「都市と山村との交流・協働」、「地域資源を活用した就業機会の確保・創出」及び「定住の促進」に寄与する優れた取組み事例を表彰するとともに、その取組みを広く紹介することで、山村が元気になる取組みが全国に波及していくことを目的に、林野庁補助事業の「山村力(やまぢから)誘発モデル事業」の一環として(財)都市農山漁村交流活性化機構が実施している「山村力コンクール」の各賞がこのほど選定され、3月12日に東京都港区東新橋のヤクルトホールで開催された「第5回オーライ!ニッポン全国大会」において表彰された。

 第2回山村力コンクール各賞受賞の概要は、次のとおりとなっている。

「 個人の部(3件)」

林野庁長官賞
・・タイトル:竹治式炭窯の普及による竹林再生
・・団体等名:竹治孝義
・・自治体名:徳島県阿南市
(概 要)
 竹治氏は、年少の頃から家業の農林業に従事し、独自の発想と工夫で、より使い易い農林業機具の改良を行ってきた。
 竹治式炭窯は、独自の水利用消化操作機能で炭化時期を逃さず、一般家庭でも竹炭、木炭をはじめ焼き芋や燻製も簡単にできる製品である。
 また、竹炭や竹パウダー(独自粉砕機開発)、発酵有機肥料(豚糞、商品名五石どり)などを活用した土づくりや自然農法の普及活動も実践しており、講演依頼も多い。

全国山村振興連盟会長賞
・・タイトル:僻地山村最奥地からの挑戦
・・・・・・・〜栃城集落と泰阜村の命がけの取り組み〜
・・団体等名:木下藤恒
・・自治体名:長野県泰阜村
(概 要)
 電気が通ったのが昭和37年という泰阜村最奥の集落「栃城」。その栃城への道路が未だ開通していなかった昭和36年頃、中学3年生の木下氏は集落の人々が生活できる基盤を作ろうと決意。
 しかし、10年ほどは炭焼き、蚕、土方作業を転々として基盤を作るには到底遠い状況だった。
 昭和48年、電気や道が通らないほど狭い谷という過酷な自然環境を逆手にとり、栃城集落全戸が組合員となり(山林を担保にして)当時のお金で1,200万円の借金をして渓流魚養殖漁業を始めた。以来現在まで、住民全員が何らかの形でアマゴの養殖・採卵事業に年間を通じて関わりビジネス化している。
 また、平成11年に村内NPOとの協働による「長期子ども体験村」で劇的に成長・変化していく子ども達の姿を見て以来、現在まで、実行委員長として都市と山村との交流活動を始め、泰阜村のファンを次々と創っている。

審査委員会長賞
・・タイトル:山業は想像力(イマジネーション)と創造力(クリエティブ)
・・団体等名:藤井吉朗と堀江哲(堀江さんちと藤井さん)
・・自治体名:山口県岩国市
(概 要)
 藤井氏は、平成13年、52歳でUターンし、自力で間伐作業路開設、町内有数の山林所有者の堀江氏と共同で間伐を実施。平成16年台風で整備した山が全滅。
 その後、台風の倒木処理と「森は海の恋人」を実践するため、堀江兄弟と一緒にNPO法人「自然と釣りのネットワーク」とヒノキの間伐材を使ったアオリイカの人工産卵床を設置。
 また、台風被害地を災害のおきない昔の豊かな森に戻すとともに、猿や猪などとの共生・住み分けをするために、広葉樹を植林。
 このほか独自の施業により、はっ葉産業、山菜産業、山野草、民間薬草産業ができると確信。
 今後、堀江家を含めて所有している山林を生かして50年毎の錦帯橋の架け替え材料としての不伐の山を作っていきたい。

「団体の部(7件)

林野庁長官賞
・・タイトル:森林(もり)の恵み探し
・・団体等名:葛巻町森林組合
・・自治体名:岩手県葛巻町
(概 要)
 葛巻町森林組合は、森林管理協議会(FSC)の加工流通認証(COC)を平成17年に取得。
 COC認証は、町内の製材工場・集成材工場をはじめ首都圏で当町の集成材を使用し住宅を建築している業者も取得しているほか、製紙会社も町内の社有林で森林認証を受けており、現在では地域内の認証素材の仕入れから加工・販売までの供給システムが構築された。
 さらに森林組合では、町内産カラマツ材を対象に商標登録によるブランド化を図っている。
 このほか、首都圏の2社と町、森林組合が「くずまき型企業の森」の森林保全管理協定を締結。「まきを通して森を思い、まきを通して森と関わる」をテーマにしたフェスタの開催をはじめ、「くずまき高原里山森林整備実行委員会」では、木炭を活用した有機農産物の生産や水質浄化システムの設置など、「森の新ビジネス」の創出実証試験などの各種活動も展開している。

全国山村振興連盟会長賞
・・タイトル:西臼杵型産直住宅システム〜木材消費者が林業を支える〜
・・団体等名:西臼杵林業振興協議会
・・自治体名:宮崎県西臼杵郡
(概 要)
 宮崎県西臼杵地域の行政と林業・木材産業関係者で組織する「西臼杵林業振興協議会」では、平成17年に福岡県の工務店と提携した産直住宅システムを構築した。
 特徴は、工務店に通常よりも高い値段で立木を購入(産地直送方式による流通コスト削減分と工務店の追加負担額を立木価格に上乗せ)してもらい、森林所有者の収入の増加を実現している。
 森林所有者の収入は3年間で、約720万円であり、市場価格を元に試算した通常の収入に比べ5割増加した。
 また、福岡都市圏の住宅建設予定者を対象に、「産直交流ツアー」を開催し、これまでの3年間で237名の参加者を迎えている。
 参加者からは、建築材料に対する安心感やマイホーム建設の夢が膨らみ購買意欲が増すとの感想が得られた。

審査委員会長賞
・・タイトル:自然にやさしく・人にやすらぎの田舎(まち)ブナ北限の里づくり
・・団体等名:北海道黒松内町
・・自治体名:北海道黒松内町
(概 要)
 黒松内町では、平成元年「ブナ北限の里づくり構想」をスタートさせ、ブナ北限の里らしい自然体験、農業・農村体験の提供、美しいアメニティの提供など4つの目標を掲げ、「定住人口の増加」から「交流人口の増加」にまちづくりの視点を変更した。
 滞在型交流施設として、自然体験学習宿泊施設、オートキャンプ場、ブナの資料展示・実習工房、特産品加工施設、温泉施設、道の駅などを整備。
 また、ブナ林観察会、雪国の民具「かんじき」を履いてのソフトボール大会など、黒松内らしい様々なイベントや体験学習を提供してきた結果、現在では、年間約15万人の方々が訪れている。交流施設の従事者も60人を超え、人口3,300人の町において大きな雇用の場となっている。

審査委員会長賞
・・タイトル:白神の里への定住促進事業
・・団体等名:特定非営利活動法人 白神自然学校一ツ森校
・・自治体名:青森県鯵ヶ沢町
(概 要)
 白神山地周辺では、空き家が目立ち、就労の場がないことから若者の定住が少ない。
 一方、団塊の世代の田舎暮らしへの勧めを通して、その能力を農業や山を守る活動に活かすことを目的に定住促進事業を実施。
 一昨年より、田舎暮らし体験ツアーを実施、首都圏住民で「田舎暮らし」の希望者を対象に、大手旅行会社と連携を図り、四季を通して鯵ヶ沢町に来てもらい、農・漁業体験と街巡り、空き家捜しをはじめ、行政担当者による就労等の支援策の説明会を実施してきた。
 現在まで100名を超える方々が、「田舎暮らし体験ツアー」に参加された。
 鯵ヶ沢町では、商工会議所、観光協会、役場、自然学校が中心となり、「鯵ヶ沢町定住推進バンク協議会」を立ち上げ、定住推進の課題に挑戦している。

審査委員会長賞
・・タイトル:久慈やまがたの体験教育旅行“こころの体験”
・・団体等名:岩手県久慈市
・・自治体名:岩手県久慈市
(概 要)
 山林が94%を占める旧山形村では、首都圏の子供たちに伝統的な生活文化と自然を活かした野外活動体験を提供するとともに、子供たちとの交流を通し村の人々に自信や元気をもらえるよう、8年前に第1回「バッタリーキャンプ」を実施した。
 受入体制として「ふるさと体験学習協会」(インストラクター46人)、「いわてやまがた民泊研究会」(民泊農家54軒)、技の達人「おらほの村一番」(100人)を認定し、村民みんなで受入を行っている。
 近年では、旅行代理店等との連携により教育旅行の受入れも行なってており、平成19年度は首都圏から16校(5,641人)、市内等から7校(566人)を受入れた。
 旧山形村は、合併により「山、里、海」をもつ久慈市となったことから、海を活用した体験プログラムの開発、受入体制の充実を図り、さらなる拡大に取組んでいる。

審査委員会長賞
・・タイトル:足尾の山に100万本の木を植えよう!
・・団体等名:特定非営利活動法人 足尾に緑を育てる会
・・自治体名:栃木県日光市
(概 要)
 渡良瀬川の源流に位置する足尾町松木地区は、長年にわたる足尾銅山の煙害、森林の伐採により広大な山野が荒廃、裸地化し、下流域に被害を与えてきた。
 1996年、渡良瀬川上下流の市民グループにより「足尾に緑を育てる会」が結成され、植樹活動を開始した。
 現在、「100万本の木を植えよう」のスローガンを掲げ、市民ボランティアによる植樹活動を毎年実施し、これまで計12回、延べ8,400人が3万6000本の苗木を植えるとともに草刈り作業も行い植樹後の管理なども行っている。
 学校の体験植樹を年間100団体以上受入れ、普及啓発活動として「足尾グリーンフォーラム」も開催している。

審査委員会長賞
・・タイトル:松蔭高校チャレンジプログラム「グリーンエコプロジェクト」
・・団体等名:松蔭高校チャレンジプログラム「グリーンエコプロジェクト」
・・自治体名:兵庫県神戸市
(概 要)
 松蔭高校の3年生は、地球温暖化防止のため間伐による元気な森づくりを目指し、割り箸をはじめとする国産間伐材の使用を訴えていく活動を街ぐるみで行った。
 NPOの協力を得て、アドバシ(生徒達の思いが記された広告入り国産間伐材の割り箸)約7万膳を制作し、協賛企業によるアドバシ制作費の協賛援助。市内53店舗でのアドバシの利用促進をはじめ、地元FM放送局で4日間の特別番組による日本の森林保全を訴えたほか、百貨店では市民へのエコ啓発を目的とするイベントの開催。兵庫県知事への働きかけなど、多くの市民に訴えて、できれば人々の意識も変えて、社会・地域に貢献すべく活動を展開した。

《前へ》《次へ》