全国山村振興連盟は、平成20年7月4日(金)午前10時30分から千代田区永田町の全国町村会館2階ホールにおいて平成20年度第1回理事会を開催した。
 最初に、二田孝治会長から挨拶があり、次いで、国会議員役員である副会長の中谷元衆議院議員、理事の吉野正芳衆議院議員、理事の宮路和明衆議院議員から挨拶がなされた。
 来賓として出席された農林水産省農村振興局 田野井雅彦農村政策課長、国土交通省都市・地域整備局 井上勝徳地方振興課長、総務省自治行政局 笠井浩二地域振興室課長補佐及び林野庁 矢部三雄計画課長から挨拶をいただいた。
 挨拶終了後、東事務局長から「昨日の副会長会議において脇本副会長が筆頭副会長を務めることが申し合わされた」との報告が行われた。その後議事に移り、脇本副会長が議長を務め、第1号議案 平成19年度事業報告に関する件、第2号議案 平成19年度収支決算に関する件及び第3号議案 平成21年度山村振興関連施策の要望に関する件について審議が行われ、すべて原案通り承認された。
 理事会終了後、副会長が中心となって、関係省庁に対し要望活動を行った。

理事会の内容は、次の通りとなっている。

【二田孝治 会長(衆議院議員)挨拶要旨】

 本日は公務多端の中、来賓として多数の方にご出席をいただき、心から感謝申し上げます。
 理事会を開催するにあたり、一言ご挨拶申し上げます。
 昨年は、長年の課題でありました鳥獣被害防止対策などのための特別措置法が成立し、また、防止対策の整備もなされました。これは、ひとえに関係の先生方、主務省、そして山村の市町村の皆様のご熱意とご努力の賜物と思います。今後はこの法の適切な運用と効果的な防止のための総合対策によりまして、山村における鳥獣被害も防止されていくことを期待しております。
 今日の理事会では 昨年度の収支決算と事業報告をご審議いただくことといたしております。また、来年度予算に向けていろいろな施策の要望を決定いただきまして、関係方面に行動を起こし、その対応を決めていただく必要がある重要な会議であると思いますので、よろしくご審議のほどお願いいたします。
 この機会に若干所感を述べさせていただきます。
今年は、山村や森林の役割が一層重要性をもってきております。今、世界は、石油や穀物、木材などの資源戦争ともいってよいような事態になりつつあります。このような中で、我が国は資源に乏しいため、その自給率の向上が大きな課題となっており、このためには、農山村の持つ資源の重要度が高まっております。私は山村無くして日本の国土形成は無い。山村を守る支援こそが美しい日本を創るために必要であると思っております。
 先ほど申し上げましたように、本年は山村の持つ資源に注目されると思います。林野庁におきましては、山村再生に関する研究会が開催され、来年度予算に向けて山村再生対策が検討なされております。
 また、自民党では、循環型社会形成のための木材利用推進議員連盟が設けられ、国産材の利用を通じ、山村の振興を図るべく検討がなされてきております。
 このように、今日、農山村に良い風が吹き始めております。
市町村の皆様におかれましても、このような施策の推進、実現のため、大いにご尽力いただきますようお願いいたします。私どもも、皆様の声を施策に反映すべく引き続き努力してまいる所存でありますのでよろしくお願いいたします。
 最後になりましたが、本日ご参集の皆様方のご健勝と山村地域のますますの発展を祈念いたしまして、私のご挨拶とさせていただきます。

【中谷 元 副会長(衆議院議員)挨拶要旨】

 山村振興は、経済論理ではなくいかに地方を守り支えていくかということで、我々としては取り組んいきたい。特に近年の地方の状態は目を覆いたくなるような現実で、正に日本国憲法でいう基本的人権にかかわります。情報の格差、テレビの難視聴地域、携帯電話とかまだまだインフラが整備されていないところがあります。民営化とか自由化とかで地方がどんどん置き去りにされているおり、政治の力でこういった面のカバーをしたいとの一心でこれからも頑張っていきたいので、ご指導いただきたい。

【吉野正芳 理事(衆議院議員)挨拶要旨】

 森林、山村に大きく光りが当たってきました。特に資源の高騰が問題となっています。これからの日本は、外国の高いもの買ってそのお金が外国にいくのか、日本のものを買ってそのお金が日本の国の中でぐるぐる回っていくのか、こういうマクロ経済の上においても国内指向の形になってくると思います。
 そういう意味で山村の森林の重要性が益々大きくなっています。特に木材はその本来持っている役割と同時にバイオマスエネルギーということでエネルギーとして利用できる、また、マティリアル利用ということで木材から木質プラスチック等々の新しい資材ができるという意味で、まさに循環型の社会を創っていく上では森林、木材はなくてはならないもであります。この木材を育むところが山村、森林でありますが、この森林は生物多様性という面でも大きく貢献しています。今、バクテリアが私たちの生活になくてはならないもとなっています。
 酸素、水素、油を作るバクテリアがそれぞれあります。このようなバクテリア、微生物の研究が進んでいますが、これらは生物多様性を育む森林が保存しています。
 その面でも森林・山村の振興にこらから大きく光が当たっていくと思います。いくらフォローの風が吹いているといっても、安心してはいけません。大きな帆を立てその風を受け止めていく、この努力がなければ、風は上空を吹きっぱなしになる訳で、皆さんのこれからの努力にかかっていると思いますので、頑張っていただきたい。

【宮路和明 理事(衆議院議員)挨拶要旨】

 地域格差問題がいろいろ言われる中でもっとも格差のしわ寄せを受けているのが山村だといってもいい。そういう中で、皆さんも日々本当に苦労されながら、山村の活性化に向けて、血のにじむような努力をされていると察します。
 昨年は、私どもの農林漁業有害鳥獣対策議員連盟と二田先生が委員長をしている自民党の山村振興委員会との合同会議において、野生鳥獣から農林漁業、農山漁村を守るための法律を提出しよういうことで勉強を続け、昨年暮れの臨時国会に特別措置法案を提出させてもらい、最終的には民主党の賛成も得てなんとか成立させることがでました。
 その後、全国の多く市町村がこの特措法を活用して、被害防止計画を作って、有害鳥獣から農山村を守っていこうと努力していると聞いていますが、とりわけ有害鳥獣の被害に悩んでいる山村地域の皆さんは一日も早く被害防止計画を作って、効果的な対策を打ち出して地域の皆さんの期待に応えてもらいたい。
 お手元に「循環型社会形成のための木材利用推進のための緊急提言」を配布していますが、なんと言っても山村の活性化は木材をどう使うかということが成否の鍵をにぎると私は常々思っています。循環型社会形成のための木材利用推進議員連盟は、7月7日から開始される環境サミットの前に提言を急遽打ちだそうと精力的に勉強をしてきました。事務局長は吉野先生が務めています。先般7月1日に緊急提言をまとめて、関係方面にこれを問うことにしました。是非とも議員立法を臨時国会に出すようにしたいと思って、今日も関係省庁の各大臣のところに持って回ることにしています。 これを見ていただくと、木材利用の今日的意義ということで、循環型社会の形成に資する、地球温暖化防止に資する、最近多発している災害防止に資する、深刻化している水問題に資する、そして地域、山村の活性化に資する、ということをうたいあげています。そして、具体的な対策としては、政府が閣議決定して計画的に木材利用を進めることを義務づける、また、市町村及び都道府県に木材利用計画を策定してもらって、できるだけ木材を使っていくようにしてもらう、それに対して国としても積極的な支援をしていく。また、民間には木材利用に励んでもらう、また、木材利用のための研究開発を進める。さらに、日本は木造建築に対し厳しい規制を行っているので、緩和、撤廃してもらう。その他ここにいろんな対策を掲げています。
 防護柵等にコンクリートの木に似せて作った「擬木」が使用されている例があります。こういう偽装したものは特に山村地域から排除して、皆さんの地元においては木材を全て使って特色ある山村にふさわしいまちづくりしていただきたい。そうすることで存在感が出てき、そして全国に発信していくことができるようになると確信しています。まず、隗より始めよでありますが、皆さんの地域において木材利用のいわば緑の十字軍のような気持ちで取り組んでもらうようお願いします。

【田野井雅彦 農村政策課長の挨拶要旨】

 農林水産省としては、農山漁村の活性化を農政の柱と位置づけています。本日配布されている先に閣議決定されたいわゆる「骨太方針」においては、与党の先生の多大のご尽力で、農山漁村の活性化の項が設けられ、その中で都市と農山漁村の共生・対流を通じた農山漁村の活性化を図ることが明記されました。私どもはこれを受けて、予算、新たな制度に向けて努力したい。特にこの中にも明記された「子ども農山漁村交流プロジェクト」については、5年を目途に全国120万人の小学生を農山漁村において長期滞在の体験学習をさせるというかなり夢を持ったものであります。このほか様々な農山漁村活性化への支援のメニュー、制度を作ってきています。山村の活性化のため、こういうものを活用していただきたい。制度が分かりづらいとか、なにをしていいか分からないという声を寄せられます。出来るだけ分かり易い形で説明させていただくよう心がけているので、気軽に近くの農政局なり農政事務所にご相談いただきたい。
 本日の連盟の要望事項にも入っている「山村振興法に基づく税制特例措置」について、ここ10年ほど適用事例がなく、特例措置の延長要望の都度、苦労をしてきました。前回、平成17年の山村振興法の改正の際に適用の要件が緩和されたこともあり、認定法人の数も増え、平成19年にはひさびさに適用事例がでてきました。この制度は山村活性化のために今後一層重要性が高まると思っています。本日の資料の中に山村税制のパンフレットを入れさせてもらっていますが、会員の各市町村においてはこの制度のより一層の活用をお願いしたい。

【井上勝徳 地方振興課長の挨拶要旨】

 従来は地方整備課であったが、地方の振興により正面から取り組んで行こうということで、7月1日から地方振興課に名称が変わり、その課長に就任しました。
 国土交通省では、社会資本整備、道路、河川、公園、下水道、砂防事業、住宅対策、交通網の整備、観光施策等幅広く地域づくりのためのいろんな施策に取り組んでいます。本年度からは特に、山村振興という観点から「集落活性化推進事業」を創設しました。これは、使われなくなった校舎とか庁舎をワンストップサービス拠点にリニューアルする、伝統工芸、農林水産業など地域産業の活性化の拠点にする、外部との交流拠点に再編する、というようなものに補助するものであります。これらを活用して山村振興を推進していきたい。今後も関係省庁と協力して積極的な施策に取り組んでいきたい。

【笠井浩二 地域振興室課長補佐の挨拶要旨】

 総務省としては、都市と農山漁村の共生・対流等を促進する地方単独事業や山村地域の基幹的産業である林業・木材産業の振興対策等を推進するための経費について、農山漁村地域活性化対策、森林・林業振興対策及び国土保全対策として引き続き地方債及び地方交付税により財政措置を講ずることとしています。ICT関係については、地域の特性に応じたICTの基盤を整備するための地域情報通信基盤整備推進交付金により地理的要因によるデジタルディバイドの解消等に取り組んでいます。また、地上デジタル放送への全面移行のため、デジタルテレビ中継局の整備とか山間部等の共聴施設の整備に対する支援を引き続き行うこととしています。今後とも関係省庁と密接な連携の下、山村地域の振興に取り組んでまいりたい。

【矢部三雄 計画課長の挨拶要旨】
 本日付で治山課長から計画課長に就任しました。
先般6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震は山間部の地震ということで特徴的でありました。山地の崩壊により大きな被害が発生し、それにより小さなコミニィティが崩壊の危機に瀕している状況で、林野庁としては出来るだけ支援したいということで、地震発生直後から林野庁の職員を現地に派遣して、被害状況の把握、応急対策ということについてお手伝いをしてきています。今後とも全力で取り組んでいきたい。林野庁は山村の皆さんととともに生きてきました。これからもそのようにしていきたい。
 お手元に、先般6月に山村再生に関する研究会が取りまとめた「山村の再生に向けて」という報告書が配布されていますが、これまでのいろんな山村に関する報告書とは若干異なった趣の内容であり、是非目を通していただきたい。こういう考え方に基づいて来年度予算もしっかり取り組んでいきたい。

◎挨拶をいただいた方以外の政府関係の出席者(敬称略)
農林水産省 中山間整備推進室長 坂本 修
林 野 庁 森林総合利用・山村振興室長 厨 秀俊
農林水産省 農村政策課課長補佐 谷本 哲朗
農林水産省 農村政策課山村振興係長 進藤 栄治
農林水産省 中山間整備推進室山村振興事業係長 粂 望
林 野 庁 森林総合利用・山村振興室課長補佐 井上 康之
林 野 庁 森林総合利用・山村振興室森林計画官 高木 敏
国土交通省 地方振興課交流推進係長 逢坂 真徳
総 務 省 地域振興室総務事務官 武田 直人

【議 事】
 脇本副会長の議長のもとに議事が進められた。

第1号議案 平成19年度事業報告に関する件

第2号議案 平成19年度収支決算に関する件
第1号議案及び第2号議案について、東事務局長が内容の説明を行い、辻監事か ら監事監査報告が行われ、両案は原案通り承認された。

第3号議案 平成21年度山村振興関連施策の要望に関する件
東事務局長が内容の説明を行い、原案通り承認された。
 理事会で承認された「平成19年度事業報告」及び「平成21年度山村振興関連施策の要望」は次の通りとなっている。

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