平成21年度山村振興関連予算・施策に関する要望書

 山村地域の振興につきましては、日頃から格別の御配慮を賜り厚く御礼申し上げます。
 山村地域は、食料、水、木材、エネルギーなどの供給を行うとともに、国土保全、自然環境の保全、水源のかん養、地球温暖化の防止、良好な景観の保全、文化の伝承、憩いの場・癒しの場の提供等重要な役割を果たしてきております。
 しかしながら、山村地域を巡る状況は依然厳しく、道路、情報通信、生活環境等の整備水準は全国に比べて低位な状況にあり、林業の低迷、地場産業の停滞等により過疎化・高齢化が急激に進展しつつある中、耕作放棄地の増大、森林の荒廃、鳥獣害の多発、地域コミュニティの崩壊等危機的な状況になってきております。 
 更に、WTO農業交渉の先行きに対する不安や、最近における世界的な諸要因による国内景気の悪化は、山村の人々や暮らしに深刻な影響を与えております。
つきましては、政府・国会におかれては、山村地域の置かれている状況並びに山村地域の振興を図ることが国家的課題であることを十分ご認識いただき、下記事項の実現を図っていただくよう強く要望致します。


T 山村振興対策の総合的・計画的推進及び山村地域の活性化

1.

山村振興計画に基づき、関係省庁の一層の連携強化のもと、山村振興対策を総合的かつ計画的に推進すること。

2.

振興山村における農林水産業等地域産業の振興、生活環境の向上等を図るための施設の整備に対する助成措置(農山漁村活性化プロジェクト支援交付金による支援措置等)の充実・強化を図るとともに、自立的な地域活性化を支える人材育成への支援に取り組むこと。

3.

山村地域の活性化を図るために不可欠な辺地対策事業債及び過疎対策事業債の十分な確保を図ること。

4.

農山漁村地域活性化対策、森林・林業振興対策(以上「地方財政措置」)の充実・強化を図ること。特に、市町村などによる民有林の公的整備に対する交付税措置など森林整備に係る地方財政措置の更なる充実を図ること。

5.

「過疎地域自立促進特別措置法」は、平成22年3月末をもって失効するが、引き続き総合的な過疎対策を充実強化し、過疎地域の振興が図られるよう新たな過疎対策法を制定すること。

U 多面的・公益的機能の持続的発揮

1.

山村の果たしている重要な役割について児童生徒を含め国民一般の理解を深めるための教育・啓発・普及対策の充実・強化を図ること。

2.

中山間地域等において、安定的な農業生産活動の体制整備に向けた前向きな取組を推進し、耕作放棄地の発生を防止し、多面的機能、公益的機能を維持・増進するため、「中山間地域等直接支払制度」の充実・強化及び「農地・水・環境保全向上対策」の充実・強化を図ること。

3.

わが国の地球温暖化防止対策において森林が二酸化炭素吸収源として大きな役割を担うことを踏まえ、森林・林業基本計画に定められた森林の整備・保全、木材利用の推進等の目標が確実に達成されるよう政策の拡充・強化を図ること。

4.

森林所有者等による計画的な森林施業が適切に行われることを確保するため、「森林整備地域活動支援交付金制度」の充実・強化を図ること。

5.

水源のかん養、自然環境の保持等国土保全に資する事業を対象とした「国土保全対策」(地方財政措置)の継続実施を図ること。

6.

地球温暖化対策を推進するための環境税を創設するとともに、制度化に当たっては、その税収の使途に森林吸収源対策及び森林を支える山村地域の活性化対策を明確に位置づけること。

7.

国土・環境の保全、水源のかん養等の役割を全う出来るよう、山村市町村に対する新たな財政措置及びその財源としての新たな税制措置(森林環境税 (仮称)の創設)を講じること。

8.

国土保全や生活環境整備を図るため、治山、治水及び砂防対策の充実・強化を図ること。

V 山村と都市との共生・対流

1.

グリーン・ツーリズムの一層の普及を行うとともに、地域ぐるみで行う受入体制や交流空間の整備及びNPO法人等の多様な取組主体の育成等グリーン・ツーリズムの総合的な推進を図ること。

2.

幅広い国民の山村におけるボランティア活動を促進するための対策の充実・強化を図ること。

3.

学校教育・社会教育において自然豊かな山村での体験活動を推進するため、「子ども農山漁村交流プロジェクト」をはじめとした対策の充実・強化を図ること。

W 道路、情報通信基盤の整備

1.

山村地域の産業、生活基盤として不可欠な高規格幹線道路、地域高規格道路、一般国道及び都道府県道の整備、特に、市町村道の改良・舗装等、立ち遅れている山村地域の道路整備を促進すること。また、基幹的な幹線市町村道路の整備の都道府県代行に対する助成措置を講ずること。

2.

道路整備のための財源を十分に確保し、特に、地方における道路財源の充実を図ること。

3.

携帯電話不通地域の解消、インターネットのブロードバンド接続可能地域の拡大並びに地上デジタル放送への円滑な移行に対する支援等デジタルデバイドの解消を図るための高度情報ネットワークその他通信体系の充実・強化を図ること。特に、地上デジタル放送については、新たな負担が生じないよう配慮すること。

X 産業の振興、地域資源の活用

1.

農林業を始めとした山村地域の産業振興並びに地域資源の活用が図られるよう、間伐促進やバイオマスの利用等の産業振興施策の充実・強化を図ること。

2.

林業の振興を図るため、貿易対策を含め木材の生産・加工・流通・消費に至る一貫した対策の一層の充実・強化を図ること。

3.

緑の雇用担い手育成対策、林業就業支援事業、就農支援資金、農林業就職促進支援事業等山村地域における産業の担い手の育成・確保対策の充実・強化を図ること。

4.

森林・林業へのUJIターン者等の定住を確保するため、森林資源等を活かした新たな産業の創出に対する支援を継続するとともに、都市と山村の多様な主体が連携して行う山村の活性化に資する取り組みに対する支援の充実・強化を図ること。

5.

山村の高齢者がその実態に応じて地域社会の活動に積極的に参加できる機会を確保するための対策の充実を図ること。

6.

雇用機会の確保を図るため、商工業、観光業などの産業立地促進のための対策の充実・強化を図ること。

7.

鳥獣被害の深刻化に鑑み、被害防止に関する対策の充実・強化を図ること。

8.

山村振興法に基づく認定法人に対する課税の特例措置を継続実施すること。

VI 生活環境の整備

1.

山村地域住民の生活交通を確保するため、地方バス路線維持対策等の充実・強化を図ること。

2.

山村の簡易水道等施設の整備促進を図ること。

3.

山村地域の実情に応じて汚水処理施設の整備促進を図ること。

4.

廃棄物処理施設の整備を推進するため、助成措置を講ずること。
また、廃棄物処理施設の解体に対しては、適切な措置を講ずること。

5.

消防力の充実を図るため、消防施設等整備に対する助成措置を講ずること。

VII 医療・保健・福祉対策

1.

山村地域の小児科医を含めた医師の確保に万全を期すこと。へき地診療所等の運営、医療施設・保健衛生施設の整備、医師及び看護師の養成・確保に対する助成措置の充実・強化を図ること。

2.

へき地保育所の運営、高齢者等の社会福祉施設整備、社会福祉関係職員等の養成・確保に対する助成措置の充実・強化を図ること。

VIII 教育・文化

1.

公立学校施設整備、スクールバス等の購入に対する助成措置を講ずること。

2.

寄宿舎居住費等へき地児童生徒に対する助成措置を講ずること。

3.

山村地域の文化財の保護等に対する財政措置を講ずること。

IX 山村地域の自主性の確立

1.

財源保障機能及び財源調整機能を果たす地方交付税制度の充実・強化を図り、所要額を確保すること。

2.

基準財政需要額の算定に当たっては、山村自治体が人口割合に比べて広い面積を有し、国土保全、地球温暖化防止等に重要な役割を果たしていることを考慮し、面積要素を重視するなど、山村地域の実情に即したものとすること。

3.

独自の発想に基づく山村振興を助長するため、山村地域の自主性を尊重する助成措置、規制緩和措置等の幅広い導入を図ること。