政府は、平成23年9月20日の閣議において「平成24年度予算の概算要求組替え基準について」を決定した。その概要は次のとおりとなっている。

平成24年度予算の概算要求組替え基準について

 我が国は、東日本大震災及び世界的な金融経済危機という二つの危機に直面している。「危機」によりもたらされた資源・エネルギーを始めとする数多くの制約を克服し、我が国を持続的な経済成長軌道に乗せるため、経済成長に向けた新たな成長戦略を策定し、平成24年度予算等も活用し、その実現を図る必要がある。
 他方、我が国は、毎年度30兆円から40兆円台にも上る巨額の財政赤字を計上し、公的債務残高も増加を続けている。政府は、いついかなる場合でも機動的・弾力的な政策的対応が求められるため、政策的な余力を常に維持しなければならない。財政健全化に向けた取組は、歳出削減や税外収入による増収、さらには国債の発行のあり方について十分検討することと併せて実施されるべきものである。
 政権交代後、政府は、財政健全化と経済成長への取組を両立させるため、配分割合が固定していた予算配分を省庁を超えて組替え、財政規律を維持しつつ、国民生活を第一に考えた予算構造に改めることで、経済成長と国民生活の質の向上の実現に努めてきた。しかしながら、こうした取組は未だ道半ばであり、今後も更に徹底して行くべきものである。
「震災」、「世界的な金融経済危機」、そして「財政」といった現下の諸課題の解決に向けた取組を両立させるため、復旧・復興対策について財源を確保し、多年度で収入と支出を完結させる枠組みを定めることを通じ別途管理での対応を可能とする、平成24年度から平成26年度を対象とした「中期財政フレーム」(8月12日閣議決定)を先般策定した。

 こうした中、平成24年度予算の概算要求を行うに当たっては、昨年度同様、「中期財政フレーム」を前提に、ムダづかいの根絶や不要不急な事務事業の徹底的な見直しを通じ歳出全般にわたる改革に全力を挙げ、それにより確保された財源を用いて必要性や効果のより高い政策に重点配分するといった、省庁を超えた大胆な予算の組替えを行うことを基本とする。
 こうした予算の組替えのために必要となる土台作りの一環として、先般、財務大臣より、概算要求に係る作業手順を発出した。これを受け、現在、各省大臣の下において、概算要求に向けた作業が進められているが、上記の基本的考え方を踏まえつつ、重点的・戦略的な予算編成を行っていくため、予算を重点配分する分野のあり方など、平成24年度予算の概算要求等に関わる重要な事項について、以下に「組替え基準」を定める。

1.平成24年度予算の概算要求に当たっての基本的考え方

 当面の財政運営に当たっては、「中期財政フレーム」を遵守しつつ、我が国の最優先課題である東日本大震災からの復旧・復興及び原子力災害の速やかな収束並びに震災と世界的な金融経済危機に直面している我が国経済社会の再生に全力を尽くすことが肝要である。
 8月23日に財務大臣より各省大臣に通知(「平成24年度予算の概算要求に係る作業について」)を発出したところであるが、平成24年度予算の概算要求組替え基準においては、上記の財政運営に関する基本的考え方を踏まえ、この通知による土台作りの上に、以下の基本方針を定める。各省大臣は、この基本方針に沿って、(別紙)により、要求・要望を行うこととする。
(1)平成23年度第3次補正予算等との一体的・連続的な編成
  東日本大震災からの復旧・復興対策については、平成23年度第1次及び第2次補正予
 算等を着実に執行するとともに、今後予定される平成23年度第3次補正予算等と平成24
 年度予算を一体的・連続的に編成する。
  平成24年度予算における東日本大震災からの復旧・復興対策に係る経費について
 は、別途管理とし、所要の金額を要求することとする。
(2)我が国経済社会の再生に向けた取組(「日本再生重点化措置」)
  我が国経済社会の再生に向けた取組として、歳出改革により捻出された財源を用い
 て、再生に向けてより効果の高い施策に予算を重点配分する取組(「日本再生重点化
 措置」)を実施する。
 @ 我が国経済社会を再生し、国民一人ひとりが希望をもって前に進める社会を実現す
  るため、下記Aロ)に掲げる分野において、将来を見据え、新たな雇用の創出を含
  め、我が国経済社会の再生に真に資する分野に予算を重点配分する取組として、「日
  本再生重点化措置」を実施する。その規模は、7,000億円規模とし、歳出の大枠であ
  る約71兆円の枠内で、最大限の予算の重点化を図る。
 A 各省からの「要望」
  イ)「要望」額
    各大臣は、(別紙)2.の定めに沿って、当該「重点化措置」に向けて要望す
   ることができる。
  ロ)点化措置の対象となる分野
   @)新たなフロンティア及び新成長戦略(科学技術・エネルギー・海洋・宇宙等、
    インフラ整備を含めた成長基盤の強化)
   A)教育(スポーツを含む)・雇用などの人材育成
   B)地域活性化(新たな沖縄振興政策を含む)
   C)安心・安全社会の実現
2.予算のメリハリ付けに向けた予算編成プロセス
(1)予算編成の新たなプロセスの創設
  日本再生重点化措置」による予算配分の重点化や予算編成過程での重要課題の検
 討のため、予算編成に関する政府・与党会議を設置し、政府・与党一体となって、平成2
 4年度予算編成に取り組む。
  なお、同会議の下に実務者会合を設置する。実務者会合において、各省からヒアリ
 ングを実施することなどにより実務的論点について検討を行い、必要に応じ、同会議に
 報告を行う。「日本再生重点化措置」による予算の配分については、同会議の議論を
 受けて、最終的には総理が決定する。
(2)ムダづかい根絶や総予算の組替え
  政権交代以降、政権が取り組んできたムダづかい根絶や特別会計等を含めた総予算
 の組替えに対する取組は未だ道半ばであり、平成24年度予算編成においても、引き続
 き、行政刷新の継続・強化を通じた歳出全般にわたる見直しが必要不可欠である。
   このため、裁量的経費のみならず、義務的経費等についても、予算編成過程におい
 て、行政刷新会議による事業仕分け等を通じ、聖域なく制度の根幹にまで遡った見直
 しを実施し、必要に応じ、より優先順位の高い施策の財源に充当することとする。

(別紙)
1.基礎的財政収支対象経費
(1)年金・医療等に係る経費等
 (省略)
(2)地方交付税交付金等
  地方交付税交付金及び地方特例交付金(以下「地方交付税交付金等」という。)の
 合計額については、「中期財政フレーム(平成24年度〜26年度)」(平成23年8月12日閣
 議決定)との整合性に留意しつつ、要求する。
  なお、「東日本大震災からの復興の基本方針」(平成23年7月29日東日本大震災復興
 対策本部決定)において、国・地方合わせた財源の確保にあわせて行うこととされて
 いる地方交付税の加算等については、その全額を(6)(注)における「歳出の大枠」への
 加算の対象とする。
(3)予備費
 (省略)
(4)「高校の実質無償化」、「農業の戸別所得補償」及び「高速道路の無料化」
  「高校の実質無償化」及び「農業の戸別所得補償」については、所要の額を要求す
 る。「高速道路の無料化」については、平成24年度予算概算要求において計上しない。
(5)概算要求枠
  各大臣は、以下の@及びAに掲げる経費ごとに定める計算により算出された額の合
 計額(以下「概算要求枠」という。)の範囲内で要求する。各大臣ごとの概算要求枠
 については、(付表)に定める。
 @義務的経費
  (省略)
 Aその他の経費
   各大臣は、「中期財政フレーム(平成24年度〜26年度)」2B(@)に定める「基
  礎的財政収支対象経費」のうち、上記(1)ないし(4)及び(5)@を除く経費(以下「そ
  の他の経費」という。)については、前年度当初予算におけるその他の経費に相当
  する額に100分の90を乗じた額(以下「基礎額」という。)の範囲内で要求する。
(6)東日本大震災からの復旧・復興対策に係る経費
  各大臣は、東日本大震災からの復旧・復興対策に係る経費については、「東日本大
 震災からの復興の基本方針」(平成23年7月29日東日本大震災復興対策本部決定)に
 沿って、所要の額を要求する。
 (注)東日本大震災からの復旧・復興対策に係る経費(復興債の償還を除く。)のうち、
  復興債の当該年度の発行額及び時限的な税制措置等による歳入額の合計額から、
  復興債の当該年度の償還額等を差し引いた残額により賄われるものについては、当
  該財源と併せて別途管理し、当該年度の「歳出の大枠」に加算するものとする。
(7)B型肝炎ウイルス感染者に対する給付金等の支給に係る経費
 (省略)

2.要望
 各大臣は、「その他の経費」の平成23年度当初予算に相当する額と基礎額との差額
(以下「差額」という。)の1.5倍の範囲内で要望を行うことができることとする。

3.その他の予算編成過程検討事項
 (省略)

4.要求期限等
 上記による要求・要望に当たっては、9月末日の期限を厳守する。

(付表)
 (省略)



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