平成21年度北海道・東北六県山村振興ブロック会議が、去る7月6日(月)〜7日(火)の二日間にわたり秋田県支部(支部長 佐々木哲男 東成瀬村長)の主催により秋田県東成瀬村において各道県の支部長、事務局長等25名が参加して開催された。
 会議は、地元秋田県支部事務局 佐藤民雄業務課長の司会により進められ、まず佐々木哲男秋田県支部長の主催者挨拶があり、ついで、来賓として出席した林野庁森林総合利用・山村振興室 厨 秀俊室長、農林水産省農村振興局中山間地域振興課 進藤栄治係長、国土交通省地方振興課 石川裕一係長、総務省自治行政局地域振興室 佐藤明弘総務事務官、東北農政局農村振興課 後藤孝平係長からそれぞれ挨拶があり、ついで秋田県農林水産部農山村振興課菅原徳蔵課長から秋田県の取組みについての報告を含め挨拶があった。その他の来賓として全国山村振興連盟川上博志常務理事及び川島洋子参事が紹介された。
 次に、中央情勢及び全国山村振興連盟活動状況等として連盟川上常務理事から「6月5日に開催された山村振興実務研修会においては平成21年度の山村振興関連施策の説明があったが、これらを十分活用していただきたい。7月3日の理事会では平成22年度山村振興関連予算・施策に関する要望を決定し、要請行動を行った。8月には関係省庁から概算要求が行われるが、当連盟では11月19日に総会を開催し、その後関係省庁、国会議員に対し要請行動を行うこととしている。6月23日に「経済財政改革の基本方針2009」が閣議決定され、先日の理事会にその資料を配布し概要を説明したが、その中には山村振興に関連するものが随所に盛り込まれており、追い風が吹いている。また、7月1日には「平成22年度概算要求基準」が決定されたが、経済危機対応策ということで特別枠が設定されておりこういうものをうまく山村の方に獲得していくような活動をしていく必要がある。」等の説明がなされた。
 続いて、協議事項に入り、佐々木支部長が議長となり、北海道・東北六県からの提出事項について秋田県支部事務局佐藤民雄業務課長から一括して説明があり、その後各道県支部長から補足説明が行われた。
 提出された各事項について、中山間地域振興課 進藤係長、森林総合利用・山村振興室 厨室長、地域振興室 佐藤総務事務官、地方振興課 石川係長からそれぞれの所管に関わるものについて見解が述べられ、意見交換が行われた。

 ついで、次回開催地について協議され、山形県に決定した。
 翌7日は、次の箇所を視察した。
○ 横手市立大森病院
 通常の診療時間帯に受診できない患者のために午後5時〜7時の夕暮れ診療を行っている。IT化を推進し、電子カルテの導入、秋田大学医学部付属病院との間での遠隔画像診断等遠隔医療に取り組んでいる。平成20年5月総務大臣自治体立優良病院表彰を受賞。旧大森町病院
○ 池田氏庭園(国の名勝)
大仙市東部の田園地帯に位置。池田氏は、明治時代中頃から戦前まで高梨村長を務めた東北三大地主の一人。敷地はおおよそ4万2千uあり、散村形態を今日に良く残している地域にあって、その敷地は浮島のような様相を呈している。

◎ 各道県から提出された事項は、次のとおりである。

【農林水産省関係】
1 山村振興対策関連事業について
(1) 山村振興法に基づき、関係省庁の一層の連携強化のもと、山村振興対策を総合的かつ計画的に推進すること。 (岩手県)
(2) 農山漁村活性化プロジェクト支援交付金による支援措置等の充実を図ること。 (岩手県)
(3) 山村地域の再生、活性化に向け、森林等の地域資源を活用した産業振興や就業機会の創出によって、山村地域における担い手の確保と定住の促進に資する対策の充実を図ること。 (岩手県)
(4) 農山漁村地域の活性化や都市と農山漁村の共生・対流を一層促進するため、農山漁村情報の都市側への提供体制を強化するとともに、旅館業法等の諸規制について地域の実態に即して弾力的な運用を可能とすること。 (岩手県)
(5) 中山間地域等直接支払制度については、中山間地域等の安定的な農業生産活動体制整備に向けた前向きな取組を推進し、耕作放棄地の発生を防止し、多面的機能、公益的機能を維持・増進するため、制度要件の弾力化や事務負担軽減などの見直しを行ったうえで、平成22年度以降も継続すること。 (岩手県、宮城県)
(6) 農地・水・環境保全向上対策について、地域の多様な実情を踏まえ弾力的な運用を図るとともに、支援措置を強化すること。 (岩手県)
(7) 森林資源の循環利用による林業・木材産業の振興を図るため、地域材の一般住宅への利用促進及び公共施設等の木造化推進のための支援制度を拡充するとともに、未利用の間伐材など木質バイオマス資源のエネルギー利用を推進し、森林資源の循環利用を促進するための多面的な施策を展開すること。 (青森県)
(8) 温室効果ガスの排出抑制に有効な木質バイオマスの利用促進や、成長が早く、二酸化炭素の吸収効果がより期待できる樹種の研究開発を推進すること。 (北海道)
(9) 未解体廃棄物処理施設の撤去を促進するための支援施策の充実を図ること。 (北海道)
(10) 鳥獣被害防止特措法」に基づき、鳥獣害防止総合対策が十分に効果を発揮できるよう、市町村の実態を踏まえて事業要件の弾力化を図ること。 (岩手県)
(11) 本県に生息する野生鳥獣のうち、ニホンザルは、狩猟対象外の鳥獣として保護が図られています。しかし、生息環境の変化等により生息地の拡大とともに生息数が増加し、人家周辺まで出没して農作物を食い荒らすほか、人を威嚇するなど被害が深刻化しています。特に下北半島に生息するニホンザルは天然記念物に指定され、国設国指定鳥獣保護区の設定により保護が図られているため、その対応に苦慮している。
 また、ニホンカモシカについても、特別天然記念物に指定され保護が図られていますが、ニホンザルと同様に生息環境の変化等から、人家周辺まで出没し農作物を食い荒らすなど被害が拡大している状況にある。
 つきましては、今後とも野生鳥獣との共存を図りつつ、人との棲み分けを目指すために、各種被害防止対策や生息域拡大防止対策など野生鳥獣の保護管理事業の充実・強化を図ること。 (青森県)
(12) ナラ枯れ対策の拡充について、本県域内においてナラ枯れの被害区域が拡大しており、景観及び森林資源の保全の観点から早急な防除が必要であるが、被害地域の地形が急峻であるため人力防除作業にならざるを得ないことや、効果的な防除方法が実証段階に止まっていることから、早期に効果的な対策の確立が望まれている。
 また、ナラ類が枯死したことの影響と思われる山腹の斜面崩壊により、河川に土石が流出・堆積することにより景観の悪化が懸念される。
よって国は、被害の増加並びに未発生地域への拡散防止を図るため、次の事項を実現されたい。
・フェロモントラップ方法の早期実践と対策費助成制度を創設すること。
・土石流出対策を実施すること。 (山形県)
(13) 産業振興、就業機会の創出と担い手の確保対策として、広域的な幹線道路交通網の整備等により就業機会を確保すること。また、地域資源を活用した地場産業の育成、木質バイオマス等の未利用資源の活用、企業の誘致等により、産業の総合的振興をはかること。 (宮城県)
(14) 若者に魅力ある就業の場を確保するとともに、中高年齢者の雇用を促進するため、適切な措置を講じること。また、山村地域における農林水産業の後継者対策を強力に推進すること。 (宮城県)
(15) 生活環境基盤の整備について、市町村道、農林道等の生活・産業道路網の体系的な整備、交通機能の維持確保に努めるとともに、上下水道、汚水・廃棄物処理施設、地域医療、福祉施設、教育施設等の整備充実を図るため、適切な措置を講じること。 (岩手県、宮城県)

【総務省関係】
1 自治体の財政基盤強化、財源確保対策について
(1) 山村自治体の多くは、課税客体が乏しく税収と歳出との間に大きな乖離が生じていることから、税源移譲に伴い財政力格差の拡大が懸念される財政力の弱い山村自治体に対しては、地方財政全体としても、個別自治体においても、地方交付税を確実に措置すること  (北海道)
(2) 山村地域が人口割合に比べ広い面積を有し、国土保全、地球温暖化防止、食料生産等に重要な役割を果たしていることを考慮し、面積、森林などの要素の一層の反映、社会情勢の急激な変化に対する激変緩和措置など、地域特性を的確に反映した地方交付税の算定方法を確立すること。
 有効な財政調整機能を発揮させ山村を守るため、地方交付税制度における基準財政需要額に、森林面積1ヘクタールあたり少なくとも1万円を算入すること。 (北海道、宮城県)
(3) 国の制度改正や新規施策の創設に伴い、コンピューターの既存システムの変更、開発を余儀なくされ、多額の費用を負担しなければならないことから、国においては現状を十分認識するとともに、改修費用等に対する適切な財源措置を講じること。 (北海道)
(4) 消防救急無線のデジタル化について
 消防救急無線は、アナログ方式の無線の使用期限が平成28年5月末迄とされ、無線機器の全面的な更新する必要となるが、山村地域においては平野部に比べ多くの基地局が必要となるなど、多大な財政負担が見込まれる。
 このように、電波の有効利用等を目的に国策として進められている消防救急のデジタル化は、市町村財政が厳しい中、大幅な負担軽減が図られなければ整備推進は難しい状況にある。
 ついては、国民の生命・財産を守る観点から、整備の推進を図る場合は、整備費用等に対する更なる財政支援措置を講じ、市町村負担の大幅な軽減を図るとともに、基本設計や管理費用などに対しても財政支援措置を講じるなど、国の責任において整備費用の負担を図ること。
 また、整備費用軽減のための方策として、既存の光ケーブルや通信事業者の所有施設を活用できるよう対策を講じるとともに、新たに導入する設備等については、地域のニーズに適したシステムの導入を可能することさらに、整備に当たっては、現在使用している無線機器の更新時期を考慮するなど、地域の実態を踏まえた整備を可能とすること。 (北海道)

2 全国森林環境税(仮称)の創設等について
(1) 森林・山村地域の維持発展を担う市町村の活性化、及び森林並びに水資源の維持増進に資することを目的とした「全国森林環境税(仮称)」を創設し、これを下刈り、間伐、植林等森林再生事業や水源の環境保護活動などに充当し得る制度を構築すること。 (山形県)
(2) 森林再生活動や水源の環境保護活動など、森林に携わる担い手確保対策の充実を図ること。 (山形県)
(3) 山村地域における森林・林業行政の充実と、森林整備促進の実行性を高めるため、地方交付税における基準財政需要額に森林面積(国有林野面積を含む)を測定単位として算入する「森林・林業行政費」を新設するなど所要の財政措置を講じること。 (北海道)
(4) 二酸化炭素排出源等を課税客体とする新たな税財源として、全国森林環境税の創設や環境税等の導入を図るなど、国民的支援の仕組みを構築すること。 (岩手県)
(5) 森林吸収源対策を着実に進めるため、新たな税制の創設等の措置を講じるとともに、企業等からの外部資金の導入など多様な手法による森林の整備・保全を推進すること。 (北海道)
(6) 森林県である本県は、温室効果ガスとされる二酸化炭素の吸収に大きく貢献しており「低炭素社会」の実現を目指した適切な森林整備による森林吸収減対策を強力に推進するため、新たな財源として環境税を創設するなどし、依然として厳しい林業経営が続く山村地域の実情を踏まえた森林の整備・保全等の諸対策を一層推進すること。 (青森県)

3 地域情報化施策の推進と地上デジタル放送への円滑な移行及び受信環境の
  整備について
(1) 移動通信の地域間格差を是正するため、移動通信用鉄塔施設整備による携帯電話のサービスエリア拡大を、通信事業者と連携して推進すること。 (秋田県)
(2) IT(情報通信技術)の進展に対応した光ファイバー網の整備、地上デジタル放送への円滑な移行に対する支援を充実、強化すること。特に町村が行う条件不利地域における情報通信基盤の整備、維持管理については、補助率の引き上げ等十分な財政措置を講じること。 (宮城県、秋田県)
(3) 地上デジタル放送への完全移行に向け、住民の理解を得るための徹底した広報・啓発を行うとともに、山村地域等条件不利地における難視聴解消のための辺地共聴施設等の整備について、放送事業者と連携して地域間格差が生じることのないよう補助制度の充実等、適切な措置を講ずること。 (福島県、秋田県)
(4) 全ての地域と住民が地上デジタル放送を視聴できる送・受信環境の整備を図ること。 (福島県)
(5) 中継局整備にあたっては、放送事業者の自助努力とする基本原則により進め、地方自治体に新たな財政負担が生じないようにすること。
 また、山村地域に数多く存在する小規模集落において、自主共聴を行うための共同アンテナの移設や機器改修については、経費負担が多大になることから、住民や地方自治体の負担軽減を図るため、補助制度の充実強化を図ること。 (北海道、福島県)

4 新たな過疎対策法の制定について
(1) 多面的な価値を有する山村地域における過疎対策は、これからの日本を考える上でも国家的課題であることから、平成22年3月をもって失効する「過疎地域過疎地域自立促進特別措置法」の後の新たな過疎対策法を制定すること。 (北海道、秋田県)
(2) 過疎債制度を維持するとともに対象範囲を拡大するなど、より活用しやすい制度に改正すること。  (秋田県)
(3) 過疎対策基金を創設し、各種ソフト事業への積極的な支援を行うこと。  (秋田県)
(4) 新たな法律制定に向け課題となる「地域指定要件及び単位」については、社会情勢の変化等実情を踏まえた幅広い検討を行うとともに、現行過疎指定市町村が不利にならないよう十分配慮すること。  (秋田県)

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