平成20年度山村振興関連予算・施策の要望に関する件
 山村地域の振興につきましては、日頃から格別の御配慮を賜り厚く御礼申し上げます。
 山村地域は、国土の約5割、森林の約6割を占め、食料、木材などの産物の供給を行うとともに、国土保全、自然環境の保全、水源のかん養、地球温暖化の防止、良好な景観の保全、文化の伝承、憩いの場・癒しの場の提供等多面的な役割と公益的機能を果たしてきております。
まさに、山村地域は「美しい日本」の原風景であり、「美しい森林づくり」の最前線です。
 しかしながら、山村地域においては林業の低迷、地場産業の停滞等により引き続き人口の減少・高齢化が進展しつつあり、また、都市との格差解消、市町村合併後の中心部と山間部との格差是正に取り組む中で、山村地域の財政状況は悪化してきております。
 このような中で、山村自治体としては、山村振興法に基づき、山村地域の振興を図るための対策に積極的に取り組み、山村地域がその役割を果たすことができるよう、最大限の努力をして参る所存であります。
 政府・国会におかれては、山村地域の振興を図ることが国家的課題であることを踏まえて、下記事項の実現を図っていただくよう強く要望致します。

T 山村振興対策の総合的・計画的推進及び山村地域の活性化 
1. 山村振興計画に基づき、関係省庁の一層の連携強化のもと、山村振興対策を総合的かつ計画的に推進すること。
2. 振興山村における農林水産業等地域産業の振興、生活環境の向上等を図るための施設の整備に対する助成措置(農山漁村活性化プロジェクト支援交付金による支援措置等)の継続実施を図ること。
3. 山村地域の活性化を図るために不可欠な辺地対策事業債及び過疎対策事業債の十分な確保を図ること。なお、「過疎地域自立促進特別措置法」を継続延長し、過疎に苦しんでいる山村自治体が行う過疎対策に必要な財源措置を講ずること。
4. 農山漁村地域活性化対策、森林・林業振興対策(以上「地方財政措置」)の継続実施を図ること。特に、市町村などによる民有林の公的整備に対する交付税措置など森林整備に係る地方財政措置の更なる充実を図ること。

U 多面的・公益的機能の持続的発揮
1. 山村の果たしている重要な役割について児童生徒を含め国民一般の理解を深めるための教育・啓蒙・普及対策の充実を図ること。
2. 中山間地域等において、安定的な農業生産活動の体制整備に向けた前向きな取組を推進し、耕作放棄地の発生を防止し、多面的機能、公益的機能を維持・増進するため、「中山間地域等直接支払制度」の普及・定着及び「農地・水・環境保全向上対策」については普及・啓蒙を図り、十分効果を挙げるために弾力的な運用と事務負担の軽減を図ること。
3. わが国の地球温暖化防止対策において森林が二酸化炭素吸収源として大きな役割を担うことを踏まえ、森林・林業基本計画に定められた森林の整備・保全、木材利用の推進等の目標が確実に達成されるよう政策の拡充・強化を図ること。
4. 森林所有者等による計画的な森林施業が適切に行われることを確保するため「森林整備地域活動支援交付金制度」の普及・定着を図ること。
5. 水源のかん養、自然環境の保持等国土保全に資する事業を対象とした「国土保全対策」(地方財政措置)の継続実施を図ること。
6. 地球温暖化対策を推進するための環境税を創設するとともに、その制度化に当たっては、二酸化炭素吸収源である森林、それを支える山村地域の整備・活性化を促進する対策に税収の一部を充当するものとすること。
7. 国土・環境の保全、水源のかん養等の役割を全う出来るよう、山村市町村に対する新たな財政措置及びその財源としての新たな税制措置(環境保全税 (仮称)・水源税(仮称)の創設)を講じること。
8. 国土保全や生活環境整備を図るため、治山、治水及び砂防対策の充実・強化を図ること。

V 山村と都市との共生・対流
1. グリーン・ツーリズムの一層の普及を行うとともに、地域ぐるみで行う受入体制や交流空間の整備及びNPO法人等の多様な取組主体の育成等グリーン・ツーリズムの総合的な推進を図ること。
2. 幅広い国民の山村におけるボランティア活動を促進するための対策の充実・強化を図ること。
3. 学校教育・社会教育において自然豊かな山村での体験活動を推進するため対策の充実・強化を図ること。

W 道路、情報通信基盤の整備
1. 山村地域の産業、生活基盤として不可欠な高規格幹線道路、地域高規格道路、一般国道及び都道府県道の整備、特に、市町村道の改良・舗装等、立ち遅れている山村地域の道路整備を促進するため、道路特定財源を十分確保し、地方への配分割合を引き上げ、地方における道路財源の充実を図ること。また、基幹的な幹線市町村道路の整備の都道府県代行に対する助成措置を講ずること。
2. 山村地域における情報化を促進するため、光ファイバー網、移動体通信、情報拠点施設及びCATV等の高度情報通信基盤の重点的な整備を促進するとともに、民放テレビ放送難視聴を解消すること。また、地上デジタル放送について、移行後に視聴できない地域の発生等、地域格差が生じないよう、また、新たな負担が生じないよう配慮すること。

X 産業の振興、地域資源の活用
1. 山村地域のバイオマス、風水力、雪等の諸資源の利活用を促進するための対策の充実・強化を図ること。
2. 林業の振興を図るため、貿易対策を含め木材の生産・加工・流通・消費に至る一貫した対策の一層の充実・強化を図ること。
3. 緑の雇用担い手育成対策、林業就業支援事業、就農支援資金、農林業就職促進支援事業等山村地域における産業の担い手の育成・確保対策の充実・強化を図ること。
4. 森林・林業へのUターン者等の定住を確保するため、森林資源等を活かした新たな産業の創出に対する支援を継続するとともに、都市と山村の多様な主体が連携して行う山村の活性化に資する取り組みに対する支援の充実・強化を図ること。
5. 山村の高齢者がその実態に応じて地域社会の活動に積極的に参加できる機会を確保するための対策の充実を図ること。
6. 山村地域の商工業の振興や観光振興のための対策の拡充・強化を図ること。
7. 鳥獣被害の深刻化に鑑み、被害防止に関する対策の強化を図るとともに、有害鳥獣対策に係る特別交付税措置の充実を図ること。
更に「鳥獣被害対策に係る特別措置法」の早期制定を図るとともに、予算措置を含め対策の充実・強化を図ること。
8. 旧中小企業金融公庫等の新公庫移行後も地域雇用促進資金貸付制度の継続実施を図ること。

Y 生活環境の整備
1. 山村地域住民の生活交通を確保するため、地方バス路線維持対策等の充実・強化を図ること。
2. 山村の簡易水道等施設の整備促進を図ること。
3. 山村地域の実情に応じて汚水処理施設の整備促進を図ること。
4. 廃棄物処理施設の整備を推進するため、助成措置を講ずること。また、廃棄物処理施設の解体に対しては、適切な措置を講ずること。
5. 消防力の充実を図るため、消防施設等整備に対する助成措置を講ずること。

Z 医療・保健・福祉対策
1. 山村地域の小児科医を含めた医師の確保に万全を期すこと。へき地診療所等の運営、医療施設・保健衛生施設の整備、医師及び看護師の養成・確保に対する助成措置を講ずること。
2. へき地保育所の運営、高齢者等の社会福祉施設整備、社会福祉関係職員等の養成・確保に対する助成措置の拡充・強化を図ること。

[ 教育・文化
1. 公立学校施設整備、スクールバス等の購入に対する助成措置を講ずること。
2. 寄宿舎居住費等へき地児童生徒に対する助成措置を講ずること。
3. 山村地域の文化財の保護等に対する財政措置を講ずること。

\ 山村地域の自主性の確立
1. 地方税財政改革の推進に当たっては、山村地域が国土保全等のために重要な役割を果たしていること、山村地域においては引き続き地域活性化のために各種の対策等を講じる必要があることから山村地域の振興に必要な財源が十分確保出来るようなものとすること。
2. 財源保障機能及び財源調整機能を果たす地方交付税制度を堅持し、所要額を確保すること。また、山村地域における税財源が極めて乏しいことを踏まえ、山村自治体の自主的・自立的運営に必要な所要額を確保するため、山村自治体への財源移譲に特段の措置を講ずること。
3. 基準財政需要額の算定に当たっては、山村自治体が人口割合に比べて広い面積を有し、国土保全、地球温暖化防止等に重要な役割を果たしていることを考慮し、面積要素を重視するなど、山村地域の実情に即したものとすること。また、いわゆる新型交付税の算定に当たっては、山村自治体の行財政運営に支障を来たさないよう所要額を必ず確保すること。
4. 独自の発想に基づく山村振興を助長するため、山村地域の自主性を尊重する助成措置、規制緩和措置等の幅広い導入を図ること。