政府は平成21年6月23日の閣議において、経済財政諮問会議における検討結果を踏まえて、「経済財政改革の基本方針2009」を決定した。
 

 このうち、山村振興に特に関係する箇所は、次のとおりとなっている。

(目 次)
第1章 危機克服の道筋
 1.はじめに
 2.経済の現状と課題
 3.社会の現状と課題
 4.「安心と活力」の両立を目指して
  (1)「経済の危機」と「社会の危機」への一体的対応
  (2)財政健全化と安心社会実現
  (3)当面の「最優先課題」(府省に広くまたがる横断的課題)
第2章 成長力の強化
 1.成長戦略の推進
  (1)低炭素革命
  (2)健康長寿
  (3)魅力発揮
 2.アジア・世界の持続的成長への貢献
 3.農政改革
 4.地域発の成長
 5.中小企業の活性化と研究開発の強化
 6.規制・制度改革
第3章 安心社会の実現
 1.生活安心保障の再構築
  (1)安心社会とは
  (2)安心社会実現の道筋
  (3)安心社会に向けての行政基盤の強化
 2.安全・生活の確保等
 3.防衛・防災・治安等
 4.教育の再生
第4章 今後の財政運営の在り方
 1.平成22年度予算の基本的考え方
  (1)今後の経済動向と当面の経済財政運営の考え方
  (2)平成22年度予算の方向
  (3)新たな行政改革の取組
 2.財政健全化目標
別紙1「中期プログラム」の別添工程表で示された諸課題のうち
    2011年度までに実施する重要課題
別紙2「中期プログラム」の別添工程表で示された諸課題の
    対応策の具体化

第1章 危機克服の道筋

1.はじめに
 我が国の経済と社会は、これまで培ってきた「豊かさ」と「希望」と「信頼」とを次代に引き継げるか否かの歴史的な正念場にある。
外にあっては、世界同時不況と資源環境制約の高まり、内にあっては、少子高齢化、格差の拡大傾向、財政悪化など、内外の難局が同時かつ複合的に押し寄せている。国民の暮らしと生活を守ることを最優先すべく、経済と社会を一体的にとらえた変革に取り組まなければならない。将来世代への「責任」を堅持しつつ、国民相互の信頼や助け合い、連携によって「安心社会」を実現し、各世代や各企業それぞれの「努力と挑戦」を最大限に引き出す。一方で、低炭素革命や健康長寿社会の創造、アジアへの共生型貢献等を通じて有効需要の基盤を内外で広げ、国民や企業の「活力」を高める。「安心・活力・責任」を同時達成するための経済と社会の変革である。
 「安心・活力・責任」という3つの目標は対応次第では相反するおそれがある。将来への道筋をあいまいにしたままの局所的な対処療法では、経済と社会双方からなる「複合危機」は克服できない。「経済の危機」と「社会の危機」を一体的にとらえ、3つの目標への相乗効果を最大に発揮する施策の実行へと政府全体の資源配分を傾斜していかなければならない。
 本「基本方針2009」はこうした観点から取りまとめたものである。
2.経済の現状と課題
 一部に底打ちの兆しが見られるものの、我が国の経済は、依然として「当面の危機」と「構造的な危機」に直面している。
 第一の課題は、我が国経済の当面の「底割れ」の防止と、確実な底入れ・反転の実現である。世界の金融危機や耐久消費財需要の急激な収縮などの要因による失業の急増や資金繰り倒産などを最小限にとどめるべく、また、主要先進国と比べて一時的に突出したマイナス成長幅に陥った我が国経済を国際協調の観点も踏まえて下支えするべく、政府及び日本銀行は、可能な限りの最大限の措置を講じてきた。
 輸出や生産等一部に明るさが見えてきたとはいえ、今後とも、国内における雇用情勢の一層の悪化やデフレが懸念されるところであり、また、過剰信用の巻き戻しなど世界の金融・経済の不確実性は高い。政府は、「経済危機対策」1等に基づき、金融対策、雇用対策などを中心に「当面の危機」を克服する。また、日本銀行に対しては、我が国経済が、物価安定の下での持続的成長経路に復帰するため、引き続き政府との緊密な連携の下で、適切かつ機動的な金融政策運営を期待する。
 第二の課題は、金融危機後の世界経済を見通し、産業構造・雇用構造を大きく転換することによって過度に外需に依存した経済成長から新たな持続的成長へと移行することである。
 まず、低炭素、健康長寿、ソフトパワーなどの分野で世界最先端の「未来市場」を創出し、市場とイノベーションの好循環を生み出すことにより、国際的な競争優位の獲得と質の高い雇用の創造を図る。このためには、規制改革、モデル市場づくり、内外の資本・人材・技術の集積が必要である。同時に、アジアを始め世界が直面する資源・環境・広域インフラ整備等の課題解決に、我が国の優れた産業力・技術力をいかして積極的に貢献しながら、世界の再成長の果実を国内に取り込む。
 内需と外需の「双発エンジン」によりけん引されるこうした新たな持続的成長プロセスを一刻も早く始動すべく、以上の二つの課題への対応を不可分一体なものとして、2010年度においても引き続き大胆に取り組む。
3.社会の現状と課題
 少子高齢化の進行、企業・家族・地域の機能・役割の変容やつながりの希薄化、格差の拡大傾向、若年失業の増大等を背景に、多くの国民が将来の生活に強い不安を抱いている。我が国社会は「静かなる危機」に直面している状況にある。
 「希望と信頼」を次代に引き継ぐためには、国民の間の不安感の高まりに正面から向き合い、すべての国民が参加する活力があり公正な「安心社会」の実現を全力で進めていく必要がある。
第一の課題は、制度や行政への信頼を回復し、強化することである。このためには、安定財源の裏打ちの下で、年金・医療・介護など社会保障制度の「ほころび」を早急に修復するとともに、信頼構築のための制度・行政基盤を早急に整えていく必要がある。また、新型インフルエンザ対策や消費者行政などの分野にも万全な対応が必要である。
 第二の課題は、「雇用を軸とした安心社会」を実現していくことである。将来の人口構造や産業構造を踏まえ、次代の日本を担う若者世代・子育て世代の支援・育成の強化を始め、意欲あるすべての世代の人々の「働く安心」を基軸としながら、「子育て」、「学びと教育」、「医療とコミュニティ」、「老後と介護」といった各分野での安心強化のための施策を有機的、効果的に連携・強化していかなければならない。
 その際、「官から民へ」、「大きな政府から小さな政府へ」といった議論を超えて、「安心社会」の実現に向けて無駄なく「機能する政府」への変革や、企業・NPO・地域などの参加と役割・責任分担による新たな「公」の創造を国全体の課題として位置づけ直すことが必要である。
4.「安心と活力」の両立を目指して
(1) 「経済の危機」と「社会の危機」への一体的対応
「経済の危機」と「社会の危機」への対応は、相互に補完し合い、強め合うことができる。老後や介護への安心を確保することにより、巨額の金融資産をいかした内需主導成長が動き始める。若者世代の能力発揮や少子化対策の強化により、将来の成長力が底上げされる。経済の過度のマイナス成長を防ぎ、「未来市場」にかかわる産業の拡大を通じて、質の高い雇用を創出することは、日本型安心社会の基軸となる「雇用の安心」をもたらす。
経済と社会、どちらの危機への対応を優先するかという視点を超えて、双方の危機に同時、かつ一体的に取り組む。安心と活力を高める上で不可欠な支出については、政策にかかる費用とそのための安定的な財源を具体的に明示し、検討を早急に進める。残された時間は短い。2010年代前半から半ばにかけて、団塊世代が高齢世代入りし、就職氷河期の若年世代は社会の中核を担うべき年齢に到達し始めることになる。
(2) 財政健全化と安心社会実現
金融危機後の世界各国の財政状況の悪化から、国際的な長期金利の上昇傾向が見られる中、我が国財政の持続可能性を確保し財政硬直化についてのリスクを最小化しつつ、安心社会を実現するためには、我が国財政について健全化への中長期的な取組姿勢を市場からの信頼に足る形で明確に示すことが不可欠である。また、そのための財源は、具体性・持続性・安定性を兼ね備える必要がある。以下を基本方針として、財政健全化と安心社会実現に向けて取り組む。

@

行政の無駄を不断に削減することは当然であり、徹底した行政改革と歳出改革は継続する。ただし、経済危機的状況に照らし、果断な対応は適時適切に図る。

A

「中期プログラム」と「平成21年度税制改正法」附則3の税制の抜本改革の規定に則って、社会保障の機能強化と安定財源確保を着実に具体化する。

B

安心社会を実現するための雇用を軸とした新規施策(雇用・生活セーフティネット、職業訓練、教育等の分野における新規施策)については、「安定財源なくして制度改正なし」との原則に立って、税制抜本改革や歳出歳入改革の中で、所要の財源を確保する。
(3) 当面の「最優先課題」(府省に広くまたがる横断的課題)
以下を当面の「最優先課題」とし、関係府省は、予算・人材両面において最大限の重点対応を行う。さらに、内閣主導で、府省横断的なプロジェクト・チームを設置する等により迅速かつ総合的な取組を図る。

@

経済危機克服

i)

経済と社会の安定の基軸である雇用については、雇用維持のための緊急取組に加え、「次世代の日本を担う若年層」に対して職業能力向上と再挑戦の機会拡大のための支援を強化する。その際、企業・自治体と連携しながら「縦割り」を超えた政府横断的取組を図る。

ii)

同時に、新たな持続的成長プロセスを一刻も早く始動するため、

低炭素・環境共生型社会に向けて民間投資を引き出すための取組(制度改革・先進モデル市場づくり・リスクマネーの供給・内外人材の集積等)を多年度にわたり強化する。

地域経済の回復のため、各地域の取組を全力で支援する。国は、発想を転換し、予算のみならず、人材・人脈・情報・アイデア・制度改革等執行面において各地域の主導を最大限に支援する。

金融危機後の世界経済の再成長を確固たるものとするため、国際協力に関する各省の取組(金融通貨協力、インフラ整備・環境・技術等、貿易投資、人材交流等)を連携させ、戦略的な国際貢献を加速する。特にアジアとの間については、「共生型貢献」を進め、内需の基盤と成長の源泉をアジアへと拡大する。

A

安心社会実現

i)

社会保障の「ほころび」の修復なしに政府への信頼回復はない。税制抜本改革を通じた安定財源の裏打ちを制度的に確保しつつ、社会保障の機能強化について、効率化を図りつつも、緊急措置として前倒しで「先行実施」を図る。また、少子化対策や子育て世代への支援を総合的に強化する。

ii)

安心社会実現のための具体的な道筋について合意を図るため政府与党一体で検討を行うとともに、安心社会の基盤となる情報インフラ、行政体制、人材の傾斜配置などへの取組を政府横断的に進める。

第2章 成長力の強化
 未来への投資を戦略的に進め、国民の夢を一つ一つ実現しつつ、我が国の成長力を強化する。これにより、環境や人口減少等の制約を克服し、日本の底力を発揮させ、中長期的な経済成長を実現し、安心社会の実現とあわせ、国民が回復を実感できる経済社会を目指す。

1.成長戦略の推進
 重点的・集中的な投資、戦略的なプロジェクトの実行、大胆な制度改革を実施し、短期的な需要創出と中長期的な成長力強化の「二重の配当」を得るため、「新経済成長戦略改訂版」を基礎とした「未来開拓戦略」等を実行する。多年度を視野に入れた対応を進めることとし、平成21年度における取組の検証を本年度末までに行い、それを踏まえて平成22年度以降の戦略を点検し推進する 。
(1) 低炭素革命
太陽光発電・省エネ世界一プラン(2020年頃に再生可能エネルギーの対最終エネルギー消費比率を世界最高水準の20%程度へ、太陽光発電を20倍程度へ)、エコカー世界最速普及(2020年に新車販売の5割へ)、低炭素交通・都市革命、資源大国実現プランを推進する。
<主な施策>

太陽光発電の導入抜本加速、風力・小水力等再生可能エネルギーの利用推進、建築物のゼロエミッション化の加速的展開、温室効果ガス排出の少ない省エネ機器等の加速的普及、国内クレジット制度の活用、環境・エネルギー革新技術等の開発・実証の集中実施、環境ビジネスへの投資促進、CO2排出量の「見える化」等、カーボン・オフセットの普及。

次世代自動車などエコカーの需要拡大、国際競争力の強化。

低炭素交通機関の世界最速開発・最速普及(超電導リニア、フリーゲージトレイン等)、低炭素交通インフラ整備等の集中対策(国土ミッシングリンク、スーパー中枢港湾・産業港湾インフラ、モーダルシフト対策、整備新幹線等)、我が国高速鉄道システム等の海外展開、公共交通機関の利用促進、コンパクトで人と環境に優しい都市・地域づくり。

レアメタル等を含む製品のリサイクルシステムの構築、廃プラスチックの総資源化、先進国型シップリサイクルの推進による鉄資源の確保と低炭素化への貢献、アジアにおける資源循環システムの構築、森林吸収源対策など森林の整備・保全と木材・木質バイオマス利用の推進、世界水ビジネス市場に参入、安全を前提とした原子力発電及び核燃料サイクルの推進・ 原子力産業の国際展開の推進、原子力教育の推進、上流権益確保への支援強化、海洋資源の探査・開発促進、クリーンアジア・イニシアティブ等の推進。

環境保全の取組によって経済を再生させる「緑の経済と社会の変革」に向け、低炭素社会、循環型社会、自然共生社会への移行等を推進。
(2) 健康長寿
介護機能強化プラン(介護雇用を3年間で30万人創出)、地域医療強化・健康産業創出プラン、医療・介護福祉新技術イノベーションプラン(未承認薬等の開発支援・承認審査迅速化、新型インフルエンザワクチンの開発・生産期間短縮等)を推進する。
<主な施策>

介護人材の処遇改善に向けた取組、介護職員等の資格取得等のキャリア形成支援、介護基盤の緊急整備等、バリアフリー化等の推進のためのインフラの重点整備。

地域医療の再生、大学病院の機能強化、医療拠点病院の強化等、医療機関に対する優遇融資拡充、地域総合健康サービス産業創出プロジェクト。

がん等の戦略的分野における医薬品・医療機器・再生医療の開発・橋渡し・実用化加速国家プロジェクトの中長期的戦略に基づく推進、医薬品・医療機器の承認までの期間の短縮、安全対策の体制強化、世界トップレベルの新型インフルエンザ対策、生活支援ロボット等実用化の推進、医療IT化推進。
(3) 魅力発揮
農林漁業潜在力発揮プラン(植物工場を3年以内に3倍増)、ソフトパワー発揮プラン(2020年にコンテンツ輸出比率を米国並みへ)、世界に誇る観光大国実現(2020年までに訪日外国人旅行者数2000万人へ)、人財力強化・技術力 発揮プラン、IT底力発揮戦略を推進する。
<主な施策>

緑と水の環境技術革命、耕作放棄地解消、農山漁村IT活用総合化、食品産業グリーンプロジェクト、先進的モデルの実施、ものづくり技術をいかした農林漁業の付加価値拡大。

林業・木材産業の再生に向け、持続的林業経営の確立、「緑の雇用」の推進、間伐材の総合利用に向けた路網整備・機械化、生産・加工・流通体制の整備、国産材の需要拡大等を推進。力強い水産業の確立に向け、漁業収益力の向上等による燃油価格の変動等にも対応し得る持続的経営の確立、産地販売力の強化、漁業の就業者対策、地産地消等消費拡大、漁場の整備等を推進。

ソフトパワーの海外展開支援、次世代著作権取引支援システムの整備、地域ソフトパワー発信・活用の強化。

国際競争力の高い魅力ある世界有数の観光地の形成、世界からのアクセス抜本改善(訪日査証の見直し、羽田・成田空港の機能強化、関西空港・中部空港のフル活用、空港入国審査待ち時間の短縮等)、日本ブランド発信強化による需要拡大、訪日外国人旅行者への外国語対応の強化。

小中高校における理数教育、社会・職業への円滑な移行のためのキャリア教育・職業教育の強化、世界トップレベルの研究環境実現、大学等における教育研究の水準向上、創造性に富んだ若手研究者の育成、超小型衛星システムの開発や中小企業・ベンチャー等の活用による宇宙開発利用分野での新市場創造等、地域の産業構造の変革、雇用の安定に向けたセーフティネットの強化、人材育成の推進等。

グリーンITで世界をけん引、ITを活用したリーディング産業の競争力強化と地域・中小企業の活性化、ITを活用した地域の活性化等、ITによるアジア知識経済圏の構築等、電子行政の加速、IT社会基盤の整備、高度IT人材等の育成強化、先進的デジタルネットワークの構築。

デジタル放送の送受信対策、デジタル受信機器の普及促進、公共施設のデジタル化等、地上テレビジョン放送のデジタル化の推進を始めとするICT基盤の整備等の推進。

IT戦略本部において決定する「デジタル新時代への戦略」(仮称)を早期に策定し、着実に施策を実施。

国民電子私書箱(仮称)は、平成25年度までの整備を目指し、既存のシステムの利用を視野に社会保障番号・カード(仮称)と一体的に検討し、本年度中に基本構想を策定。

「第2次情報セキュリティ基本計画」 に基づき、「セキュア・ジャパン2009」の施策を着実に実施し、情報セキュリティ対策を推進。

2.アジア・世界の持続的成長への貢献

A

ポスト京都議定書の枠組みづくりへの貢献等

「京都議定書目標達成計画」及び「低炭素社会づくり行動計画」に基づく取組を推進する。

先進国は2015年、途上国は2025年に排出量をピークアウトするとともに、2050年までに世界全体での半減につなげるため、我が国として2020年に2005年比15%削減するとの中期目標及び2050年に60〜80%削減するとの長期目標を掲げ、本年12月の気候変動枠組条約第15回締約国会議での、米中印等の主要排出国を始めとする「全員参加」型の公平で実効性ある次期枠組みの合意を目指し、イニシアティブを発揮する。このため、次期枠組みに責任を共有して参加する途上国への技術移転、革新技術や原子力の開発・適切な普及等にも力を入れ、今後の国際交渉に全力で取り組むとともに、低炭素革命実現に向け各界各層で一致協力した行動を進める。

3.農政改革
 「産業としての持続性」、「食料の供給力」、「農山漁村の活力」の三つを再生する ため、農政改革を進め、農林水産政策の新たな展開を図る。

新たな「農地法」について、生産現場等への浸透を図り、農地集積加速化事業等を通じて農地の面的集積を進め、多様な経営体の参入や連携を進めるとともに、平成23年度を目途に農業上重要な地域を中心に耕作放棄地を解消する。新たな構造展望を明確にするとともに、担い手の育成、農地の利用集積を進展させるための総合的な工程表を作成する。

現在の水田農業の構造改革が遅れていること、生産調整の実施者に不公平感があることを踏まえ、自給力の向上のための米政策・水田農業の在り方について検討を進める。世界的な食料需給のひっ迫の可能性も踏まえ、大豆・麦・米粉・飼料米などの定着・拡大が進むような思い切った生産振興策を検討し、早期に実施に移す。

若者が農業に魅力を感じられるようにするとの観点から、生産・流通・販売の各段階における改革を通じて農業・農村の所得増大が図られるよう取り組む。農業経営体の参入促進・育成・支援に関する施策の充実を図る。

従来の直接支援に加え、農山漁村が本来有する自然環境の保全など様々な機能の向上や地域社会の維持を図るための支援策について検討し、早期に実行に移す。

バイオマス資源や自然エネルギー資源など農山漁村の潜在力をいかした新産業の創出を支援し、地域の活性化に役立てる。

4.地域発の成長
 活力と独自性のある地域づくりを進め、地域発の成長を実現する。

太陽光発電の導入加速や低炭素交通インフラ整備等の低炭素革命、地域医療再生等の健康長寿、農林漁業の潜在力発揮、観光大国等の魅力発揮、IT底力発揮戦略、といった成長戦略を地域において推進し、地域発の成長につなげていく。

地域交通の活性化、内航海運の活性化を図るとともに、地域におけるまちづくりへの支援や地域の実情に応じた活性化策等を推進する。

離島航路・産業の再生を図るとともに、離島における子弟教育の充実や適切な医療の確保への取組なども含めた離島地域の実情に応じた活性化策等を積極的に推進する。

商店街が地域コミュニティの担い手として重要な役割を果たすことを踏まえ、空き店舗利用、地域資源活用等による商店街活性化の取組を積極的に推進する。

住宅・建築物の耐震化、長寿命化等の促進、既存住宅の流通促進など住宅ストックの有効活用、資金調達の円滑化等により、住宅投資の活性化、離職者の居住安定確保等を図る。

地方分権改革推進委員会の勧告を踏まえ、地方分権改革を着実に推進する。

地方分権改革の推進とあいまって、「地方再生戦略」等に基づき、地域の人材力強化、地域力の創造等に取り組む。

現行「過疎法」の失効を控え、厳しい現状を踏まえた新たな過疎対策に取り組む。

経済情勢を踏まえた地方財政計画の策定等を通じ、地方団体の安定的な財政運営に必要となる地方税、地方交付税等の一般財源の総額を確保する。

直轄事業について検討を行い、情報開示の充実等必要な措置を講ずる。

地方分権改革の推進を図った上で、「道州制基本法」(仮称)の制定に向けて内閣に「検討機関」を設置する。

力強い子どもの成長を支える子ども農山漁村交流プロジェクトを着実に推進し、都市と農山漁村の共生・対流を図る。

第3章 安心社会の実現

3.防衛・防災・治安等

A

防災

集中豪雨の増加等の自然環境の変化も考慮しつつ、大規模地震、大規模水害・土砂災害、津波・高潮、豪雪、火山噴火等への防災・減災対策、渇水対策、社会資本ストックの予防保全対策、消防を戦略的・重点的に実施する。災害時等の安全な通行を確保するための道路整備、学校等の耐震化について、引き続き推進する。

地籍整備を推進する。

B

治安等
地域の暮らしを守る鳥獣被害対策を着実に推進する。

第4章 今後の財政運営の在り方
「短期は大胆、中期は責任」との観点から、今後の財政運営を行う。

1.平成22年度予算の基本的考え方

(1)

今後の経済動向と当面の経済財政運営の考え方

我が国経済は、雇用情勢の一層の悪化が懸念されるものの、輸出や生産に明るい動きが見られ、「経済危機対策」を含む累次の景気対策の着実な実施により、景気は底割れが回避され、先行きは緩やかに持ち直していくことが期待される。

平成22年度においては、世界経済の改善に応じて外需が回復するとともに、対策の効果が引き続き発現し、民需の持ち直しの動きが徐々に進展していくことが見込まれ、景気の回復が確かなものとなることが期待される。

しかしながら、雇用の大幅な調整、物価の下押し圧力によるデフレ懸念、世界の景気後退長期化のおそれ等の我が国経済を下振れさせるリスクが存在することに留意する必要がある。

政府は、引き続き景気回復を最優先で進める。「経済危機対策」においては、多年度を視野に入れ、時宜を得た様々な施策を講ずることとしており、これらを着実に実施することにより景気を回復させるとともに、中長期的に、日本経済の成長力を高めていく。また、本「基本方針2009」に基づき、安心と活力を両立させる国づくりへの取組を加速する。

経済危機的状況に照らし、果断な対応を適時適切に図る。

(2)

平成22年度予算の方向

平成22年度予算は、持続的な経済成長と財政健全化の両立を図る上で重要な予算である。「基本方針2006」等を踏まえ、無駄の排除など歳出改革を継続しつつ、安心・安全を確保するために社会保障の必要な修復をするなど安心と活力の両立を目指して現下の経済社会状況への必要な対応等を行う。
(安心と活力のための予算編成)

上記の基本姿勢に沿って、昨年度とは異なる概算要求基準を設定し、メリハリの効いた予算編成を行う。

経済社会状況への対応等として、「第1章 4.(3)当面の『最優先課題』」とともに、「第2章 成長力の強化」、「第3章 安心社会の実現」に述べた取組を推進する。そのため、予算面において所要の対応を行うことを含め、予算配分の重点化・効率化を行う。

各府省の予算要求に当たっては、成果目標を掲げ、事後評価を十分に行い、予算の重点化に活用するなど、PDCAサイクルを着実に実施する。

(3)

新たな行政改革の取組

不断の行政改革の推進と無駄排除の徹底を継続していく。

簡素にして温かい政府を創るため、「量の改革」とともに、政府全体としての具体的な取組方針に基づく「質の改革」を進める。

国民全体の奉仕者として、責任を自覚して職務を遂行する等のため、国家公務員制度改革を着実に実行する。

新たな定員合理化計画(5年間で10%以上)を策定するとともに、「出先機関改革に係る工程表」に沿って出先機関の事務・権限の移譲に伴う人員の地方移管等を進めるための取組を行う。

人事院に対し、今夏勧告時に地域別官民給与の実態を公表し、その状況も踏まえつつ、俸給表水準について必要な見直しを検討するよう要請している。

重要対象分野である地震対策及び医師確保対策の政策評価を推進する。

2.財政健全化目標
 「短期は大胆、中期は責任」との方針の下、経済成長や社会保障制度を持続可能な ものとするため、以下の目標を掲げ、財政健全化の取組を進める。

財政の持続可能性を確保するため、財政健全化目標の基本として国・地方の債務残高対GDP比を位置付け、これを2010年代半ばにかけて少なくとも安定化させ、2020年代初めには安定的に引き下げる。

このため、今後10年以内に国・地方のプライマリー・バランス黒字化の確実な達成を目指す。さらに、我が国の債務残高が他国に類例を見ないほどの高い水準にあることから、利払い費を含む財政収支の均衡を視野に入れて、収支改善努力を続ける。

当面の経済財政運営に当たっては、まずは景気を回復させ、5年を待たずに国・地方のプライマリー・バランス赤字(景気対策によるものを除く)の対GDP比を少なくとも半減させることを目指すが、この目標については、現下の世界経済等の流動的要素にかんがみ、時宜に応じた検証を行う。

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