平成20年度北海道・東北六県山村振興ブロック会議が、去る7月30日(水)〜31日(木)の二日間にわたり宮城県支部(支部長 渡辺政巳 丸森町長)の主催により宮城県丸森町において各道県の支部長、事務局長等24名が参加して開催された。
 会議は、地元宮城県支部事務局 伊藤美井子事業推進課長の司会により進められ、まず渡辺政巳宮城県支部長の主催者挨拶があり、ついで、来賓として出席した農林水産省農村振興局農村政策課 谷本哲郎課長補佐、総務省自治行政局地域振興室 岡田暁人総務事務官、東北農政局農村振興課 後藤孝平就業改善係長からそれぞれ挨拶があり、その他の来賓として農村振興局地域整備課 粂 望山村振興事業係長、林野庁森林総合利用・山村振興室 尾木浩典指導係長、全国山村振興連盟 東 諄常務理事及び川島洋子参事が紹介された。
 次に、中央情勢及び全国山村振興連盟活動状況等として連盟東常務理事から「循環型社会形成のための木材利用についての緊急提言が宮路先生をはじめ山村に関係の深い先生が集まった議員連盟からなされたこと」について説明がなされた。
 続いて、協議事項に入り、渡辺支部長が議長となり、北海道・東北六県からの提出事項について宮城県支部事務局事業推進課の高橋 昭課長補佐から一括して説明があり、その後 各支部長からデジタル放送への移行に関する各地域の実態等について補足説明が行われた。提出された各事項について、谷本課長補佐、粂係長、尾木係長及び岡田事務官からそれぞれの所管に関わるものについて見解が述べられ、意見交換が行われた。
 ついで、次回開催地について協議され、秋田県に決定した。
 翌31日は、いきいき交流センタ ー(大内活性化センター、農産物直販所、農家レストランで構成。平成18年4月にオープン)、滞在型市民農園筆甫クラインガルテン(農業を体験しながら丸森の自然に親しみ、町民との交流をすることを目的に平成17年4月にオープン。)、そば打ち体験館(そばを中心とした地域特産物の生産・販売を促進することにより活力ある「そばの里づくり」を推進し、地域の振興につなげることを目的に、平成16年度に開館した。)、齋理屋敷(蔵の郷土館)を視察した。

◎ 各道県から提出された事項は、次のとおりである。

○ 北海道
山村振興対策の推進について
要旨
  山村地域は、食料の供給のみならず、国土の保全、水源のかん養、都市住民に対する保健休養の場の提供など、公益的かつ多面的な機能を有しております。
  しかしながら、他の地域に比べ産業基盤や生活環境の整備水準が著しく遅れていることや、過疎化・高齢化の進行など多くの課題も抱えております。
ついては、山村地域の一層の振興と活性化を図るため、次の事項について特段のご配慮を賜りますよう要望いたします。

1.山村自治体の財政基盤の強化について
@ 山村自治体の多くは、課税客体が乏しく税収と歳出との間に大きな乖離が生じていることから、税源移譲に伴い財政力格差の拡大が懸念される財政力の弱い山村自治体に対しては、地方財政全体としても、個別自治体においても、地方交付税を確実に措置すること。
A 山村地域が人口割合に比べ広い面積を有し、国土保全、地球温暖化防止、食料生産等に重要な役割を果たしていることを考慮し、面積、森林などの要素の一層の反映、社会情勢の急激な変化に対する激変緩和措置など、地域特性を的確に反映した地方交付税の算定方法を確立すること。
B 地方債の繰上償還については、一定の条件のもと補償金なしの繰上償還が可能となったが、財政の健全性を更に確保するため、その対象範囲を拡大するとともに、要件の緩和を図ること。
C 国の制度改正や新規施策の創設に伴い、コンピューターの既存システムの変更、開発を余儀なくされ、多額の費用を負担しなければならないことから、国においては現状を十分認識するとともに、改修費用等に対する適切な財源措置を講じること。
D 総合行政ネットワーク(LGWAN)の利用については、国の制度改正や新規施策の実施のためには必要不可欠な設備となっているが、LGWANへの接続に必要なサービス提供設備(LGWAN−SS)が、平成21年3月末でサポート期限が満了となり機器更新が必要となることから、国において適切な財源措置を講じること。
E 消防救急無線については、アナログ方式の無線の使用期限が平成28年5月末迄の無線機器に全面的に更新する必要となることから、国において適切な財源措置を講じること。

2.地上デジタル放送について
 中継局整備にあたっては、放送事業者の自助努力とする基本原則により進め、地方自治体に新たな財政負担が生じないようにするとともに、電波状況等により地域間格差が生じないよう配慮すること
  また、地上デジタル放送について国民の理解を得られるよう的確な広報を行うこと。

3.森林吸収源対策を着実に進めるため、新たな税制の創設等の措置を講じるとともに、企業等からの外部資金の導入など多様な手法による森林の整備・保全を推進すること。
 また、温室効果ガスの排出抑制に有効な木質バイオマスの利用促進や、成長が早く、二酸化炭素の吸収効果がより期待できる樹種の研究開発を推進すること。

4.未解体廃棄物処理施設の撤去を促進するための支援施策の充実を図ること。

○ 青森県
1.森林吸収減対策としての森林整備の推進について
 森林県である本県は、温室効果ガスとされる二酸化炭素の吸収に大きく貢献しており、国際的に森林吸収源対策の加速化が求められる中、本対策を確実に実施するため、環境税の創設など新たな財源を確保し、その使途に森林吸収源対策を位置付けて、依然として厳しい林業経営が続く山村地域の実情を踏まえた森林の整備・保全等の諸対策を一層推進すること。

2.森林資源の循環利用による林業・木材産業の振興について
 森林資源の循環利用による林業・木材産業の振興を図るため、地域材の一般住宅への利用促進及び公共施設等の木造化推進のための支援制度を拡充するとともに、木質バイオマスの利用を推進し、森林資源の循環利用を促進するための多面的な施策を展開すること。

3.ニホンザル・ニホンカモシカによる農林業被害防止対策、保護管理事業の充実強化について
 本県各地に生息する野生鳥獣のうち、ニホンザルは、天然記念物に指定されているほか、国指定鳥獣保護区の設定により保護が図られている。しかし、ニホンザル生息地の自然環境の変化等による生息地の拡大とともに生息数が増加し、エサ不足が顕著となったため、ニホンザルは人家周辺まで出没して農作物を食い荒らすほか、人を威嚇するなどの被害が深刻化している。特に下北半島に生息するニホンザルは天然記念物に指定され、国指定鳥獣保護区の設定により保護が図られているため、その対応に苦慮している。
 また、ニホンカモシカについても、特別天然記念物に指定され保護が図られているが、ニホンザルと同様に自然環境の変化等から、人家周辺まで出没し農作物を食い荒らすなどの被害が拡大している状況にある。
 ついては、今後とも野生鳥獣との共存を図りつつ、人との棲み分けを目指すために、各種被害防止対策や生息域拡大防止対策など野生鳥獣の保護管理事業の充実強化を図ること。

○ 岩手県
山村地域は、国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全等に重要な役割を担っているにも関わらず、若年層の流出に加え少子・高齢社会の到来等により活力が低下している現状にあります。
 このような状況の中、いまだ他の地域に比較して低位にある社会経済基盤及び生活環境の整備を推進することが、山村地域に振興を図っていくうえで極めて重要であります。
 つきましては、次の事項を実現されるよう提言します。
1.山村振興法に基づき、関係省庁の一層の連携強化のもと、山村の再生を図るため、山村振興対策を総合的かつ計画的に推進すること。
2.農山漁村活性化プロジェクト支援交付金による支援措置等の充実を図ること。
3.農山漁村地域の活性化や都市と農山漁村の共生・対流を一層推進するため、「子ども農山漁村交流プロジェクト」について、5年後に小学生120万人の参加という目標に向け着実に体制を整備すること。
4.野生鳥獣害対策について、新たに制定された「鳥獣被害防止特措法」に基づき、市町村が対策に主体的に取り組むことが出来るよう引き続き必要な財政措置を講じること。
5.水や二酸化炭素排出源等を課税客体とする新たな税財源として、全国森林環境税等の創設・導入を図るなど、国民的支援の仕組みを構築すること。

○ 宮城県
山村地域振興対策の整備について
 山村地域は、自然環境の保全、農林水産物の供給等で重要な役割を果たしている。また、農家民泊や農業体験などをとおして伝統文化や自然にふれるという都市と農山漁村の共生・対流を積極的に推進している。
 しかしながら、山村地域は地理的条件が不利であるため、依然として若者を中心に人口は流出し、過疎化、高齢化が進んでいる。さらには道路、医療、教育等、生活環境の整備が立ち遅れ、所得水準も低い状況にある。
 ついては、国土の均衡ある発展をはかり、多自然居住地域を築いていくため、次の事項について、山村地域の振興対策を総合的に推進されるよう提案する。

1.産業振興、就業機会の創出と担い手の確保

(1)

広域的な幹線道路交通網の整備等により就業機会を確保すること。また、地域資源を活用した地場産業の育成、木質バイオマス等の未利用資源の活用、企業の誘致等により、産業の総合的振興をはかること。

(2)

若者に魅力ある就業の場を確保するとともに、中高年齢者の雇用を促進するため、適切な措置を講じること。また、山村地域における農林水産業の後継者対策を強力に推進すること。

2.生活環境基盤の整備
 市町村道、農林道等の生活・産業道路網の整備、交通機能の維持確保に努めるとともに、地域医療、福祉施設、教育施設、上下水道、汚水・廃棄物処理施設等の整備充実をはかるため、適切な措置を講じること。特に、IT(情報通信技術)の進展に対応し、山村地域におけ る光ファイバー網整備等の情報通信基盤の整備を促進すること。

3.山村地域の実態に即した財源確保対策
 山村地域に対して公共投資の重点配分を行うとともに、「森林・林業対策」及び「国土保全対策」の充実等適切な措置を講じること。
 なお、有効な財政調整機能を発揮させ山村を守るため、地方交付税制度における基準財政需要額に、森林面積1ヘクタールあたり少なくとも1万円を算入すること。

○ 秋田県
過疎地域自立促進特別措置法の失効に伴う新たな過疎対策法の制定について
 過疎地域は、豊かな自然や歴史・文化を有する地域であり、都市に対して食料・水資源の供給、自然環境の保全と癒しの場を提供するとともに、森林による地球温暖化の防止に貢献するなどの多面的機能を担っている。
 しかしながら、過疎地域においては人口減少と高齢化が顕著であり、路線バスなどの公共交通機関の廃止、医師・看護師の不在、耕作放棄地の増加、森林の荒廃など生活・生産基盤の弱体化が進む中で、多くの集落が消滅の危機に瀕するなど、極めて深刻な状況に直面している。
 昭和45年の過疎地域対策緊急措置法以降、3次にわたる特別措置法の制定により、総合的な過疎対策事業が実施され、生活環境の整備や産業の振興など一定の成果を上げてきたところであるが、現行の過疎地域自立促進特別措置法は平成22年3月末をもって失効することから、引き続き総合的な過疎対策を充実強化し、過疎地域の振興がはかられるよう新たな過疎対策法の制定を要望する。

○ 山形県
全国森林環境税(仮称)の創設について
 これまで森林を守り育ててきた林業は、木材価格の低迷により、間伐や植林など森林再生費を負担することが出来ない状況にあり、森林の荒廃が進んでいる。
  また、森林及び水源を有する山村地域は過疎化及び高齢化が進行し、森林の保育や水源の管理を行う担い手が不足している。
 このような状況において、環境保護機能や国土保全、水資源の涵養、自然環境の保全などの機能を有する森林の維持管理を行い、環境と共生する地域社会を形成し、且つ、地球温暖化防止に貢献する温室効果ガス吸収源である良質な森林と水源を将来にわたり保持するためには、山村地域の住民のみならず、都市部や海辺の地域の住民も一体となって「森林・山村を育て、水や空気を守っていく」という国民的な認識と気運を高めていくことが重要である。
 よって国は、森林を有する山村地域の市町村がその維持、育成のための財源を確保できるよう、次の事項を実現されたい。

1.森林のもつ公益的機能に対する新税として「全国森林環境税(仮称)」を創設し、これを下刈り、間伐、植林等森林再生事業や水源の環境保護活動、林道の管理などの原資に充当し得る制度を構築すること。
2.森林再生活動や水源の環境保護活動など、森林に携わる担い手確保対策の充実を図ること。

ナラ枯れ対策の拡充について
 本県域内においてナラ枯れの被害区域が拡大しており、景観及び森林資源の保全の観点から早急な防除が必要であるが、被害地域の地形が急峻であるため人力防除作業にならざるを得ないことや、効果的な防除方法が実証段階に止まっていることから、早期に効果的な対策の確立が望まれている。
 よって国は、被害の増加並びに未発生地域への拡散防止を図るため、次の事項を実現されたい。

1.フェロモントラップ方法の早期実践と対策費補助制度を創設すること。
2.枯死木の処分または利活用を図る事例集を作成すること。
3.良好な自然景観の保全並びに林産資源の確保のため、ナラ群の再生計画を作成すること。

○ 福島県
地上デジタル放送への受信環境の整備について
 地上テレビジョン放送については、2001年の電波法改正並びに放送普及計画及び放送周波数使用計画の変更などの国の政策により、現在のアナログテレビ放送が2011年(平成23年)7月24日をもって終了し、デジタルテレビ放送へ完全移行されることとなっている。
 このデジタル放送への完全移行に向け、一般放送事業者は中継施設の改修を計画的に進めており、その結果、総務省東北総合通信局の発表では、本年度末で本県世帯の90%がカバーされる見込みである。
 しかし、現在の中継施設の改修は、比較的条件の良い都市部や住宅連坦地を中心に進められており、今後は中山間・過疎地域等の施設整備が着手されることとなっているが、このような山間地等は、地理的条件によりテレビジョン放送の受信環境が悪く、自治体や住民による共同アンテナ等を設置している、いわゆる条件不利地域であり、テレビの受信環境の整備が大きな課題となっている。
 今やテレビは、国民にとって欠くことのできないマス・メディアであり、特に高齢者の多い地方においては、娯楽の提供と簡単に情報を取得できる情報手段として生活に密着したより身近な情報端末となっている。
  いては、こうした中山間・過疎地域等における地上デジタル放送の安定した受信環境の整備に向けた必要な措置を講じられるよう強く要望する。

1.国策として進める地上デジタル放送については、国や県の責任において条件不利地域の解消を図ること。
2.全ての地域と住民が地上デジタル放送を視聴できる送・受信環境の整備を図ること。
3.送・受信環境の整備に向けて、中継施設改修等や施設整備に対する財政支援措置の新設・拡充を図ること。

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