獣害対策の基本 


奈良県農業技術センター高原農業振興センター 井上雅央所長より「獣害対策の基本」として、鳥獣害対策の研修会の時に配布している内容を頂きました。簡潔にまとめられていますので参考にして下さい。
 また、奈良県がまとめている鳥獣害対策のホームページは図を使って分かりやすくこの内容を説明していますので、一緒にご覧になると、より一層わかりやすいと思います。

1.獣害対策には順序がある

@

みんなで楽しく <動物の勉強>みんな=集落の70%以上が取り組むこと。
・・・(集落内で少数の人がいくら熱心に取り組んでもダメ)

A

ムリせずみんなで<守れる集落・守れる畑への変身>
・・・(努力が報われない集落のまま何をやってもダメ)

B

あり合わせでいいが成長させる<囲い>
・・・(みんなが勉強を済ませた集落では不完全な柵が意味をもつ)

C

必事なら個体数管理(駆除)?
・・・(@〜BをやらずにCだけやるのは効果ナシか逆効果)
この順序でやれば、必ず被害は減って来る。上の順序のうち@とAは火事で言えば防火、Bは初期消火のそなえ、Cは消防の消火活動と同じ。@〜Bを地道にやれば、猿害は必ず解消する。

2.それではさっそく<動物の勉強>

@

なぜ繰り返し被害がおきるのか。
・・・(山をスギ・ヒノキばかりにしたから・・・は大間違い)
・・・(正解は、みんなで集落に来るよう餌付けしているから)

A

山の獣と里の獣のちがい
・・・(どちらも能力や行動は同じ)
・・・(でも、里の獣だけどんどん増える)

B

集落には何種類のサルのエサがあるか
・・・(答えは2種類)
・・・(答え 1):1番目は、食べたら人間が怒るエサ
・・・(答え 2):2番目は、いくら食べても誰も怒らないエサ

C

<みんなで餌付け>とはどういうことか
・・・(とにかく集落で動物がエサにありつけば餌付け)
・・・(誰も怒らないエサを放置していること事態が餌付け)

D

とにかく動物に集落をいいエサ場と思わせないことが獣害対策
・・・(柵はいいエサ場と思わせないためのいやがらせ手段)
・・・(隣が囲ったから被害が増えたという考えが間違い)

3.守れる集落・守れる畑への変身

@

いつ行ってもたらふく食える集落 
→ エサが食えるとは限らない集落へ
・・・安心して身を隠しながら接近できる集落 
→ 見通しが良く発見されやすい落ち着けない集落へ
・・・だれも収穫しないカキの木が集落のあちこちにある集落 
→ 不要な放任果樹がきれいに処分された集落へ
・・・ツルが畑の外にはみ出して、草むらでカボチャのなっている畑 
→ 動物の好きな野菜は家の中や犬小屋近くに配置された畑へ
・・・野菜くずがいつも田圃に捨ててある集落 
→ 動物の好きな野菜クズはすぐに鋤きこんでしまう集落へ
・・・お墓にいつまでも供え物が置いてある集落 
→ お墓参りが済んだらさっさとお供えを引き上げる集落へ

A

たとえ発見されても怖い目にあうことの少ない集落 
→ とにかく見つかればやばい集落へ
・・・土手でレンゲやタンポポを食べているサルを誰も追わない集落 
→ 姿を見せただけでロケット花火が飛んでくる集落へ
・・・すぐに駆除や立派?な柵を考えてしまう集落 
→ 潜み堀のなくし方など、改善点を話し合える集落へ

4.ありあわせでいいが成長させる囲い

@

設置しっぱなしの柵は、サルの学習をたすけるだけ
・・・柵は成長させて始めて意味をもつ

A

もっといい柵なんかないか
・・・どんな柵がいいのかという小手先の議論から脱却する

B

身の回りにはいやがらせ資材がいっぱい
・・・ハウス廃材の鉄パイプ、古くなったシイタケ遮光資材や防雀ネットも嫌がらせ資材にはうってつけ

C

立派な恒久柵ほどもろいものはない
・・・長ければ長い程、エサ場と潜み場両方を囲ってしまう
道路・河川など開放部が生じ安い(入られやすい)→ 中で増える
長いほどきめ細かな保守点検が必要(設置長の2倍)→ 管理放棄
設置により外側はかえって人足遠のく → 増殖好適地がさらに増加
自分たちの柵との意識が生まれにくい → 行政・農家相互不信助長

(参考リンク)
みんなで防ごう農林産物の猿害
奈良県果樹振興センター鳥獣害対策チーム

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