料確保)

(具体的説明)
 地球温暖化防止対策の推進、循環型社会の形成への取り組みの中で、農山村に豊富に有する木質バイオマスの利活用も大きな課題であります。
 脱石油エネルギー、再生可能エネルギーという面でも森林資源を活用したバイオマスから得られるエネルギーや製品を活用することが、環境面だけでなく農山村の持続的振興面でも重要と考えます。
 しかし、現状では構想策定及び施設整備等に対する支援措置はあるものの、事業推進の根幹である、原料確保のための支援措置は少ない状況にあります。例えば杉・ヒノキ等の人工林で、補助制度や環境対策で間伐は推進されるが山林から搬出しての利活用は経費がかかるため進んでいない状況です。
 搬出経費等に活用できる総合的な支援制度の確立が、温暖化対策や農山村活性化のために不可欠といえることから、早急の検討を要望いたします。

要望事項4(静岡県支部)

鳥獣害対策の一層の推進について

(具体的説明)
 近年、中山間地域では野生鳥獣害の被害、特にイノシシ、猿、カモシカ、鹿等による被害が甚大であり、背景には、動物の生息環境の変化のみならず、農地の荒廃、狩猟者の減少高齢化、個体数の増加、気候変動など複合的要因が考えられます。
 総合的、且つ早急な対策の構築を強く求めるものであります。
 現状は大変切迫しており、いわゆる「限界集落」などは特に対応に苦慮し、生活が脅かされている状況に追い込まれています。
 将来を見据えた、根本的な対応の検討を要望いたします。

要望事項5(長野県支部)

山村振興地域の中でもとりわけ積雪地帯における融雪設備普及のための優遇措置について

(具体的説明)
 屋根の雪下ろし事故を防ぎ、住宅周りの除排雪労力を軽減するため、融雪設備の導入や融雪に要する諸経費に対する優遇措置をお願いします。
 融雪設備(屋根等の改良、消雪用井戸、小型除雪機)の導入費用やこれらの稼働経費に対し、必要経費として一定額を特別控除されたい。

要望事項6(神奈川県支部)

農山漁村活性化プロジェクト交付金への制度移行についての詳細と連盟の対応について

(具体的説明)
 当県には山振実施中の地区はありませんが、今後の着手があった場合に備えて新制度と旧制度の違いや連盟としての対応についてお伺いいたします。

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