早期制定を目指し活動してきた「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」が第168臨時国会において成立した。

国会における審議経過及び法律の内容は、次のとおりである。

T 国会における審議経過
1、衆議院農林水産委員会       (12月11日開催)
 宮腰光寛委員長から、理事会等において協議した結果得られた「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律案」(以下、「鳥獣被害防止特措法案」という。)の起草の趣旨及び主な内容について説明が行われた後、この起草案を 本委員会の成案とし、委員会提出の法律案とすることが全員の賛成により決定された。
 また、当日の委員会において、研修の機会の提供、技術指導を行う者の育成等業務に携わる者の資質の向上を図るために必要な措置を適切に講ずるべきであるとの内容を盛り込んだ「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止に関する件」が決議された。
2、衆議院本会議          (12月11日開催)
 農林水産委員長提案の「鳥獣被害防止特措法案」について、委員会の審査を省略し、本会議に上程して審議を進めることが決定され、宮腰農林水産委員長から提案の趣旨及び内容の説明が行われた後、全会一致で可決された。
3、参議院農林水産委員会      (12月13日開催)
 「鳥獣被害防止特措法案」の提出者である宮腰衆議院農林水産委員長から提案の趣旨及び内容の説明が行われた後、質疑が行われ、全会一致で可決された。
 また、本法律案に対して、研修の機会の提供、技術指導を行う者の育成等業務に携わる者の資質の向上を図るために必要な措置を適切に講ずるべきであるとの内容を盛り込んだ「附帯決議」が行われた。
4、参議院本会議      (12月14日開催)
 郡司農林水産委員長から「鳥獣被害防止特措法案」についての委員会審査の経過及び結果の報告が行われた後、賛成227、反対1で可決された。

U 法律の内容
「鳥獣被害防止特措法案」の概要は次のとおりとなっている。(提案者の説明から作成)
一、目的
 農山漁村地域において鳥獣による農林水産業等に係る被害が深刻な状況にあり、これに対処することが緊急の課題となっていることにかんがみ、鳥獣被害の防止のための施策を総合的かつ効果的に推進し、もって農林水産業の発展と農山漁村地域の振興に寄与することを目的としている。
二、基本指針
 農林水産業等に係る被害の防止に係る施策の責任者である農林水産大臣が被害防止施策を実施するための基本指針を定めることとしている。
三、被害防止計画
 最も現場に精通し、今日その対策に腐心している市町村が、主体的に被害防止施策に取り組むことができるようにするため、農林水産大臣が策定する基本指針に即して、単独でまたは共同して被害防止計画を作成することができるようにするとともに、その際、市町村が、都道府県知事に対し、必要な援助を求めることができることとしている。
 この被害防止計画を作成した市町村については、都道府県知事が有している有害鳥獣捕獲許可権限を委譲することができる仕組みを設けるほか、この計画に基づく施策の実施を支援するため、地方交付税制度の拡充その他必要な財政上の措置を講ずることとしている。
四、鳥獣被害対策実施隊
 市町村が捕獲、防護策の設置等の被害防止施策を組織的かつ効果的に実施するため、鳥獣被害対策実施隊を設置できることとし、その隊員については、非常勤の公務員とするとともに、狩猟税の軽減その他の必要な措置を講ずることとしている。
五、人と鳥獣の共存
 人と鳥獣の共存に配慮する観点から、国及び地方公共団体は、鳥獣の良好な生息環境の整備及び保全を図るため、間伐の推進、広葉樹林の育成その他の必要な措置を講ずるとともに、被害防止施策を講ずるに当たっては、生物の多様性の確保に留意するとともに、数が著しく減少している鳥獣等について、その保護が図られるよう十分配慮するものとしている。
六、その他
 1.国及び地方公共団体等の連携、2.農林水産業被害の実態、鳥獣の生息の状況及び生息環境の把握、3.被害原因の究明、調査研究の推進、4.人材の育成、5.農林漁業の振興及び農山漁村の活性化などに関する規定を設けている。
 また、附則において、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の改正を行い、鳥獣の生息の状況等について定期的に調査を行い、その結果を同法の適正な運用に活用する旨の規定を追加している。
七、施行
 公布の日から2月を経過した日から施行することとしている。

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